今こそ「悪女-わる-」の話をしよう -もっと評価されるべき漫画家・深見じゅんの話-
aikoは人生な小説書くタイプのオタクのtamakiです。
それは本当に突然のことだったので、どうして脳内で急にその話題になったのか全く覚えていないのだけど、昼食時に、漫画家・深見じゅんの名作にして代表作「悪女-わる-」のまりりんと小野さんとT.Oさんの三角関係のことが頭に浮かんだ。
これはもうめちゃくちゃネタバレもネタバレなのだけど、長年T.Oさんに片想いしてきたまりりんが、いよいよT.Oさんに想いを伝え、その告白の答えを待っている頃の場面。クライマックスもクライマックスな最終回直前のところである。
まりりんのまっすぐな迷いなき想いに怯んでいるT.Oさんに対し、まりりんの良き相方であり、元祖T.Oさんでもあった小野さんは、T.Oさんにこう告げる。
コミックス全37巻。今よりもずっと男女不平等な世の中だった80年代から90年代にかけて、憧れのT.Oさんに会うため、大企業のあちこちを渡り歩いて出世を目指すOL・まりりんこと田中麻理鈴のパワーあふれる奮闘が何章にも渡って描かれる長編漫画、それが「悪女-わる-」である。
1988年から1997年にかけて連載されていた、冒頭にも書いた通り「ぽっかぽか」と並ぶ深見じゅんの代表作である。
そう、何章にも渡っている。全体を俯瞰すると、まりりんにとっては、憧れのT.Oさんと過ごした時間よりも、小野さんと過ごした時間の方が長いし、思い出も圧倒的なのだ。何度も修羅場やピンチをくぐり抜けてきた仲であり、恋愛の絡まない男女バディとしてこれほどまでに良き例は無い、ということを、このnote記事書く前に行った人生6度目くらいの悪女完走でようやく気付いた(遅)
ところで私は骨の髄まで男女カプをこよなく愛する、男女カプのオタクである。そんなくそカプ厨なオタクの目から見ると、まりりんはエピソードの量から言えば小野さんとくっついた方がずっと道理にかなっているのである。
ある、が、T.Oさん以外の人を好きなまりりんはまりりんではなく、それはもう悪女という作品を否定するどころか、なかったものになってしまうレベルなのである。T.Oさんを想うこと自体がまりりんのアイデンティティで、「悪女-わる-」という作品そのものなのである。
だから昼食を食べながら「小野さんの気持ち報われて欲しいけどそれしたら悪女は悪女じゃねんだよなあ~~まりりんはT.Oさんを想うことがまりりんだからなあ~~~」と思っていたのだ。何でか知らんが。
そして色々と悪女のことに想い浸り、あ~~深見じゅん、なんで世の中に埋もれとるんじゃ~~、悪女の話していいすか!的な頭のわるいnote記事書きてぇ~~~みんなこの世界で一番面白い漫画を読んでくれ頼むから マジでひっくり返るレベルで面白いんじゃ~~~……
ああ……note記事書く時間が欲しい……「悪女-わる-」を世界に広めたい…こんな超オモロ漫画が全然読まれないで、深見じゅんのふの字も多くの人に知られないまま終わってしまうのはあまりにも世界の、いや世界はデカすぎるから日本の損失過ぎる……あまりにも……。
誰か~~誰か氏~~! わかってくれ~~~!!
と、思っていた。思っていたのである。
それが、2022年2月15日のお昼の話である。
再ドラマ化!?
そして、翌日。
アイエエエエエエエエエエエエ!!?!?!??!?!?!?!
ドラマ化……ドラマ……化!?!?
主演今田美桜さんに江口のりこさ…ん!?!? 日テレ…?? ゴールデン??? 火10時とか水10時とかのあの時間帯??? えっ深夜ドラマとかWEBの配信ドラマとかではな……く……?????
2月16日……昨日は2月15日……aikoの結婚発表の時といい、人生の伏線回収が速すぎじゃないです!? どうなってんだ私の人生運営!!
