ソロ登山立山雄山でしたいコト、全部やってきた!
ひとりで北アルプス立山雷鳥荘に泊まり、翌日雄山へ登る計画を立てて、実行中。
二日目は「やりたいことをやる」が盛り沢山だ。しかし時間は限られている。室堂を遅くとも14時15分発の立山トンネルトロリーバスに乗らなければその日のうちに自宅に帰れなくなってしまう。さてどんな1日になるのか楽しみだ。
※長い一日なので目次からも飛べます
早朝の室堂を歩く
朝は5時半に宿泊先の雷鳥荘を出発する。
朝食をお弁当にしてもらったので、宿のラウンジで半分食べた。天気も体調も大丈夫。さぁ雄山に向けて出発!
空は快晴とはいえないが、薄明るい空に山がはっきりと見えている。
綺麗だなぁ、とまた独り言を言いながら歩いている。独り言多めの私です。
ミドリガ池に映る立山に見惚れてしまい、しばらく眺めていた。でも時間は限られている。行こう。
雄山に向かう登山道に入る辺りで、室堂山荘から出てきた女性グループと出会う。
「おひとりですか?」
「はい」
「あら、昨日の夜お風呂で一緒だった方?」と言われ、はて?と首を傾げる。
「私、雷鳥荘から来ました。」
結構、このパターンあるあるなのだ。
「どこかでお会いしてますよね?」とか
「中学時代のクラスメートにそっくり」など。
私の顔、よくある顔なのかな?笑
私はゆっくり歩くので
「お先にどうぞ」と進んでもらう。
ひとり歩きの良さは、マイペースでゆっくり歩けるところ。景色を気の済むまで眺めていたり、写真を撮ったり、花を愛でたり。
雷鳥か?
途中、カエルの鳴き声のような音が聞こえてきた。「雷鳥がいる!」
と咄嗟に思ってハイマツのあたりを覗き込んでも見当たらない。
するとバサバサバサっと鳥が飛んでいく。オッポが白くて黒っぽい鳥。後ほど調べたらホシガラスのよう。鳴き声もホシガラスだったみたいだ。雷鳥ではなくてホシガラスでも雄大な自然の中を飛ぶ鳥の姿が見られて嬉しい。
休憩がてらしばらくそこに佇んでいた。鳥は時折こっちのハイマツ林、離れたハイマツ林を行き来して飛んでいた。不意に飛び出すので写真は撮れない。その鳥に「またね」と挨拶して先に進む。
7時頃、一ノ越山荘に到着。
お〜、山並みが良く見える。ここで朝食お弁当の半分を食べよう。確か一ノ越付近での熊の目撃写真があったよなぁと頭によぎり、風でゴミが飛ばされないように注意する。人間の食べ残しやゴミが野生動物の生態を狂わせてしまう。
お腹もいっぱいになったことだし、ここからが本番の雄山への山道を登って行く。
雄山を目指す
のっけから岩登りの急斜面に面食らう。噂には聞いていたが、結構怖い。うっかり下を見ると足がすくむ。これ、下り大丈夫か?と自分に問う。今日は雄山ピストンの計画なので、また同じ道を下らなければならない。でも地元の小学生が遠足で登るんだよね?小学生は身軽だから平気なのかな。引率の先生も大変だな。そんなことを考えつつも、とにかく頂上まで行こう、とひたすら登っていく。
途中一息つける場所で槍ヶ岳が姿を見せてくれた!
ここからもうひと登りすると
ようやく着きました!
8時半。
雄山神社の社務所がある場所だ。後立山連峰に、わぁ槍ヶ岳も見える!でもどれがどの山だか分からない。以前登った唐松岳はどれ?あれかなぁ。山の形を見てすぐ分かるともっと楽しいのにと思う。そんな私も槍ヶ岳だけはわかる。
槍が見えると皆んな嬉しい。
近くにいた人たちも槍が見えると喜んでいる。同じ時間帯にこの急登を一緒に登った連帯感のようなものが生まれている。
しばらく山頂の景色を眺めて過ごす。
私が岩ゴロゴロの急坂を下る心配を口にしていると、近くにいた女性が、まだ時間も早いし、先まで行って少し荒れているけど真砂岳の手前の道で雷鳥荘まで下るルートもあるわよ、と教えてくれた。
そう、私は雷鳥荘へまた戻って温泉に入ろうと考えているのだ。女性が話すそのルートで雷鳥荘に戻るのは憧れの稜線を歩く縦走ルート。
一瞬心が揺らいだが、初めてソロで来て計画変更する勇気は私にはなく、来る前から縦走は次回に、と決めていたので、今回はピストン決定というか計画通りで行きましょう。
では山頂神社へお参りしに行きます。
雄山山頂神社に地元から持ってきた小石を奉納する
事前リサーチでは、本社の前に丸い石が敷き詰められた場所があり、その石は登山者の方が自分の地元の石を持ってきて奉納していったもので、中には日付けや名前、願い事が書かれてあるという。私も持っていこう、と前もって自宅近くの海岸の浜辺から丸い石を選んで持ってきた。何も書かなかったが、心をこめて祈り奉納してきた。
こんな天気の良い日に登頂しお参りできたこと、祈りを込めた小石を奉納できたことに心から感謝した。今日1番のやりたいこと、達成できた!
神社の後ろには、次回私が歩きたい稜線が見える。そして剱岳が見える。次への目標は立った。
山頂ではイワヒバリにも会えた。最初は雷鳥の子供かと思ったのだが、後で調べみるとイワヒバリだった。イワヒバリの動きもとても可愛くて、会えて良かった!ホシガラスとイワヒバリに会えたのもラッキー。残念ながら今回は雷鳥には会えなかったけど、また会いにくるから待っていてね。
雄山神社の御朱印を頂けた!
