重症化。いちばんしんどかったとき。【食道アカラシアと診断されるまで (4)】
アカラシアで何が一番しんどかったのか。どれぐらいしんどかったのか。
不幸自慢のようで、あまり書きたくない内容なのですが、世の中こんな病気もあるんだね、ふーんぐらいに読んでいただけたら幸いです。相変わらず汚いお話が続きます、すいません。
※
誤診状態のまま、2つ目の病院に9カ月通いました。
最初の頃は「時間帯によって詰まりやすいときがあるなぁ」ぐらいだったのが、あっという間に症状が悪化。手術前の半年間は、大体以下のような感じ。
・ 食事はある程度の量をしっかり食べないと、「軽食」レベルでは胃にまったく落ちていかない=すべてリバース。
・ 夕方以降は、飲み食いしたものほぼリバース
・ 水分は食事時にとらないと、それ以外ほぼリバース
・ 例の胸痛はほぼ毎日、ひどいときは数時間に一度来る
朝昼は、調子いい日なら5~7割は食べれていたので、それで生き延びていました。戻す量が増えるにつれ、のどの痛みも悪化。
ただ、その症状を何度医師に訴えても、春になっても夏になっても、年始に取った内視鏡の写真を見ながら「でも炎症は起きていませんよ」の一点張り。たびたび起きる胸痛にだけは興味を示していましたが、「戻す」症状については聞き流されている感じでした。
「なぜこんなに戻すのか?」に対する答えは、いつも「人間は老いるものですから」でした。
(37歳の人間がここまでリバースしまくるのを「老い」で片づける医師、どないやねん、といまなら思います)。
「食道が機能しないんです」の訴えには、「食道に機能はありません」。
(食道には食べ物を蠕動運動で胃に送り届けるという大切な機能があるし、食道アカラシアの「アカラシア」は、“機能しなくなる・運動しなくなる”という意味だそうですが、、)
普通なら「他の病院を探そう」となるのかもしれませんが、私自身、胃食道逆流症だと思い込んでいたし、その原因である
・座りっぱなしの生活
・運動不足
・遅い時間の飲食
・アルコールやカフェインの過剰摂取
のうち、特に上記二つをほとんど改善することができずにいたため、症状が悪化するのは仕方がないとあきらめモードに入っていたのです。仕事量をセーブし、生活習慣を健康的なものに改めれば一時的に多少改善はするものの、仕事が立て込んで机に張りつく生活が続くと一気に悪化。そんなこともあって、ずっと運動不足や仕事のプレッシャーのせいだと自分でも思い込んでいたのです。
※
当時、とにかくツラかったのが、水分が取れないこと。
手術前の半年間ぐらい、食事時以外ほとんど水分が取れなくなりました。
午後のもうひとふんばりにコーヒーが飲みたくても、キレイにリバース。
運動不足の解消に山登りをしても、途中で飲んだ水分すべてリバース。
仕事の疲れを癒そうと銭湯でたっぷり汗をかいても、風呂上がりに水分が飲めない。
自分の唾液すら、まるで異物を追い出すかの如く、リバース。
最初は、「炭酸が飲みづらくなって大好きなビールが飲めないのが悲しい」ぐらいでしたが、もうビールどころではない。とにかく水が飲みたい。水をくれ。いつものどが渇いていました。
トイレに行く回数も激減し、脱水症状のせいか慢性的に頭痛がするように。当時、たぶん1日3回ぐらいしかトイレに行ってなかったような気がします。
「ごはん食べれないほうがつらくなかった?」
とたまに聞かれますが、デスクワークメインの人間が一日に必要なカロリーなんてたかが知れています。体重が減る前は、脂肪をたっぷりしっかり蓄えているBMI24オーバー。水が飲めなくなるまでは、ゆるやかな体重減少も「ちょうどいいダイエットだわ」ぐらいに考えていたほどです。
でも、水分がないと人間、本当に生きていけない。身に染みました。
もともと仕事は早いほうではないのですが、頑張れば一日一万字以上は書けていたものが、どんなにがんばっても、半分以下しかけない日々。しかも、どんなに頭が痛くても、頭痛薬と水だけじゃリバースして飲めないのです。この「必要なときにタイムリーに薬が飲めない」というのも、地味にツラかったことの一つです。
(余談ですが、DHAサプリをリバースしたときは、びっくりするほどの魚臭さに悶絶しました。あんな魚臭いもの、体にいいのだろうか・・。)
のどが渇くから水を飲む。飲んでも飲んでも、ひたすらリバース。どんどん荒れる喉。水が飲みたい。お腹空いた。体重が減っていく。食後何時間たっても、横になると食道に滞留している飲食物が逆流してくる。ゲロポッツを枕元に置き、クッションを何個も使って体を斜めにして眠る日々。
そんな状態が半年間続いていたのですが、変えてくれたのは夫の一言でした。
「それ、病名違くない?」
続く。
※当記事は実体験に基づきますが、医学的な記述に関しては専門家ではありません。正確な記述ではないかもしれないこと、ご容赦ください。