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2024年 芸術鑑賞記録_美術品展示編

展示(自分に刺さった順)

空海KŪKAI ー密教のルーツとマンダラ世界 @奈良国立博物館

奈良博おなじみのエントランス垂れ幕

https://www.narahaku.go.jp/exhibition/special/202404_kukai/

空海展は曼荼羅の展示のしかたがめちゃくちゃよかった。でっかい曼荼羅を壁に下げていたのはもちろん、仏像を並べて立体曼荼羅を再現したりしていた。弘法大師空海や最澄和尚をはじめとする祐筆の書跡も、目を見張る物ばかり。また、奈良博のゆるキャラ「ざんまいず」による子供向け解説パンフレットには、大人も楽しませてもらった。
今年は、奈良博の空海展と東博の神護寺展で、弘法大師の「風信帖(ふうしんじょう)」(弘法大師空海が最澄和尚に宛てた手紙。仏教の史料としてだけでなく、書跡としても有名)を2度も観たので、字が上達すること間違い無し!母と仁和寺のお坊様に自慢したら、それは良かったねと喜んでくれた。

購入したお土産と、チラシ・パンフレット。
奈良出身で書道してる私が書道具を買わないで、誰が買うんじゃい!という気概で、積極的に購入するようにしている。弘法大師にあやかって上達できますように。

田中一村展 奄美の光 魂の絵画 @東京都美術館

田中一村展のチラシ等広報ビジュアルでは、アンリ・ルソーを彷彿とさせる画風の奄美時代が前面に出ていたが、実際に展示を見ると、幼少期からずば抜けて画力が高く、墨絵も素晴らしかった。才能に嫉妬するとはこのこと。私は整理整頓が本当に苦手なので、紙の本や図録は買わず、書籍は電子で買うようにしているのだが(美術展の図録はキリが無い)、これは持ち帰って余す所なく凝視したいと思い、迷わず作品集を購入した。

私も早く、体力のあるうちに絵を描き始めないと、間に合わなくなってしまうな。ちょっと人生の前半で余裕をぶっこきすぎた。そろそろ真面目に、習うなりして取り組もうと思う。
お土産の写真は撮っていないが、クッションカバー、飾る用の絵数枚と額、ポストカード等を購入。今年の美術展で最も高額を消費したと思う。

本阿弥光悦の大宇宙 @東京国立博物館

俵屋宗達の絵に本阿弥光悦の書、天才×天才。でも、渋滞はしないんだな。屏風に宗達が絵を描いて、光悦の書を貼るの、すごくいい。日本舞踊の舞台背景用に、似たようなものを作れまいか…私がやりたいと言ったら師匠は快諾してくれそうなのに、等と考えてしまった。
この時買った群鶴図のクリアファイルは、風信帖柄と並んでお気に入りだ。
光悦謡本は、少し前の私ならピンと来なかったろうが、前年より能の謡を習い始めたので、よりグッときた。このタイミングでこの展示を見られて良かったと思う。

余談ながら、Kindleでは国会図書館蔵の光悦謡本を購読できる。Kindle Unlimitedなら無料だし、購入するにしても非常に安価だ。能楽を嗜まれる諸兄諸姉は是非ご参照されたい。

しかし、国立博物館には、硯箱の廉価なレプリカをもっと作ってほしいものだ。プラスチックでいいし、なんなら硯用でない普通のケースでいいから。

マティス 自由なフォルム @国立新美術館

マティスの油画(椅子のある部屋シリーズなど)は結構好きなのだが、切り絵についてはこれまで、あまりピンときていなかった。
この展示では晩年の切り絵を中心に、マティスがデザインした衣装や教会が展示されていた。見ているうちに心が和み、その魅力に虜になってしまった。特に、青の使い方が好きだと思った。

教会は、太陽の浮き沈みによって、ステンドグラスの色が教会構内に差すよう計算されていたそうで、展示では太陽光とそれによるステンドグラスの影を模した照明が映し出されていた。撮影は可だがSNS掲載は禁止だったので、公式サイトで確認していただきたい。

どデカい作品「花と果実」全貌
よくみたらブルーは一色でなく、何種類もの青を切り貼りすることで立体感を表している。
すっかり気に入り、Tシャツとポスターを買った。
展示の最後に掲げられていた、有名な「木(プラタナス)」は墨で描かれたと知り、嬉しかった。結構修正痕がある。

美術館/博物館

本来であれば、展示に挙げた東博や奈良博も挙げたいところではあるが、キリがないので、ここでは、①今年通い始め、かつ②展示別に挙げなかったが気に入りの美術館のみを挙げるに留める。

山種美術館ー「花・flower・華2024」、「犬派?猫派?」、「東山魁夷と日本の夏」、他

コンスタントにいい展示をしてくれる山種美術館。日本画のコレクションを多く所有しており、類似の他の美術館に比べてさほど混んでいない(表参道の太田美術館や青山の根津美術館は外国人観光客にも人気だが、しばしば混み過ぎている)し、土産物もセンスがいい。そして、カフェでは展示にちなんだ和菓子を出していて、何重にも楽しい。
どの展示でも一点は撮影可にしてくれる太っ腹美術館。せっかくなのでお裾分けさせていただく。

