ニヒルな笑みで Mr.ヘッケ・パンガスキー鍋
先日の「パンガスキー鍋」はカンパーニュ生地であったため、勢いよくぷぅーとは膨らむ性格ではなかった。そのためミニ土鍋で焼いたが、第二弾は大きくいこうじゃないか。参考レシピは生地を60gずつ丸めるパンだが、ここは土鍋サイズで250gまるごとドンッ。(長文コラムあしからず)
ニヒルなミスターヘッケのレシピ
第二弾は「Mr. ヘッケ・パンガスキー鍋」とでも命名しようか。忠雄さんの記事で興味をもったイタリアンシェフ「ヘッケさん」のレシピだ。
レシピは至ってシンプルだし当たり前の材料。そんなことよりも、つくろう!と思わせる記事一連に拍手だ。
近ごろ何やら移転されたヘッケさんの店。忠雄さんのその一連報告は情緒たっぷりで気持ちよい。忠雄さんもヘッケさんもほどよくチカラが抜けていて「すごいでしょ、がんばってるでしょ」的な気持ちを匂わせず、滑稽さで抑えるあたりのセンス抜群。ちなみにヘッケさんの奥さまパンナコッタさんがつくるドルチェも見逃せない。
忠雄さんの一連報告記事
「いじわるヘッケさん①」
~「ヘッケ店再開するってよ」連載
トスカーナの塩なしパンみたい!
バターもタマゴもなし、塩もイーストも最低限のシンプルな味とボソッとした食感は、大好きなトスカーナの塩なしパン「パーネトスカーノ」に近い。(日本でもPECKのパン屋さんなどで入手可能だが、市場はリッチなパンが主流であり、あまり好まれないのか、なかなかそこらのパン屋さんでは売っていない)
忠雄さんが記事のなかで「主料理があってこそ活きるパン」とまさしく言い得ているが、トスカーナのパンがつくられた「理由」がドンピシャなのだ。(※ちなみにレシピにあったオリーブオイルを入れ忘れたため、よりトスカーナのパンに近づいたという偶然が!)
ワイン浸しのびしょびしょパン?
以下記事にはトスカーナのパンが塩なしである「なぜ」が4つほど。
1.トスカーナ料理に合うパンとして
トスカーナ料理は、サラミ、生ハム、オリーブオイル、リボリータ(野菜や豆のスープ)、レバーペースト、トマト味のパン粥のように強い味に富んだものが多く、それらの料理には味気のないパンが合う。
2. 農民が好んだ間食として
畑でのハードワークのエネルギー回復にはワイン浸しのびしょびしょ塩なしパン必須。
3. 塩の道をブロックしたため
1100年頃、ピサとフィレンツェがライバル関係だった時代、ピサ人はフィレンツェ人を防御するために塩の配給をブロック。そのためフィレンツェ住民は塩なしパンをつくりはじめた。
4. 塩の価格高騰のため
中世の時代、塩の価格が高騰し、フィレンツェ住民は「塩税」を払わないために、なるべくパンをつくらないことを選ばざるを得なかった。
そろそろりと、ヘッケさんの新しいお店に行ってみたいな。ヘッケさんはいじわるなんかじゃないってことは、パンを作ってみてわかった。古代ローマのテルマエロマエの次は、中世トスカーナに連れて行ってくれるのかもしれない。農婦になってワイン浸しのびしょびしょ塩なしパンを中世の太陽浴びながら食べようかしら。
その代わり入店にあたっては、記事のことは黙して、ニヒルな笑みで。
写真中の土鍋:CocciorinoのtamaDONABE
土鍋と仲良くなる方法
「地球のかけら」を意する工房Cocciorinoは
魅惑の素材をのせる器として
地球を応援していきたいと願っています
tamamiazuma.com
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