金貨/ペンタクルの９

金貨/ペンタクルの９

大まかな意味（正位置の解釈）

　　黄金の空を背景に、高価そうな金色のドレスを纏った人物が肉食の鳥を左手に乗せて美しい庭園のを享受しているようです。葡萄は享楽や豊かさの象徴であり、ここに来て初めて「金貨/ペンタクル」のスートの中で実りや豊穣を示す、“金色”（詳しくは上巻コラム参照）の空がフィーチャーされます。つまり、「金貨/ペンタクル」のスートの中でここに来て初めて安心して享受できるほどの富が得られたということになります。「金貨/ペンタクルのエース」から「8」までの物語を経て、経済の本質を理解し、どこへいってもお金になる技量を身に付けたこの人は、ようやく物質面で安心できるだけの財産を得たということです。足元をよく見ると腐食を示すカタツムリがいます。どんなによく磨いた技量でも、努力を怠れば庭園の美しい植物もカタツムリに食い尽くされてしまうように、一世を風靡したものでも磨いていかなければ資産価値が減っていってしまうことを示しているようです。まだ見えているカタツムリは1匹だけなので、あぐらをかきすぎなければ大丈夫そうですが、油断は禁物です。また、「9」はタロットカードにおいて1人で極められる頂点を示す数字でもあるので、1人で自分の築いた財力や磨いた技量を享受するような状態をも示します。「金貨/ペンタクルの6」のように、他者に分け与えるニュアンスはほぼ存在しないことに注意してください。
　★大まかな意味：確かな技量と財産と社会的地位を得ている人物またはそのような状態、富を築くだけでなくそれを享受することもできている状態
　★人間関係/恋愛上の意味：努力の上に築いた相手との関係に満足している、（相手と関係が成立していない場合）周りにちやほやされる地位にあるためこちらに目が向いているかは非常に疑問、（相手との関係が遠い場合は特に）相手を自分にはもったいない人物だとどこか見上げるような心境
　日常における物事との関連：高嶺の花、技量が確かな人物、技量が確かなだけではなく上品だったりセンスが良いことでも知られている人物や企業、高名な職人など、寵愛や引き立てを受けやすい人物（転じて愛人など）

逆位置

　　逆位置になると、この美しい庭園に腐敗が忍び寄ります。確かに美しい庭ではあります。中央の人物に技量や富を得るためのノウハウは確実に存在するでしょう。しかし、それらは正当な手段で手に入るものでしょうか？ややずるいやり方や正道に反することは行われていないでしょうか？または、この技術は陳腐化していませんか？センスを日々磨いて周囲の寵愛をほしいままにする日々はまだ続いているでしょうか？築いた富の管理に対する怠惰が見えます。そうなってしまうのは人間のさがですが、あまり綻びが大きくならないうちに綺麗な方法に改めるか、あるいは心機一転、技術を再び磨いて周囲をアッと言わせるかしてみましょう。このカードを得ている人物ならばそうするだけの資質はあるはずです。
　　また、逆位置になると絵の女性は果たしてこの庭園の主かどうかについて疑問が生じます。もし、ドレスが貢ぎ物だったら？鳥が贈り物だったら？彼女自体が手に入れられた報酬だとしたら？いわゆる愛人の存在を示すカードや、地位や名誉のために結ばれた関係を強く示唆するカードになります。
　★大まかな意味：正当でない手段で手に入れた富、名声や技術がやや廃れている、寵愛に傷がついている、もう一度技術を磨き直す必要
　★人間関係/恋愛上の意味：社会的な名誉や世間体のために結んでいる関係、世間的な利害のためにつながる要素の強い関係、（相手の気持ちを占った場合）あなたの周囲からの評価に疑問を抱いている、（ライバルの心境を占った場合）ストレートにあなたの失脚を狙っている、妬まれている、粗を探している、（友人の気持ちを占った場合）面従腹背の実はあなたを嫌っている関係、（成立している関係を占った場合）盛大な不誠実が起きている、相手の利益のために利用されている節がある
　日常における物事との関連：人気に翳りがさす、市場シェアトップを維持するのが難しくなってくる状況、より新しく注目されやすい商品や技術を持った競合が出現した市場環境