長沢芦雪「菊花子犬図」
クッションカバーは迷わず買った
竹内栖鳳「斑猫」
栖鳳はモデルの猫を人の家からわざわざもらってきたのに、最後まで面倒は見なかったらしい。
東山魁夷「緑潤う」
魁夷は木を描くときに青みを効果的に使う
温かみのある福田平八郎。パーソナルカラーがイエベ秋の私に似合いそうな色味
猪を担ぐ埴輪

年間パスポートに相当する「山種メンバーズ」はコストパフォーマンスが良いので、東京23区に頻繁に行く人には是非お勧めしたい。通常入場料1,400円のところ、6,000円で年間パスポート特典がある。5回行けば元が取れる。
私は昼に日舞稽古(於池袋)を終えた時や、渋谷で所用を済ませて少し時間が余った時(セルリアンタワーでの観能後など)に、よく足を運ぶ。駅から少し遠く、急勾配を15分ほど歩くが、カロリーを多く消費したい私には、ちょうどいい運動になる。急いでいる人や足の悪い人は、渋谷か恵比寿からバスを使うといいだろう。

カフェのお菓子もセンスがいいし、いいお味だ。何より、日本画を見た後に和菓子とお茶をいただくのは、気分がめちゃくちゃいい。ただしラストオーダーが16時なので、時間に余裕が無い時は、スキップするか、先にカフェでお菓子をいただいてから展示を見る等、柔軟に行動されたい。

奥村土牛「醍醐」(右)にちなんだ練り切り
奥村土牛「睡蓮」にちなんだ水羊羹「涼やか」(東山魁夷と日本の夏)

根津美術館ー「国宝・杜若図屏風ーデザインの日本美術ー」、「夏と秋の美学ー鈴木其一と伊年印の優品とともにー」他

表参道・原宿からそう遠くなく、日本の美術品や庭園を鑑賞できる施設だからであろう、いつも外国人観光客らしき人々を多く見かける。みんな大好き、隈研吾の建築だそう。

展示スペースは1Fに特別展、2-3Fには中国の青銅器や茶道具が常設展示されている模様。こじんまりとしたスペースで作品数は少ないながらも、企画に沿った見応えのある展示をしてくれる。
年間パスポートは一万円ほど取られた。特別展を一回見るのに、前売1,500円、当日1,600円だから、割安とは言い難い。7回足を運んでようやく元が取れる計算だ。

庭園も作り込まれており、特に、春から初夏にかけては、杜若が美しく咲いていた。
庭園内のカフェはいつも混んでいて、私はついぞ行った事がない。美術館内のカフェは早々に諦め、青山霊園を突っ切って、銀座ウエストまで行くことにしている(六本木の国立新美術館の後も然り)。

ポスターのデザインもモダンでいい
群生する杜若
見事な中庭
ここでも本阿弥光悦

太田美術館ー「月岡芳年 月百姿」、「浮世絵お化け屋敷」

江戸時代〜明治維新後にかけての浮世絵を多く所蔵するこちらの美術館は、原宿駅から程近く、明治神宮の表参道から少し斜めに入ってすぐの場所にある。立地の良さからか、観光客で賑わう(時々は鑑賞の列が詰まり、前に進めないほど)。
月岡芳年や歌川国芳等の浮世絵が状態良く保存されており、つい先年に刷られたものかと錯覚しそうなほど。江戸時代の「ベロ藍」や、維新後の芳年の画に多用された、着物の染料にありそうな鮮やかなショッキングピンクや紫にも興味をそそられる。
虎子石のぬいぐるみポーチや、擬人化猫のアクリルスタンド等のお土産も楽しい。

その他(選外)

単に記憶が薄れていたり、記録に乏しかったり、文章を書く気力が持たないというだけで、それぞれ展示は普通によかったです。

第76回正倉院展 @奈良国立博物館

特別展示 お水取り@奈良国立博物館

https://www.narahaku.go.jp/exhibition/special/202402_omizutori/

特別展示 おん祭と春日信仰の美術―特集 春日の御巫― @奈良国立博物館

https://www.narahaku.go.jp/exhibition/special/202312_on-matsuri/

興福寺国宝館

興福寺北円堂 特別公開

春日大社国宝殿

「神護寺ー空海と真言密教のはじまり」 @東京国立博物館

杉岡華邨書道美術館(奈良)

特集展示「弘法大師と東大寺真言院」 @東大寺ミュージアム(奈良)

デ・キリコ展 @東京都美術館

印象派展 @東京都美術館

総括と来年の抱負

洋画よりも、日本画、書画、仏教絵画/彫刻に興味を持って鑑賞した一年だった。舞台芸術鑑賞においても、これまで見てきたバレエより、能を始めとする日本の伝統芸能に比重を置いていたので、相関していると言えよう。

来年はどんな絵や書や工芸品を鑑賞できるだろうか。既に根津美術館では古筆切展が始まっているし、大ゴッホ展も控えているし、楽しみだ。

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