石原慎太郎さん訃報から子育ての大事を考えた
私はあったことはないが、石原慎太郎という人は保守的な面もある一方、アピールや推進方法のアイディアは豊富で天才的だった人のようだ。会場に煤をまいてディーゼル車の規制を訴えた記者会見、地球温暖化の問題意識を持ちエコとコンパクトを目指した東京五輪招致のような功績も多い一方、好き嫌いもはっきりしていて、映像ではかなり他人に対し失礼な物言いが残っている。亡くなった今でもなお彼を批判する人もいる。
印象的なのはこの世を去る直前まで執筆活動をしていたということ。長男で元自民党幹事長の石原伸晃氏らが会見し、その話をしてくれたが、「近く出版される」とのコメントは何とも商業的な匂いがしていただけなかったが、一橋大学在学中の1956年に文壇デビュー作である『太陽の季節』が第34回芥川賞を受賞した作家で日本国中に知られた石原氏が、政治世界で活躍し、バラエティ番組などに出演し、最後は亡くなる直前まで執筆活動をしていたということはなぜかうれしかったし、石原慎太郎という物語を完璧に描き、実践し、記録していたかの印象を持たせた。
石原氏の思想や信念すべてを理解しているわけでも、好きなわけではないが、彼の人生についてはとても面白いと思うし、逸話はどれを聞いても楽しかった。彼は恐ろしいほどのエネルギーと天才的な直観を携え、さらに周囲のそして周囲のフォローを携えている。それはチャーミングな人柄で。
しばらくはテレビやメディアの記事でもいろいろな逸話を話してくれるだろう。そして、今どきの親や政治家では許されないエピソードも、「昔の話」として紹介されるだろう。
石原氏が子どもと行った海で潜っていた時サメに遭遇し、「これは息子を殺したかな」と思ったそうだ。その後、無事に船に戻りお酒を飲んでくつろいでいたところ、真面目な良純氏が「死にかけたんだぞ!」と怒鳴ったというエピソードは有名だ。今はいろいろ「だめ」な行為や言動が多く、面白エピソードだと思っても世代間の感覚の違いで攻撃対象になることも多い。そんな今の子育て世代からすると、サメのエピソードはなかなかの逸話ではないか。
石原氏のイメージを勝手に上げると、裏表のない、動揺を冷静に変える、やり抜くまでやめない、白黒はっきりする、直観的にすぐに行動する、堂々とする、人からの評価より自分の信念を重要視するなどがある。さらにトップや家長がうろたえると、まわりはさらに動揺するが、それも理解している。
どれも子どもに身に着けて欲しい力でもある。
ご冥福をお祈りする。