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samurai et 一花一葉


「アイリスとミスカンサスの一花一葉」

”サムライほど深い孤独の中にいる者はない。
おそらくそれは密林の虎以上だ ”
ー新渡戸稲造 「武士道」ー

20世紀最後のイケメン俳優、
アラン・ドロンの訃報が先週末届きました。

母が大ファンだった影響で、私も一緒に昔の映画を見るようになって、いつの間にかファンになっていました。

彼のような、スキャンダラスな”The Star”は、この評価経済の世界では決して現れないでしょう。

ドロンの出世作「太陽がいっぱい」も良いけれど、私はこちらの
「サムライ」に心惹かれてしまう。
上の武士道の一説は、この映画の冒頭にフランス語で差し込まれています。

「サムライのパリ」

『サムライ』のロケ地はパリ市内。
見覚えのある場所と通りの名前。
ちょっとノスタルジックになる。

そして、昨年パリへ行った時、偶然にも1ヶ月借りたアパートが
ドロン演じる、一匹狼の殺し屋ジェフのアパートの近所だった。

「夜明けのパリの街」

映画のラスト、警察の尾行を撒いて最後の仕事へ出かけるジェフ。
テレグラフ駅からメトロ11号線に乗って、シャトレ駅に向かうのですが、
私も毎日この11号線でシャトレ駅まで通いました。

プラスデフェット駅、ジョルダン駅、乗り降りしたわ〜と、時を越えてドロンと共演した気分を味わいました。
(メトロや駅の雰囲気も全然変わってないし)

私の心には、いつまでもサムライのアラン・ドロンが生き続けている。

「梅と入才の一花一葉」

この映画は、余計なセリフを削り、余白で語るフィルムノワール。
フランス式武士道とでも言うのでしょうか。

この悲哀の美学のようなものを表現したいと思って、
それが私の一花一葉スタイルの花いけに繋がっています。

それは華やかさとか、可愛らしさの対極にあるものです。
一輪の花に理想の人間像を重ね合わせているのかもしれません。

そして、刀のかわりに筆を取り世の中を切り刻んで行ったラストサムライの文豪達。
私は花を通じて同志でありたいと願う。

一延の鋏を手にし、植物を大地から切り離す行為こそサムライ。

孤高の殺し屋は、
本当に生かすべきものを
知っていた。

素晴らしい思い出をありがとう。
ご冥福をお祈りします。


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