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残雪の斜面は難しい、登頂断念したご褒美はスケルトンフラワー
2024年6月22日、宿泊していた白馬から栂池高原へ移動し、白馬乗鞍岳登山を計画していた。今回の山登りでは初めて軽アイゼンを使って残雪の山道を登る、という目標があった。山頂からは白馬大池のドラゴンアイ(雪に覆われた池の溶け方が龍の目のようにみえる)が見られるという。
白馬乗鞍岳の山頂までに急斜面の雪田がある。事前に調べたらまだしっかりと雪があり一般的な※アイゼン(爪の数が多いもの)を使うことを勧めている人が多い。宿泊予定の栂池山荘にもメールで問い合わせてみたら、
「軽アイゼンでも登れなくはないと思いますが、歯数(爪の数)が多い方が安心です。無理なら引き返すことも大事なので、近くまで行ってみて検討してみるのも手だと思います。」
と丁寧な返信を頂いた。一緒に登るAさんにもこの返信を伝え、無理はしない、行けるとこまでは行ってみよう、と決めた。
※アイゼンとは氷や氷化した雪の上を歩く際に滑り止めとして靴底に装着する金属製の爪が付いた登山用具。軽アイゼンは爪の数が少なく比較的雪が少ない場所や夏山の雪渓などで使用されることが多い。
私が持っているのは軽アイゼン。一度も使ったことがない。
この日の天気は朝は白馬鑓のモルゲンロートが見られるくらいに晴れていたのに、時間が経つにつれ曇ってきた。翌日の日曜日は大雨予報だが、土曜日の今日までは雨の心配はない。
栂池山荘に宿泊することになっていたので、余計な荷物は預かってもらう。メールの問い合わせの返信も親切だったが、受付のスタッフさんもとても感じがいい。山小屋のスタッフさんたちはここに限らず皆いい人が多いなぁ。
さぁ出発!栂池自然園脇にある登山道入口からスタート。
しばらくは普通の山道を登る。時々残雪があるものの慎重に歩けば登山靴のままで大丈夫。なかなかの急登で息が上がる。
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天狗原という湿原地帯に到着した。水芭蕉が咲いていて尾瀬のよう。ここで休憩タイム。
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標識には白馬大池の文字
湿原地帯が終わり、ついに軽アイゼンをつけて登る。私はスノーピークの六本爪のもの。装着自体は簡単にできる。歩いてみる。さてどんなかな?
しかし枝が行く手を遮って歩きづらい。ピンクリボンや雪に残っている足跡を目印に進む。
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初めて軽アイゼンをつけてみたが、なんとういうか、装着している感覚がない。これで本当に雪に爪が食い込んで滑り止めになっているのだろうか?一歩一歩ゆっくり。ときどき雪に足が埋もれるし、ズルっとなる。登りでこれじゃ下りが心配。
なんとか雪に枝や岩が混在するところから抜けて振り返ると天狗原が良く見える。気持ちいい。
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Aさんと目が合った。
「もうここまででいいね」
二人の意見が一致した。初めての軽アイゼン登山を少し経験できたことに満足。本当は白馬乗鞍岳山頂まで行き、白馬大池を望みたかったが、無理は禁物。同行者に経験者がいたら違っていただろう。でも私たち二人とも雪が残る山登りは初めてなので慎重な判断をした。
しかも明日は大雨予報で、予定している栂池自然園散策は厳しそう。今、下山すれば午後に栂池自然園散策ができる。そんな考えもあり、登頂は断念。
いつか白馬大池のドラゴンアイを見てみたい。
「山は逃げない」
また来るからね。待っててね。できれば経験者の人と来たいなぁ。
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気をつけていってらっしゃい
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無事に下山。ほっと一息。
栂池山荘で軽く昼食休憩した後、栂池自然園へやってきた。お気楽な散策コースと思いきや、展望湿原まで結構な山登りがあり、午前中の雪歩きの疲れもあって正直しんどかったが、目に入る景色や咲いている花々に癒されながら歩いた。
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ミズバショウ湿原と言われる場所だが水芭蕉の最盛期は過ぎてチラホラ。
ヒーハーしながら登った先の展望湿原(2010m)は、白馬大雪渓と山々を間近に見られる絶景スポットだった。
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ここで絶景を見ながらのおやつタイム
疲れも吹き飛ぶ
ここからは栂池自然園で見られた花々をご紹介。
この時期の栂池高原で見られる花の代表格はサンカヨウ。普段は白い可愛らしい花が、条件のそろった雨に濡れると白い花びらが透明になり、スケルトンフラワーと言われる透明な花となる。これを見るために雨乞いして栂池に来る方もいるとか。
夜から雨予報。翌朝にはスケルトンフラワーが見られる予感。
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晴れている時は白い花びら。
長時間雨に濡れないと透明にならない。強い雨だと花びらが散ってしまう。
条件がそろわないと見られないスケルトンフラワー。翌朝に期待!