朝ドラの民なので、通常ならば通勤中のこの時間帯は、あなたのTLを埋めまっせという勢いで朝ドラの感想をツイしたりRTしたりしているところだったのだが、もうこの日ばかりはあまりのとんでもないニュースにカムカムのことは頭からスッ飛んでしまっていた。
いっいや~~~……昨日まで誰も深見じゅんと悪女のこと知らない世界だと思ってたから急に……何?世界?お前が悪女の、深見じゅんの何を知ってるっていうの?(悪女はともかく深見じゅんについてはお前もほとんど知らんやろがい)っていう、嬉しい反面どこか腹立たしい困惑がある現在です。
ん~~~ブログにも書いたけど今田美桜ちゃんではないかな~~まりりんは…永野芽郁ちゃんなのよ個人的には!! 今田美桜ちゃんは強気な感じからして各章のゲストキャラの方が似合うと思うのよな~~~筑波編の篠田とか…(よりにもよって最終章)
江口さんはめっっちゃ峰岸さん!!!!って感じなので解釈バッチリ一致です!! 推しキャラ素敵女優さん演じるのウレシーー!!
いやいやしかし。
悪女は私がガチの赤子だった1988年に連載がスタートした作品である。当時はバブル真っ盛りで、作品に描かれている時代もまさにバブリー華やかなりし頃。日本経済もイケイケドンドンで、日本中が好景気に浮かれに浮かれまくっていた頃である(私は自分の生まれたこの時代特有の浮かれポンチ感がとにかく大好きなので、それも悪女好きの理由の一つにある)(作品後半からは不景気が忍び寄ってきていたけど)
スマホもSNSもない時代だからこそ成立し、描けていたのが悪女という作品だったと思う。まあ、仮にまりりんがT.OさんのLINEやメアドや電話番号を入手出来たとしても、連絡は取らないと思うけど(まりりんってそういう子なのですよ)
そして私はどうも民放をそこまで信用できないし、漫画原作の作品は不当に変更がなされることがある印象を持っている。てか今回のドラマ版のサブタイトル(働くのがカッコわるいなんて誰が言った?)が、なんか既に「悪女-わる-」から微妙に踏み外してる感ある…。わかってくれる人少ないと思うけど…。
しかも悪女は30年前の作品な上に、正直あまり知名度のない作品だと思っている(だからこのnote書いてんのよ)から、どーせいいように原作レイプされることが何となく目に見えているのである。民放好きな人ごめんなさい。
いやマジで、それこそ……この現代の感覚だとT.Oさんルートではなく小野さんルートを描くことになるかも知れない……それ作品の否定ですから本ッ当にやめてね。T.Oさんに恋するまりりんあんなに可愛いんだから……😭
しかしながら、今が「時機」と見た。
今こそ「悪女-わる-」と深見じゅんについてのnoteを書く時なのだ。
人生で五度塗りくらいしてる「悪女-わる-」
「悪女-わる-」は私の家にあった母所有のコミックスの中で一番古いものであり、おそらく私が見た一番古い漫画本だった。下手すると園児の頃から見ているような気がするのだが、さすがにそれは盛り過ぎな記憶かも知れない。
1~4巻くらいまでは赤い背景の表紙がなんか子供心に怖かったのを覚えている。でも、裏表紙がドラクエ風のマップ画面のパロディになっていて、その巻を象徴する出来事や人物とまりりんの戦いなどがコミカルに描かれていて、それは見てるだけでも面白かった。電子書籍では裏表紙まで収録していないので、やっぱり現物が欲しい…。うちにあったコミックス紛失しちゃってるんですよね。
そして何より面白かったのは、巻末にある「おまけのぺぇじ」。深見じゅん自身をキャラクター化した「ふかみ」と酒呑みな担当者「編集さま」との、原稿を巡る壮絶な戦い(?)がとてもキュートな絵柄で描かれていて、漫画本編は読まないでずーっとこっちを読んでいる子供だった。
文庫版には悲しいことに未収録だが、実は文庫全巻購入特典でこの「おまけのぺぇじ」全編と単行本未収録のちょっとしたコンテンツが収録されたスペシャルエディションがあるのだ。運よく私はそれを入手することが出来たので、ハッピーラッキーである。
古来よりたまき家にあったその悪女のコミックスを初めて読んだのは、確か中学二年の冬のことだったのを覚えている。今からおよそ20年くらい昔の話だ。
