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いなせな いいまつがえ

幼いころから「さくらん坊」(桜ん坊)だと思っていました。長めの枝は、夜中にぷらぷらぶら下がったりして遊ぶためであり、きゃいきゃいヤンチャな果物として勝手にキャラクターをつくっていたわけです。

想像や妄想をふくらませながらモノの名前を覚えていたタイプのわたしは、大人になってからまちがえに気づいた物事が少なくありません。

もしかしたら、母が「さくらん坊」と呼んでいたのかもしれません。母は天然的なおもしろい江戸っ子で、わたしが小学校の社会科のテストで「不動産屋」のことを「おふどうさん」(※1)と書いてバツをもらいガックリしているのを見て、否めるどころか、自身が子どものころ農産物を記入するテストで「おじゃが」と書いてバツをもらい今でも納得いかないのよと、なぐめるような母。

(※1)代々守り神さまだという目黒不動尊のことを「お不動さん」と呼んでいたので間違えてしまったのだよ。

その後、わがやの少年がまだ小学生のころ「パスモってねデジポット(※2)つきだよ!」と、電車通学しながら定期券と併用してもたせていたパスモをかざし自信満々に言っていました。きっと彼のなかでは、パスモはポケモン的キャラクターに妄想され、デジポットという技でも持ち合わせた強靭なお守り的存在としてイメージづけられていたのでしょう。

(※2)もちろん「デポジット」のこと。

おまけに、コッチョリーノのサルまで「あたぼうよ!さくらんぼうよ!」と意気揚々。「あたぼう」はヤンチャでいなせな江戸言葉。
「あたりまえよ、べらぼうめ」を縮めて「あたぼう」。ちなみに「べらぼうめ」はバカ!アホ!ということ。


写真「陶のサル」「ココット」
by Cocciorino 地球のかけら





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