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本日宿泊するのは標高1900mにある栂池山荘。客室は清潔で食事も美味しい!小さいながらも雪解け水を沸かしたお風呂は気持ちいい。そしスタッフさんたちが皆親切で感じがいい。泊まっている宿泊者さんたちも同じく感じがいい。山や花、鳥の話題で話が弾む。
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温かい雰囲気
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大雪渓雪中育ちがお気に入り♡
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手をつけてしまったので少しお皿が空いてます^^;
実は山荘に宿泊した6月22日(土)20時から私の推している
ピアニスト髙木竜馬さんYouTubeプレミアム公開の日。幸いWi-Fiが繋がるのでスマホでAさんと一緒に視聴する。山荘で聴く竜馬さんのピアノもまた格別!この曲大好きなのです。素敵なのでぜひどうぞ!
夢見心地で眠りにつく。山の消灯時間は早い。21時消灯。
翌朝雨音で目が覚める。
かなり強めに降っている。サンカヨウは大丈夫かな?
この日の大雨予想は大当たり。ものすごい勢いで降っている。昨日のうちに自然公園散策をしておいて良かった!朝食を頂いて山荘をチェックアウトしたら早めのロープウェイで降りる予定。でもその前にサンカヨウを見に。自然園入り口に程近い場所に咲く花を見に行ってみる。
いたいた!透明の花びらになったサンカヨウ。深夜から降り続いた雨に濡れてスケルトンフラワーに。雨が強くて花びらが落ちてしまっているものもあったが、健気に可憐に花を咲かせているものある。なんてラッキーなことでしょう。
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iPhone撮影
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出会えて良かった!
SONYコンデジカメラ撮影
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初めて栂池に来たがとても素敵な場所だった。また来よう。
ロープウェイとゴンドラを乗り継いで麓まで降りる。特急バスに乗って長野駅まで戻ってきた。
長野といえば、善光寺。せっかくなのでお参りしに行く。山門の仁王像が立派で圧倒される迫力があった。
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七味をカスタムブレンドしてもらう
旨みと辛みの絶妙なブレンド
さいごに
軽アイゼンを使って残雪の斜面を登り降りするのは難しかった。でも今回の山行を経験したことによって少しだけステップアップできたように思う。安全第一。登頂を諦めたのは良い判断だった。「50代女性滑落か?」なんてニュースにならずに済んだ笑
そんな私たちに自然はプレゼントをくれた。スケルトンフラワーのサンカヨウ。タイミング良く見られたのはラッキーこの上ない。きっとご褒美だったに違いない。何かを諦めても何かを得ることがある。
天候の変化で景色が刻々と変わる山。今回の山行では前回の記事にもあるが、それを目の当たりにした。
天候と調和する大自然の景色を見られたことに感謝。やっぱり山登りっていい。
長くなりました。最後まで読んでくださりありがとうございました。