ずっと家の本棚にあり、取り出されることもなくなっていた年季の入ったコミックス一巻。それをなんとな~くパラパラ読み始めてしまったのが運命の始まりで、勉強そっちのけで一気にのめり込んでいってしまったのを覚えている。そして翌朝、所持者であった母に興奮気味に「悪女面白いね!!」と突撃したのも覚えている。
その後、友達に貸すために高校の頃も完読したし、大学の時も同じく友達に貸すために完読したし、社会人になってからも完読したし、無職になった時にも完読していたはずで、人生で四度か五度くらいは悪女のストーリーを、まりりんの奮闘記を、そしてまりりんの一途な恋を重ね塗りしていることになる。
私は漫画をそんなに読む方ではない。ジョジョでさえも各部二周くらいが精々なので(※推しの四部は四周くらいはしてるハズ)これはすごいことだと思ってほしい。
すべての女性たちへの物語
中学・高校の頃は単純にストーリーの面白さにワクワクして、引き込まれる、というよりは、とにかく本当に超・超!面白いストーリーの持つ引力に引っ張られるようにして読んでいたけど、社会人になり、そして最近、この令和の世になるにつれ、また別の魅力を感じるようになってきた。
「悪女-わる-」という作品は、「女性が働くと言うこと」をメインに描いているとは思うのだけど、それと同じくらい確かな重みで、「女性が自分のしたいように生きていく」つまり「女性の自由」ということを描いているように思う。
「悪女-わる-」の中では、働く女性も、結婚して家庭に入る女性も、同じくらいの尊さをもって描いている。これは深見じゅんが悪女の連載と同時期に、代表作である連作短編「ぽっかぽか」で主婦と母親、家族の物語を一貫して描き続けていたからだろうし、深見自身も漫画家として働く一方で、主婦であり母親だったからだと思う。
ひとつ、とても好きなシーンがある。
「悪女-わる-」の登場人物の中で私の最推しである女性キャラクター・板倉夕子。帰国子女の彼女は珍妙な言葉遣いがチャーミングな日本美人であり、物語の中でまりりんの良き友人となっていく存在だ。
「悪女-わる-」後半、物語全体の面白さのピークである、と私が評している海外事業部編のラストで、彼女が会社で築き上げたキャリアを捨て、専業主婦になると宣言するくだりを紹介させてほしい。
働く女性も、家庭に入り家を支える女性も、等しく尊く描いている。
そう感銘を受けて思わず写真に収めてしまったのだ。
長い物語なので、どこ編のどのシーンだったか忘れてしまったのだが、もう一つ感銘を受けた場面を載せたい。
女性の人材派遣会社のプロジェクトを担うことになった、まりりんの師匠であり、近江物産で一番出世していると自ら豪語する峰岸さんと、彼女の学友であり銀座のバーのママをしている才女・よしえさんとの場面である。
これが描かれたのはおそらく90年代前半のことであろうか。
今や2022年、元号も変わって令和の世となり、確かに以前と比べて少し、ほんの少しは女性にとって働きやすくなったかも知れないが、実際は全然なのだろうと思うし、未だに女性を巡る諸問題は緩和も解決もされていない。
30年前にこの悪女の中で願っていた「いつかくるそんな日」には、ちっとも到達出来ていないように感じられるし、進歩のないこの日本に愕然としてしまう気さえする。
が、愕然としたことを言いたいわけではなくて、その絶望は一旦おいといて、このシーンがとにかく優しい願いに包まれていることが、私にとってはただひたすらに感動するものだったのである。
仕事一筋でひたすらに出世を目指していた峰岸さんも、夜の街で企業戦士である男達をいたわるよしえさんも、どちらも働く女性であり、それと同時に、男性たちや社会、性差に縛られず、自由に、自分らしく生きたいとも願う女性である。
ここでも深見じゅんは二人を等しく尊く描いていると感じ入ったし、何より、よしえさんが微笑んで語るこの願いがあまりにも、はるか未来を生きる女達──つまり私達への温かいエールのように思えて、きっと私は涙を浮かばせながらこのシーンをスマホに収めたのだろう。
もっともっと、女性たちが自由に生きられる日が来ますように。
そう願わずにはいられなくなった。
深見じゅんを読んで欲しい
いやしかしこんな……こんなTwitterで書けば即バズっていろいろあーだこーだ言われそうなことを、深見じゅんは30年も前に描いていたのである。
