『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』を鑑賞して号泣しました (ネタバレあり)
2018年からサンリオピューロランドで上演されている『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』。
今年の3月、僕はひょんな事からこの公演を鑑賞し、号泣してしまいました。
最高だからみんな観て!
サンリオピューロランドに行った理由
『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』はサンリオピューロランドで上演されており、そこでしか観ることが出来ません。(上演を収録したDVDやBlu-rayは除く)
36歳独身彼女なしの僕が、そもそも何故サンリオピューロランドに足を運んだのか。
そこには全く深くない事情がありました。
826askaさんという、主にYouTubeで活躍中のエレクトーン奏者がいます。
昨年から僕は826askaさんのファンになり、何度かコンサートやイベントに足を運んでいました。
ある日、826askaさんがサンリオピューロランドで行われるイベントに出演すると知りチケットをゲット。しかも最前列ほぼド真ん中の席。
2022年3月13日(日)、僕はウキウキ気分でサンリオピューロランドに向かいました。
数十年ぶりのサンリオピューロランド
サンリオピューロランドには子供のころに家族で行った記憶がうっすらとあるのですが、正直何も覚えていません。
サンリオキャラクターに対する知識も世間一般の男性とたぶん同程度。
ただ、どうせサンリオピューロランドに行くのなら、826askaさんが出演されるイベントだけでなく、他のショーとかも観たいなぁ、と思い早めに到着。
入場すると、男性一人だと少し気後れしてしまうメルヘンな空間。分かっていたとはいえ、場違い感は否めません。
単独行動には慣れているのですが、少し照れくさい気持ちになりながら、まずは『Egg’n’Roll Easter!-BLAST-』というショーを見ることにしました。
サンリオガチ勢の存在を知る
サンリオのショーとは一体どんなものなのだろう? と思いながらボケーと開演を待っていると、ゴツい一眼レフカメラを持っている女性の姿がチラホラ。
「ガチ勢だ!」と心の中で思いました。
ショーが始まると華やかなステージに僕でも知っているようなキャラクターたちが登場し、ミュージカル的な感じで楽しませてくれます。
キャラクターに合わせて踊りの振りを完コピ(着席しているので手の動きだけですが)しているお客さんもいて、僕はまたまた
「ガチ勢だ!」と心の中で思いました。
舐め切っていた『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』を観る前の自分
『Egg’n’Roll Easter!-BLAST-』を観終わった後、今度は『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』を観ることに。
その直前のツイートが下記。
舐めに舐めてますね。この時の何も知らない自分に怒りを覚えますよ。
お前は何をツイートしているのかと。
「”かわいい歌舞伎なんだろうなぁ” じゃねえよ!
そんな次元ではないんだよ、KAWAII KABUKIは!
マジでお前ふざけるなよ」と。
詫びろよ。今すぐサンリオさんに
「舐めていて申し訳ございませんでした」と。
今の僕は思うのです。
ただ、当時の僕は何も知らないのです。
公演タイトルからして、キティさんが歌舞伎っぽい感じで桃太郎を演じるだけなんだろうなぁ。
「どんぶらこ、どんぶらこ」を歌舞伎口調で言ったりするだけなんだろうなぁ、と思っていたのです。
違うから! 「どんぶらこ」とか出てこないから!
桃は舞台の上から「ドスン」と降ってくるから!
『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』スタート!
開演時間になると黒衣が登場し、歌舞伎座と中継が繋がっているという体で、かぶきにゃんたろうさん、坂東 巳之助さんが映像出演し、歌舞伎についての説明を行い、拍手のタイミングの練習をします。
本来なら声出しの練習もするのですが、コロナ禍なので声出しはNGでした。
キティさんの前口上などがあり、いよいよスタートです。
いきなりクライマックス
幕が上がると、そこには鬼が。
激しい和風の音楽に合わせて踊る鬼たちがいました。
"昔々、あるところにお爺さんとお婆さんがおりました。
お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました"
とかではないのです。
桃太郎のクライマックスである鬼ヶ島のシーンからスタートなのです。
鬼たちの踊りが終わるころ(ちなみにこの鬼たちはサンリオキャラクターではなく人間です)、
鬼ヶ島の主であるオニ丸役・バッドばつ丸さんがカッコよく登場。
それを倒すべく、
波浪犬乃助役・ポムポムプリンさん、
波浪猿乃助役・ディアダニエルさん、
波浪雉乃助役・シナモロールさんが登場。
雉乃助の名言「槍は槍でも思いやり」が心に沁みますね。
そして舞台の上から桃が降ってきて、
中から桃太郎役・ハローキティさんの登場です。
さすが、圧倒的なオーラ!
いきなり鬼たちと桃太郎たちの戦いなのですが、
「乱暴はしない」と言う桃太郎。
ではどうやって戦うのかというと、桃太郎は歌で戦うです。
メチャクチャ良い曲
ここで桃太郎が歌う曲『心に花を咲かせる歌』。
この曲が本当に良くて。
というか、この公演で流れる曲は全て良くて。
CD化もされているのですが、今は販売していないっぽくて。
オークションサイトやフリマサイトを見ても軒並み品切れ中で。
誰か譲ってください。
もしくは再販してください。サンリオさん、お願い致します。
えっ!? 終わり!?
