2が初代を超えた最高傑作!映画『インサイド・ヘッド2』は誰もに響く物語だった
先日、好きなもの100個を語る回で『映画館の予告』を挙げた。
それから「映画を見たいな」と毎日ふと思うようになり、居ても立ってもいられなくなっていた。
そして何の映画が公開されているのかも知らない状態で映画館に行き、目に入ったタイトルが『インサイド・ヘッド2』。
これが本当に個人的には刺さる映画で、2020年代で最も良い映画になりそうだし、同一シリーズの第2弾界(?)でも歴代最高だと感じたので今回はこの話をしていきたい。
https://www.disney.co.jp/movie/insidehead2
『インサイド・ヘッド』とは?
『トイ・ストーリー』や『モンスターズ・インク』など。ディズニー・ピクサーが手がける長編アニメーション。2015年に日本で公開された。
『トイ・ストーリー』がピクサーの長編アニメーション第1弾で、それから20周年の記念作品くらいの立ち位置だったことを覚えている。
主人公は11歳のライリーという名の少女。彼女の中にある5つの感情が出来事の数々を通じて、揺れ動く物語。
5つの感情とは
・ヨロコビ(喜び):明るくてリーダーシップのある超ポジティブ思考
・イカリ(怒り):
・ビビリ
・ムカムカ
・カナシミ(悲しみ)
出来事が起こったら脳の中にある司令部で実権を握った感情が全面に出て、ライリーの行動として現れるようになっている。
(劇中で出た例ではないが、転んだら痛くて悲しいとカナシミが司令部で実権を握る・・・→泣くという行動に変わる)
日本語吹き替え版で比較的感情の中でも出番の多いヨロコビを竹内結子さん、カナシミを大竹しのぶさんが演じていてそれがエンドロールを見るまでわからなかったなあ。
第1弾はカナシミが司令部内で失敗(?!)をしたところをヨロコビがフォローしようとしたら2つの感情がぐちゃぐちゃになってしまう。
残りの3つの感情が一生懸命ヨロコビのフォローをしようとするも、うまくいかず、いわゆる情緒不安定な状態にライリーが陥る。
そんな時に自分の’原点’を感情達が見つけることで自分らしさを取り戻す、といった展開になっている。
・・・文章にすると全く面白くなさそうに見えてしまうけど、ピクサー作品の中でも最も無駄がなくスピーディなのに誰も置いてきぼりにしない展開になっているので、安心して見ていただきたい(笑)無駄な時間にならないはずだ。
『インサイド・ヘッド2』のあらすじ
リアルでは『インサイド・ヘッド』から9年経過しているけど、設定上は2年後。ライリーが思春期に突入し、新たに4つの感情が現れる。
・シンパイ
・イイナー(嫉妬)
・ハズカシ
・ダリィ(ダルい)
彼女らの誕生により、昔ながらの感情が追いやられてしまう。
今までのライリーらしさを捨てて、新しいライリーを構築させようとする感情たち(シンパイが筆頭)と、昔からのライリーらしさを取り戻そうと奮闘する感情たち(ヨロコビが筆頭)がぶつかり、もがき、どのようにライリーの行動に現れ、思春期を乗り越えるかを見守る物語だ。
・・・うーん、私の説明だけだとつまらなさそう(苦笑)
しかし、数字は嘘をつかない。
・2024年の洋画作品興行収入を最速で50億円突破
・世界の映画興行収入ランキング第8位(2410億円)
アバター(2009年)、アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年)、アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年)、タイタニック(1997年)、スター・ウォーズ/フォースの覚醒(2015年)、アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018年)、スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年)に次ぐ記録だそう。
映画にさほど興味にない私であっても知っている作品が多い。
あのジュラシック・ワールドも超えているなんて・・!