いや~~~~……。
世界に埋もれすぎでしょう~~!! いくらなんでも~~~!!! ……そして、そういう作品は私が知らないだけで世界中にい~~~~っぱいあるんだろうな…。
深見じゅんは本当に全然知られていないも同然の作家だと少なくとも私は思っていたので、この度のドラマ化で再び注目されるようになれば嬉しく思うし、ドラマに合わせてBE・LOVE本誌に何か書き下ろしを載せてくれないか…とも思っているのである。
ここ最近の深見じゅんは、私が確認した限りでは2019年にBE・LOVEで一度エッセイ?漫画を載せたのが最後である。一番新しい作品でも連載終わったのが2014年、もう8年も経っている。えっ。2014年てもう8年前なんだ…。
最近は活動されていないみたいで、Twitterアカウントもない。あったら即フォローしてめっちゃリプ飛ばすんだけど…(迷惑)もしあるようだったら誰か教えてください。
ぽっかぽか
他の作品の話もしよう。多分一番の代表作は「ぽっかぽか」だろう。私が小学一年くらいの時にTBS系の昼帯ドラマで放送されていたし、一番長く続いた作品でもあるので勝手に一番有名な作品だと思っている。
麻美とあすかを心から愛するサラリーマンの夫・慶彦、専業主婦でぐーたらな妻・麻美、二人を「ちち」「はは」と呼ぶ純朴な心の一人娘・あすか。
郊外に住む三人家族の田所家とご近所さん、麻美の友人、慶彦の会社の人達などなど……さまざまな人達の家族・育児・子供・夫婦関係etcといったものを題材に話が紡がれつつ、タイトルの通り、ぽかぽかとする田所家の小さな幸せを描いていく連作短編です。
ちなみに私は「ぽっかぽか」を読むと数秒で泣いてしまうのだが(本当)(マジ)(どの話でも泣く)ぽっかぽかは悪女よりも更に歴史が深く、下手すると園児時代から読んでいたまである。
てか多分そう。何故なら園児時代にお気に入りだった色ペンでコミックスに落書きしまくった記憶があるから(…)てか掲載誌女性誌やぞ!(今はなきYOU)園児が読むなw!
話の内容が理解出来るようになって異常に泣けるようになったのは中学生の頃からである。
3年前に文庫でやっと全部揃えてやっと完走出来た。廊下の本棚の一番取りやすいところに置いてある所為で、何となく手にして読み始めてしばらく泣く……みたいなことも結構あったりする。
慶彦と麻美は私の理想の夫婦の一組で、いつか誰かと結婚するなら、田所夫妻みたいな二人になりたいな、と思っています。
むぅぶ
深見じゅんは本当にすごい作家であり、読まれるべき作品はいくつもあるのだが、個人的には「むぅぶ」をもっと沢山の人に読んでもらいたい。絶対に必要としている人がいる作品だと思っている。
失恋し、「いい女になりたい!」と願ったかつらのもとに現れた、丸い形の不思議な天使・むぅぶ。かつらを「ねがいびと」と呼ぶ彼に導かれ、かつらはいろいろな人々の心の傷を癒していく。果たして彼女は「いい女」になれるのか? そしてむぅぶの真の目的とは…。
初めて読んだのは高校生の頃だったかな。大分しんどかった時に読んでかなり心が救われた記憶があるし、今でも「むぅぶ」で教わったいろいろなことを折に触れて思い出すのである。むぅぶや出てくる妖精の言動、シーンの描き方、言葉運びなんかは創作においてもかなり影響されているなと感じます。
心が深い深い闇に閉ざされ、寂しさと孤独と苦しさに沈む人全てに届いて欲しい、そんな一作です。
くるみ
「悪女-わる-」ドラマ化の報を受けてから、いてもたってもいられなかったのでとりあえず積読してた「くるみ」を読み進めてる。
こちらも「むぅぶ」のように、次から次へと来る人間の心が抱える難題に、戦士(ウォーリアー)を目指して奮闘するバツイチ三十路のおばさん・くるみが立ち向かっていき、優しく浄化していくストーリー。まだ全部読み切ってないのですが「むぅぶ」と同じく勇気を貰える作品です。
というか、おそらく深見じゅんのフォーマットは「悪女」の頃から変わってないんだよな……箸休め回とか日常回とかいう概念が全くない……本当に次から次へとストーリーが面白く転がっていく。だからノンストップで読んじゃうんですよね。
東京ぬりえきせかえ
あ、あと今回はちゃんと文章を用意出来なかったけど「東京ぬりえきせかえ」もホンッッッット~~~に良い!