桃太郎が歌い終えると、殺風景だった鬼ヶ島はお花畑に。
鬼のツノにもお花が咲きます。
「虫も寄って来なかった」と言うオニ丸の周りには蝶々が。
いつの間にか衣装も花柄に。
鬼たちも改心してめでたしめでたしです。
ここまでたぶん10分ちょっと。
もう終わりかぁ、ベタだけど普通に面白かったなぁ。
あれ? でも上演時間は40分では? 見間違えたかなぁ。
と思いました。
「普通に面白いとかではないから!」
「これで満足して貰ったら困るから!」
「舐めるのもいい加減にしろ!」 と。
今の僕は思うのです。
ただ、当時の僕は何も知らないのです。
終わりではないから!
KAWAII KABUKIはここからが本番だから!
真のスタート
幕が降り、黒衣が再び登場。
後説のようなものをしていると、
バッドばつ丸さんとシナモロールさんが何やら言い争いをしながら登場します。
終わったと思っていた僕はちょっとビックリ。
バッドばつ丸さんはシナモロールさんに
「先ほどの舞台で重大なミスがあった」
と告げます。
そう、今この二人はオニ丸役・バッドばつ丸さんと波浪雉乃助役・シナモロールさんではなく、
舞台を降りた状態の、ハローキティ一座の座員としてのバッドばつ丸さんとシナモロールさんになっているのです。
まさかのメタ構造!
キャラクターたちが舞台を降りた状態、ここからがKAWAII KABUKIの本当のスタートだったのです。
小道具は丁寧に扱ってほしい VS 物を丁寧に扱う鬼などいるか!
バッドばつ丸さんがシナモロールさんに言った重大なミスとは、
桃太郎が歌い終えたシーンの後、ツノにお花が咲かなかった鬼が一人いたこと。
プロとして完璧な舞台を求めてるバッドばつ丸さんは、小道具係のシナモロールさんに強く当たります。
ハローキティさんも登場し、二人を仲裁しようとしますが、
シナモロールさんは「僕悪くないもん」的なことを言って泣きながら逃げてしまうので、バッドばつ丸さんが原因を調べることになります。
可哀想ですね。
そんなやり取りを見つつ、
ポムポムプリンさんとディアダニエルさんは
ハローキティさんに新しい衣装をプレゼントします。
優しいですね。
真の主役・鬼ゴロウ
ツノにお花が咲かなかった原因を調べていたバッドばつ丸さんですが、その鬼のツノが取れないことに気が付き、そいつが本物の鬼、鬼ゴロウであることが判明します。
本物の鬼の登場に慌てふためくハローキティ一座一同。
雷が鳴り響き停電するなか、バッドばつ丸さんと人間の座員が誤って新しい衣装を破いてしまいます。
停電から復旧し、明るくなったそこには破れた衣装が。
座員一同(破いた張本人二名を除いて)思うのです。
鬼ゴロウが破いた、と。鬼ゴロウのせいだ、と。
もちろん鬼ゴロウは弁明しますが、信じてもらえません。
それどころか苦手な豆を投げつけられてしまいます。
ここで泣きです。
いわれなき罪のせいで苦しむ鬼ゴロウ。
鬼というだけで悪者と決めつけられ、虐げられる。悲しい! 理不尽!
でもこういうこと、現実社会にもありますよね。
シナモロールさんも思わず「なんだかかわいそうだよ」と仰られます。
その後、バッドばつ丸さんが「破いたのはオレ様たちだ」と名乗り出てくれます。
ヒドイよ。 このままだとアンチハローキティ一座になってしまいますよ。
ただ、皆さんはハローキティ一座を責められますか?
何か事件が起きたとき、そこに犯人っぽいやつがいたら、
そいつを犯人だと決めつけていませんか?
誰が、誰が責められるというんだ! ハローキティ一座を!
良くないよ、本当に。良くない。もう止めましょう。
KAWAII KABUKIを一度でも観た人は、そういう決めつけは良くないと実感しているはずです。
鬼ゴロウが舞台に紛れ込んでいた理由
では、そもそもなぜ鬼ゴロウは舞台に紛れ込んでいたのか。
悪さをするためではありません。
鬼ゴロウは言いました。
「ハローキティ一座に憧れていた!」
「自分がハローキティ一座に入るのは無理だと諦めていたけど、
鬼ヶ島のシーンなら混ざれるかもと思った」と。
そして、鬼ゴロウは土下座して謝ります。
「バカな夢見ちゃってごめんなさい」と。
人を笑顔にしたかっただけ。人を幸せにしたかっただけ。
ハローキティ一座の仲間になりたかっただけの鬼ゴロウ。
鬼ゴロウは『鬼の哀しみの歌』を歌います。
この歌が本当に泣けてしまって。
鬼の悲哀、自分が消えるのがみんなのため。
さらば、俺の夢……。
歌い終えた後、鬼ゴロウはみんなの前から姿を消します。
号泣です。嗚咽を漏らしていたかも知れません。
この文章を打ちながら思い出し泣きしています。
自分にとって不相応な夢を持ってしまった鬼ゴロウ。
それでも勇気を出して行動したのに、上手くいかなかった……。
鬼ゴロウの気持ちを考えると、僕は涙なくして観ることが出来ません。
鬼ヶ島までの道のり
ハローキティ一座のキャラクターたちは鬼ゴロウを仲間にするため、鬼ヶ島へ向かいます。
鬼ヶ島がどこにあるのか分からない一同のために、平賀源内さんの遣いとして、かぶきにゃんたろうさんが地図を届けてくれます。
ありがとう!