周りの人たちは先の山へ向けて出発していった。私の頂上はここなのでもう少しゆっくりしよう。社務所が9時に開いた。ご祈祷のシーズンは終わっていたが、御朱印は9月30日まで、そして直書きの御朱印も頂けるらしいので御朱印帳を持参した。全く並ぶこともなく、すんなりと御朱印帳にご記帳頂きました。ありがたいです。感激です。
下山後は温泉へ
これから急坂を一ノ越に向けて降りる。どんだけ怖いんだろう?と恐る恐る降り始めてみたら、登りの道より下りの道の方が降りやすく整備されているように感じた。登り下りの道が分けてあるのもありがたい。整備して下さってる方々にも感謝です。
無事一ノ越まで降りられた!あとは雷鳥荘まで、温泉、温泉、と心の中で呟きながら歩く。
雄山登山の後には少しきつく感じる階段を降りたり登ったり、11時半までに着けば良いな、と思っていて11時15分頃に到着。気なっていた足の爪の痛みもほとんど感じず、大丈夫だった。良かった!
宿泊者はチェックアウトしたその日も再び温泉に入れる。雷鳥荘の温泉は本当にいい。お湯の温度もそこまで熱くなくちょうどいい。展望風呂から見える景色もいい。登山後の温泉、もうこれは至福以外の何ものでもない。疲れも吹き飛ぶ。
温泉に浸かって帰るのと浸からないで帰るのでは疲労感が全く違う。ありがたいことだ。サッパリして整い室堂ターミナルへ。
立山ストリートピアノ
実はもう一つ密かに、というか、できたらやりたいことの一つが立山ストリートピアノを弾くこと。
出発前にインスタで立山情報をチェックしていたら、9月27日から9月29日まで室堂ターミナル屋上に誰でも弾いていいストリートピアノが設置されるという投稿を目にした。
これは、是非とも弾いてみたい!
でも山に登った後ヘロヘロになってたらピアノ弾くどころじゃないよなぁ…帰る時間もギリギリになったら無理だしなぁと半ば諦めていた。
しかし温泉に入って疲れも取れた。室堂ターミナルに向けて歩くとまた汗ばんでしまったが、それでも気持ちはいい。時間も大丈夫。これは弾いてみてもいいかも。
ピアノの音が聞こえる。赤い絨毯の上に置かれた茶色いアップライト型のピアノを弾いていたのは、良い感じの曲を演奏しているイケメンの若い男性。
こういう方の後って気が引けるんだよなぁ。でも立山をバックにピアノを弾く機会など滅多にはないのだし、今やりたいことを今やろう!
お昼時なのでギャラリーには結構の人数の方が椅子に座ってくつろいでいる。
うわっ!となる。でも失敗したって気にしない。ストピなんだし、自由に楽しんで弾けばいい。間違えたっていい。かの有名なピアニスト、フジ子・へミングは「間違えたっていいじゃない、機械じゃないんだから」の言葉を残している。
今、暗譜で弾ける曲はショパンのノクターンOp.9-2
弾き始めから、あっ間違えた、あっ指回らん、の連続。立山へのお礼の気持ちを込めて弾こうと思ってもそんな余裕はなく、、、なんとか最後まで弾き終えてホッ。拍手もいただけてホッ。ありがとうございました。スタッフさんが写真を撮ってくださったのでそれも良い記念になった。あいにく立山は雲隠れしてしまったが。
山とピアノの組み合わせ、素敵だなぁ。私の好きがそろっている。こんな経験もなかなかできない。初ソロ山行後にその山をバックにピアノを弾けるなんて。他の方のピアノも聴いてみたかったが、時間が押しているので残念ながらその場を失礼した。そして、なんだかとってもお腹が空いてきた。
無事に家に帰るまでが登山
立山室堂からは、立山トンネルトロリーバスに乗って大観峰駅へ
そこから立山ロープウェイに乗り黒部平駅へ
そこからケーブルカーに乗ると黒部湖駅に着く。次の乗り物の駅まで15分くらい歩く間に、黒部ダムの雄大な姿を見ることができる。
そこから関電トンネル電気バスに乗って扇沢に到着。
扇沢からは特急バスに乗りJR信濃大町駅へ。
JR大糸線に乗りようやく松本駅に着く。
6本の乗り物を乗り継いでようやく松本駅に。長い道のりだ。しかしそんな乗り物の旅も悪くない。乗り継ぎ時間にお土産を見たり買ったりするのも楽しい。特急あずさに乗り込んでひと息ついた。
無事に家に帰るまでが登山。
22時半頃に無事帰宅できた。
「ただいま。生きて帰ってきました笑」
終わりに
ひとりで北アルプス立山まで行ってきた。天候にも恵まれ、一期一会の出会いにも恵まれ、やってみたいことをやってこれた。全てにありがとう。
絵画のような美しい立山の景色を見られて本当に嬉しい。
大自然の中にポツンとひとりだけの時間が何回かあった。寂しいとか怖いとかはなく、自分ひとり自分の足で大地に立っていると、生きているというより生かされている感覚を覚えた。そして何かに守られている感覚もあった。頭に浮かぶのはやはり亡くなった父のこと。天から見守ってくれている気がする。
初北アルプスひとり山歩きのときに、こんな好条件のそろった山行ができるのも守られている感じがしてならない。
そして無事に帰宅後、出迎えてくれる家族が元気でいることもありがたい。
非日常を体験した後、日常のありがたさも感じることができる山歩きは、私にとって大事な気付きの時間でもある。
楽しかったな。写真を見返してはまた思い出に耽る私です。
最後までお読みくださりありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?