簡潔にオタクの言葉で書きます、最高の百合です。でもちゃんと男女恋愛もしてる。ツイートの再録と画像の引用でゆるして欲しい。
↑呻いてるからマジで百合なんだなって思う。
他のツイートでは「のっけから百合」とも書いてた……。
怒涛の画像引用失礼しました。「東京ぬりえきせかえ」は他の作品より比較的短め(全6巻)で何より色と桜が支え合って生きていく姿がとんでもなく切なく愛おしいので…。読んだら百合!!って叫ぶ。私がそうだった(こいつ百合苦手とか言っておいて女同士にたぎったらすぐ百合って言う…)
私をつくったもの
深見じゅんの作品は、「悪女-わる-」にしろ「むぅぶ」にしろ「東京ぬりえきせかえ」にしろ「くるみ」にしろ(「5秒前」だけ再読出来てないので除く)本当の意味で完全な悪人というのは出てこない。「ぽっかぽか」でもそうだと思う。
そう。深見じゅんの世界には「完全な悪い人はいない」という決まりがあって、その優しさに私は強く惹かれるんだろうな、と今回のことがきっかけで「くるみ」の積読を崩しながら、改めてそう感じ入った。
多分、中学生の頃から重ね塗っている彼女の世界観や哲学は、間違いなく私の創作や価値観に影響を与えていると思うわけです。
人によっては都合のいい世界とか甘いとか思われるのかも知れない。だけど、深見じゅんは人間の心が持つ負の面も闇も、時に生々しく、時に残酷なまでに明確に、それはもうくどいくらいに描きながら、それでもめげずに人の優しさと明るさを信じて作品を丁寧に描き続けていたのです。
それが私にはとても素晴らしく思うし、私も同じ創作をする者としてそう在りたいと、今改めて強く強く感じ入る次第です。
最後にもすこし「悪女-わる-」の話
「悪女-わる-」のドラマがどういうものになるのかわからないし、嫌な予感がするし、私は原作だけを愛したいので見ないかもしれないけど、最後にもう少しだけ。
「悪女-わる-」には本当にいろーんな、働く女性たちが出てくる。
ある人はエリートな男を捕まえて、幸せで裕福な結婚をするために。ある人は女性が社会で認められるために。ある人はとりあえずお給料をもらって、楽しくテキトーに生きるために。
そしてある人は、一目ぼれした好きな人に、自信の持てる自分で、胸を張って会うために。
これが主人公のまりりんです。
「働く女性」なんて言っても、作中で堂々と他のキャラから軽蔑されるような、大した能力のない子や情熱のない子、結婚までの腰掛け程度の気持ちで働いている子もいて、とにかく様々です。
まりりんは近江物産の本っ当にいろーんな部署で働きます。時には出向もします。まりりんの目標である好きな人、T.Oさんのもとに辿り着けるまでに(そして辿り着いたあとも)これもまたほんっとうに沢山の人と出逢っていきます。
そうすることで、ひとくちに働く女性、OL──と言っても、その中には沢山の、様々な性格、多種多様な目標を持つ、それこそ十人十色な女性がいる、ということを、作者である深見じゅんが読者に伝えたかったからかも知れません。
このnoteがきっかけで、「悪女-わる-」を、深見じゅんを読もうかな、何か気になってきたかも、と思ってくれた方がいましたら、それだけでもう本当に嬉しいです。
ファンレターの送り先がわからないので、願わくばこのnoteが深見じゅん先生本人に届けばいいな、なんて思ったりもします。
私は間違いなく、深見じゅん先生の作品に影響されていきていますし、私が書く小説も、あなたの影響下にあります。
素敵な教えを、生きていく勇気を、あたたかい優しさと希望と愛おしさを、本当にありがとうございます。
よーし……。
「くるみ」読み終わったら、「悪女-わる-」人生で七度目か八度目の完読めーざそ! ……いや、再読出来てない「5秒前」読むか…? 短編集も沢山あるし、「みみっく」「SUPER G」も気になるよ~、「むぅぶ」ももう一回読んで泣きたいよ~! む~ん!
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