鬼ヶ島へ向かう様子は、ファミコンのRPG風の映像で映し出されます。
可愛い!
鬼ヶ島にて
鬼ヶ島に戻った鬼ゴロウは、他の鬼たちからバカにされます。
「だから言ったじゃん、バカな夢みるなって」と。
鬼の世界でも、夢を口にして、行動に移して、失敗したらバカにされる。
悲しいです。
鬼ゴロウはツノが生えているからみんなが怖がると思い、
ツノを切ろうとします。ツノがなくなれば仲間になれると信じて!
そこまでして!
鬼の象徴のツノ、自分のアイデンティティを無くしてまで夢を叶えたいなんて!
泣きです。このシーンで心を動かされない人がいたら、その人が本当の鬼なのではないのでしょうか。
みんな仲良く
ツノを切ることが出来ず、泣き崩れる鬼ゴロウ。
そこに登場しました! ハローキティ一座のキャラクターたち!
まず、ハローキティさんが見かけで鬼ゴロウのことを怖がってしまった点について謝罪します。
悪いと思ったらちゃんと謝る。
この当たり前のことが出来ない人間のなんと多いことでしょう。
さらに鬼ゴロウの登場により、ハローキティさんは大事なことを思い出したと言います。それは、
「みんな仲良く」
大切なことです。大切なことです。大事なことなので2回書きました。
ハローキティ一座のキャラクーたちは次々と鬼ゴロウのツノを肯定します。優しい世界です。優しすぎて泣いちゃいます。
そしてみんなで歌う『心の繋がり』。
泣きです。良い曲すぎる!
はれて、ハローキティ一座の座員になることが出来た鬼ゴロウ。
めでたしめでたしです!
フィナーレ
まだ舞台は終わりません。
ここからは各キャラクターたちや座員の演目パートです。
カッコいい動きや歌舞伎っぽい動きを楽しむことが出来ます。
そして最後にみんなで歌うのは、先ほどと同じ『心の繋がり』。
やっぱりいい曲!
曲のラスト、鬼ゴロウのツノにはいつの間にかリボンが。
可愛い! よかったね鬼ゴロウ!
おしまい。
その後
自分でも驚くくらい感動してしまい、果たして、この時の自分は大丈夫だったのか。
この後、推しの826askaさんのイベントを最前列で見ることが出来るという状況で、精神が少し高揚していたのではないか。
そのことが原因で必要以上に感動してしまったのではないか、と思ったのです。
それを確かめるため、後日『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』のDVDを購入。家でゆっくり観ることにしました。
ちなみに、826askaさんが出演されたイベントも最高でした。
DVDで観ても泣き
というわけで、特に何も用事のない日。精神的に安定しているであろう日に、
『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』のDVDを観ました。
そこにはコロナ前、声出し出来る環境のKAWAII KABUKIが!
いつか僕もこの状態の時に観に行きたいなぁ、と思いながらDVDを鑑賞。
もちろん生で観た時の迫力や衝撃には及びませんが、やっぱり感動!
鬼ゴロウの歌唱シーンでは泣いちゃう!
鬼ヶ島でのラストの歌唱シーンも優しい世界すぎて泣いちゃう!
再びサンリオピューロランドへ
5月24日(火)、KAWAII KABUKI観たさにサンリオピューロランドへ。
前回一人で足を踏み入れているので、もう照れくささとかはありません。
この公演は一日三〜四回行われており、今回は二公演を鑑賞。
素晴らしい。何度観ても素晴らしい。感動感動感動です。
生で観てほしい
KAWAII KABUKIガチ勢のなかには、僕の100倍以上観ている方もいると思います。
僕はまだ人間のキャストさんの顔と名前もほとんど分かっていない状況です。にわかファンもいいところです。
でも、この素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂きたいのです。
KAWAII KABUKIについてこれだけ書いても、3分の1も伝わっていないと思います。壊れるほど愛しても、3分の1も伝わらないのです。
だからぜひ、出来れば生で観てほしいのです。
よろしくお願い致します。
補足
この感想や話の流れだけ見ると歌舞伎要素が薄めっぽいと思うかも知れませんが、歌舞伎っぽいポーズをとるシーンや動きもちゃんとあります。
僕が歌舞伎について詳しくないのでなんとも言えませんが、
歌舞伎とミュージカルの融合という感じだと思います。
鬼に関することわざも何回か出てくるので、お子様の国語教育にもオススメです。