旅する土鍋「リトアニア⑥」東京で見つけた瓶のなかのリトアニア
舌のうえにのこる記憶
旅先にご縁が残る場合は、意識していなくとも帰国後もかの地のあれこれが舞い込んでくるもので。
写真の瓶づめインスタント「ボルシチ」は、徒歩3分のところにあるスーパーで家族がみつけて買ってきてくれた。旅した者の余韻が、家族にも興味関心として伝わることはとてもうれしいことだ。
ボルシチ:ロシアの伝統的な料理で、鮮やかな深紅色をした煮込みスープで、ベラルーシ、ポーランド、モルドバ、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、ロシアなどの東欧諸国にも普及。多くの国で世界三大スープとして好まれている。(Wikipediaより引用)
瓶のなかにのこるリトアニア
ビーツなど野菜たっぷり480グラムの瓶の中身に水を加えて二倍希釈のスープを完成させるというもの。しかも180円くらいだったか超お手ごろ価格。
大きめな鍋に瓶の中身を入れ加水して温めるだけ。まずは表記のとおりに加水してみた。おや、現地の味はもっとしゃばしゃばでプアな感じ(失敬!)だったなと思ったので、さらに加水。サワークリーム(本場では)を添えて食べると、絶妙な東欧スープが還ってくる。
旅のあとにのこる香りと温度
下写真の瓶づめは、白髪のおばあちゃまのブース。ホームメイドピクルス、ジャム、ハチミツ、ビーツ煮、シャルティバルシチェイの素(リトアニアのビーツスープ)、日本で買ったボルシチの素のようなものもあった。寒い冬を乗り越えるための知恵が瓶のなかにつまっている。カジューカス祭りのためにつくり貯めたのだろうなぁと思うと、胸があつくなる。色とりどりの瓶のふたも目に焼きつける。
わたしの旅「旅する土鍋」の目的は、うつくしい写真をのこすことでも、観光地やお店の情報を紹介するものでもない。より長くのこるであろう実体のない香りと温度がつたわればいいなと。目に耳に、そして舌の上にも。