一花一葉のエレガンス
若い頃、パリの花に憧れて留学した訳ですが、私が心惹かれるものの根源には「ジャポニズム」がありました。
例えば、印象派の絵画は広重や北斎などの浮世絵からインスパイアされたものです。
そして、アール・ヌーヴォーのあの柔らかな流線型も「ジャポニズム」であります。
料理の世界でもそうです。ポール・ボキューズが提唱した「ヌーベル・キュイジーヌ」は、日本の懐石料理にインスパイアされたものです。
彼は、吉兆でその感性を磨き、アラカルトとムニュで構成されるフランス料理をスタイリッシュに変えたのです。
私のパリの師匠は、早くから日本のいけばなに注目していて、師範の腕前でした。
いけばなから着想を得て、「フレンチモダンスタイル」という新しいデザインを考案し根付かせた人です。
地球をぐるりと巡って、やっと辿り着いたのがジャパンとは(笑)。まるで、チルチルミチルの青い鳥みたい。
日本の文化芸術のクオリティーの高さ、その美意識は万葉の心でしょうか。
そして、なかなかハードルが高く、私の様な若輩者が足を踏み入れて大丈夫だろうか?とずっと躊躇していました。
ところが不思議なことに、ここ数ヶ月で、様々なご縁に恵まれて、一気に運命が動き出しました。
来月から鎌倉で「一花一葉講座」をさせていただく事となりました。文豪の街、鎌倉で文学と一緒に花を愛て頂くという趣向です。
一輪の花を愛でる究極の美学を探究してまいります。
アレンジメントではないし、いけばなでもないから、型がない。
自由を手にする為には美学が必要というわけです。
それは、誰もが生まれながらに持っている大切なものです。