誰にでも持っている感情の物語ゆえに話に引き込まれやすいし、テンポも良く、直近のディズニー作品に見え隠れしている(?!)思想の押し付けがない。
ただ楽しいというわけではなく、どちらかといえば落涙必至・心が温まる作品だ。特典目当てでもない限り複数回映画を見ることのない私でもすでに3回観てしまい毎度びっくりするくらい泣いている😂
1回目観た時は嗚咽が出てしまった(苦笑)
『インサイド・ヘッド2』の大ヒット要因分析&個人的に刺さるポイント
◆誰にでも有り得る話、他人事で終わらない
本作はライリーの人生の中でとても大切なホッケーに焦点を当てている、と聞くとホッケーの話?と勘違いされそうだけど・・・全くホッケーの知識はなくて大丈夫。あくまでホッケーに関わる中でのライリーの感情変化がメイン。感情の話なのでホッケーではなくても誰にでも起こりうる・起こった経験があると感じるはず。
特にスポーツに打ち込んだ経験がない私であってもホッケーのことを忘れるくらい、話に引き込まれてしまった。
あらすじで多少触れたように、本作はシンパイをはじめとした新しい感情が、昔からある感情(ヨロコビ・イカリ・ムカムカ・ビビリ・カナシミ)を否定し、新しいライリーらしさを作ろうとする。
その過程が大人になる(成長を実感できる)ワクワク感というよりも、不安が可視化されているのが新鮮。行動や環境の変化でモヤモヤしたことのある人にとってはライリーの身の回りで起こっている出来事ににも理解ができなくても「これは自分の話・・・・?」と思わざるを得ない。自然と前のめりになってしまうのが1番の魅力。
精神的に苦しみ休職の経験をした私にとっては、シンパイがヨロコビたちを完全排除し司令部の全権を握ったときに辛かったあの時の記憶が一瞬フラッシュバックをした。
「(何も起こっていない時から)先のことを予測して勝手に心配する」「本当に辛くなってしまうと感情が全て消える」
この2つのあるある(※になってはいけない)をキャッチーにわかりやすくアニメーションで表現されているのを観たのは人生初の経験だった。
◆あくまで自分の中の感情に目を向けることができる
無印も2もライリーの身に目まぐるしいくらいの出来事が降り注ぐ。
もちろんそこには人間関係のしがらみもあるけど、そういう側面よりかはあくまで自分らしさを軸に感情たちがワチャワチャ動いてどうライリーの行動に落とし込ませるかにフォーカスしている。
どうしても歳を重ねれば重ねるほど、損得や周囲の目を判断して行動しがち。この作品ではそんな場面が悪循環の始まりになってしまう・・・。自分の心の声に耳を傾けて行動を考えることの大切さを実感させられる。
それができなかった人の末路が残酷なレベルで描かれている。
「こういう感情が動いて、このような行動をとっていまうから、苦しくなるんだなあ」と俯瞰して見ることができる。
◆悪者がいない、どんな自分も受け入れてくれる抜群の包容力
フィクションの作品では必ず悪者がいる。
その悪者との戦いを通じて主人公の成長に繋がりそこから我々も気づきを得ることがで切る作品がある一方で、悪者の方に感情移入しすぎて主人公が果たして正義なのか・・?と感じるものもある。
いずれにせよ「どちらかが悪でどちらかが良い」という枠に私は捉えてしまうことが多い。
しかし、この作品は悪者が本当にいない。ヒール役としてシンパイが描かれてしまう場面もあるけど、決して悪者ではない。シンパイを否定することは他の感情も全て否定していることになるのではないだろうか。
すごく斜に構えた見方をしても、シンパイを排除しようというメッセージの受け取り方はできない。一見ネガティブに見えてしまうものであっても全部自分!まるっと愛していこう!くらいに感じることができた。
自分を愛そう!なんて鬱陶しい言い回しをしてしまったけど(笑)、どんな感情であっても自分にとっては大切なものなんだなと誇らしい気分になった。
編集後記
いやーーー映画の感想を書くのは難しい😨😨
無駄にダラダラあらすじを述べてしまうし、あらすじから離れようとすればするほど感想風自分語りになってしまっているような気がしてならない。
3週間前に公開する予定だったが、全然納得ができず、ここまで何度も書き直したのは初。
素晴らしい作品であり、今後の自分にとってもかけがえのない作品になりつつあるからこそ、言語化のハードルが上がってしまった・・。
・観たことを後悔させない!
・事実と感情が複雑に絡み合っている時こそ、簡単に処理をせず、ひとつひとつ自分の心に耳を傾けてみませんか?!
・感情的になることは悪じゃない、その後の行動が大切!
これだけ伝えられれば良いのかな・・?
まあとにかく騙されたと思って観ていただきたい。
最近はレディースデーと呼ばれる概念も薄くなり、毎週水曜日は誰でも1,300円で映画鑑賞ができることを謳う映画館も増えてきた。
また、火曜日は各映画館の会員になっていれば通常料金より安いところが多い。
ぜひ、忙しい日々だからこそ、自己内省だけで終えずに、『インサイド・ヘッド2』を観ていただきたい。
状況の客観視の手助けができるだろう。
大人になると行動や環境での変化には敏感にはなるけど、感情に目を向けられていない・感情を抑える場面が多い。
たまには感情に目を向けてみよう・・・と強く思い、この作品に出会えたことに胸が熱くなった。