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#083 大量のエゴン・シーレにアテられた話(東欧3カ国旅行記その3)

こんにちは!マルタのタマルです。東欧旅行記3日目・ウィーンの模様をお届けします。


ベルヴェデーレ宮殿に行くも……

宮殿前のゲート。チケットセンターとは逆側だから人が少ない

まずはクリムトの『接吻』があるベルヴェデーレ宮殿へ!と思い10:00頃に到着したのですが、チケットが……とれない!!!チケットカウンターのお兄さんには空いているお昼の時間(13:30頃だったかな?)をアツくサジェストされたのだけど、なんだか中途半端だなあ、と思い、夕方のチケットにしてもらったのですが、これが、実は結構な時間ロスになっていることにあとから気づき、落ち込みました。というのも、宮殿は上宮・下宮とわかれているのですが、『接吻』のある上宮と違い、下宮は時間制限なしで見られることに気がついていなかったのです。下宮を見てご飯食べてから上宮にいくなら、普通に13:30でよかったじゃーん!だからお兄さんがあんなに行ってくれたのか~!と思いつつ、その場を離れてしまったので泣く泣くスケジュールを組み直し。いつもぐうたらしていて予定通りなんていかないのが当たり前なのに、こういうときばかりは過剰に落ち込んでしまいます。笑

Das Leopold Museum(レオポルド美術館)

気を取り直して、レオポルド美術館に来ました。
まずは腹ごしらえ…。

朝だったから人もまばらな美術館内のカフェ
オムレット!これがおいしかった

レオポルド美術館は、ウィーンの有名画家であるエゴン・シーレやクリムトの名画が数多く所蔵されている美術館。とは、理解していたのですが、いやー、これが本当にすごかった。

『死と生』/クリムト
『隠者たち』/エゴン・シーレ ガラス面反射しちゃってますね
こちらもエゴン・シーレ作

とにかく、迫力がすごかった。見れば見るほど魂が吸われていくような、強烈なパワーを放つ作品ばかり。人間の本性をまるごと描いたような、真実よりも真実らしい……ううん、なんとも形容し難いですが。そこにあったらどれも見ずにはいられない絵画たち。
夭折の画家だそうだけど、こんなに1枚1枚にパワーがこもっているならそれも納得です。ドローイングにすら魂の欠片が入っている。エゴン・シーレは日本でも作品展をやっていたことは知っていたけれど、今まで集中して見たことはない画家でした。今回まとまって見たことで、「天才なのは十分わかった、でももうこれで勘弁してくれ」という気持ちになりました。笑
レオポルド美術館を出る頃には頭がふらふらしていて、完全にアテられてしまいました。いやあ…強烈だったなー

絵画のほか、家具やガラスの展示も多数ありました。見どころ満載

Schloss Belvedere(ベルヴェデーレ宮殿)

この時点でふらふらだったのは前述のとおりでしたが、チケットを取った以上いかねばならないベルヴェデーレ宮殿上宮にやってきました。
「夏の離宮」としてハプスブルク家によって建てられた宮殿は、もっとも美しいバロック様式の宮殿の一つとして世界遺産に登録されているとか。

荘厳な内階段を登り上階へ
とにかく豪奢な大理石の間!

美術館部分は訪れた2023年の頭に全面改装されたそうです(知らなかったけど)。以前は下宮だけが美術館スペースだったらしいのですが、現在は上宮まで拡大していて(というか、今はこちらのほうが広い)、ウィーンでは近代史美術館についで2番目に大きな美術館なのだとか。

かの有名なナポレオンさん。馬は構造上こうはならないらしい

数々の名画も鑑賞しながら、ベルヴェデーレ宮殿といえば見逃してはならない、クリムトの『接吻』の前までやってきました。

誰でもご存知の、あの名画

いや、ね。ひねくれ者の私ですから、正直こんなに有名な絵画には「まあ、こんなもんじゃないの」という思いがあったんですよ。「みんな、クリムトの『接吻』好きすぎじゃない?笑」という。
いざ本物を目の前にしたところ、リアルに3分ほど動けなくなってしまった。そのぐらい感動しました(後ろの人に咳払いされなかったらもっと止まっていたかも。すみません)。だから、人がいいと言っているものはバカにできないのです。よくないよ、ひねた精神。
オーラ、金の輝き、生み出される空間すべてが美の象徴のように思えました。これは間違いなくクリムトの代表作だわ。みんな見たほうがいい。

上野のクリムト展に来てくれた『ユディト』とも再会

クリムトは生涯誰とも結婚しなかったけれど、自身の子供は少なくとも14人いたそうですね。とんでもないクソ野郎とくくってしまえばしまいですが、その女性への美の見出し方が作品を生んでいると思うと否定はできない。コンプラが厳しい世の中でこんなことをいうのも何だけど、芸術というのは常に何かの反動の上に成り立つものだという思いをさらに強くしました。犯罪を容認していいとかそういう話ではないけれど。

さて、ここにもエゴン・シーレの作品がいくつかありましたが、一番印象に残っているのがこの作品です。

『家族』/エゴン・シーレ

最晩年に描かれた作品で、自分と妻エディト(※モデルは元カノ?のウォーリーだという説もあるそうだが…)、そして生まれていない我が子の絵が描かれている。妻エディトは妊娠中に亡くなり、その3日後にシーレ自身も同病で亡くなったというから、残酷だ。この絵は未完だそうだが、いろんな意味でエゴン・シーレの集大成と(そう説明されなくても)説得力のある作品だと感じた。シーレ自身だけがこちらを向いているのも、心を掴まれる。

2度目の宮殿のチケットセンターへ

さらにフラフラになりながら(笑)、出口にたどりいたときには日もとっぷり暮れ、ベルヴェデーレ宮殿の下宮のクローズ時間まで残り30分たらずになっていました。でもチケットは当日限定と書いてある……(そもそも上宮から下宮にいくのに10分程度は歩かないといけないのです)。
ダメ元で出口付近のスタッフさんに声をかけて「今日まだ下宮いけてないんだけど…今から行くのキツいよね…?」と行ってみると「それはだいぶ無理あるな。チケットセンターに立ち寄ってみたらどうにかしてくれるかもよ」とアドバイスをくれました。
ダメで元々!の気持ちで本日二度目のチケットセンターに行くと(朝はあんなに並んでいたのに、当然ながら人はだれもいない)、「ああ、君、さっきスタッフから連絡もらったよ。明日下宮だけいけるようにしてあげるよ。何時がいい?」と言ってくれました。や、やさしい~~!やっぱり、言ってみればなんとかなるものなのです。諦めないことが大事!

そんな感じでこの日はタイムアップ。大量の美術品インプットに頭を痛めながらホテルに向かうのでした…。

胃に何かを入れられそうになくて、とりあえずグリューワインを飲む
キラキラのウィーン駅前
クリスマスマーケット

と、いうわけで

クリムトとエゴン・シーレを見すぎて体調を悪くした3日目の様子をおとどけしました。笑
スペインのプラド美術館でも大量の美術品にアテられて体調を悪くしているから、まあ仕方のないことですね…。それでも絵画を見るのはやめられない。
その後のウィーン滞在については、また次の記事で!

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