第101回箱根駅伝 エントリーチェック
第101回箱根駅伝のエントリーが締め切られ発表になりました。
前にも書きましたが、こういう記事を見る時には、「誰がエントリーされているか」というより、「誰がエントリーされていないか」を見るのが駅伝ファンの常です。なので、ここではそういう視点から色々とコメントをしていこうと思います。
私が注目している大学だけです、すみません。
エントリーメンバーのリストについては、公式のページをリンク貼っておきます。
第101回箱根駅伝エントリー
まず、ざっと見た所では、今年はエース級のエントリー漏れはありませんでした。この事は良かったな、と思います。
その上で、注目校についていくつか。
青山学院大学
目立つ所では、全日本大学駅伝の3区で区間5位で走ったスーパールーキーの折田選手がエントリーされていません。
また、青学では、全日本駅伝後の世田谷ハーフ・宮古ハーフを重要視しています。
特に世田谷ハーフはコースが起伏が多く厳しいコースで、ここで好走した選手は箱根駅伝でも好走する事が多く、青学の選手選考では非常に重要視されています。
ここで上記リンクの通り、多くの選手が好タイム(7人が63分半切り)で走って青学の層の厚さを見せつけていたのですが、その上位陣から3位:中村選手、5位:本間選手(10位:熊井選手も)が外れました。なので、世田谷上位陣では1位:安島選手、2位:平松選手、4位:佐藤愛斗選手、7位小河原選手の4人がエントリーとなりました。
青学の出走選手予想
それで、エントリーを踏まえて、青学の出走選手を予想します。その上では、実はMARCH対抗戦の結果が重要だったりします。その辺りの事情についてまとめてくれているツイートを紹介します。
非常に分かりやすいですね。これを見ると、青学の箱根出場において、MARCH対抗戦が非常に重視されてきた事が一目瞭然に分かります。過去、山区間以外でMARCH不出場で箱根に出場したのは、佐藤一世選手と岸本選手だけです。2人とも駅伝で実績のある、いわゆる「駅伝男」で、しかもそのクラスの選手でも出場は復路の7区・8区といった所になっています。また、MARCHで上位だった選手が出走している事が多く、MARCHで外していて走った選手は去年の塩出選手くらいでした。
その辺りを踏まえると、かなり出走メンバーは予想できそうに思えます。元々青学は去年の出走メンバーが7人残っていて、全員が好走していたので、割と予想はしやすい面がありました。例えば、5区・6区は恐らく若林選手・野村選手で、2区も黒田選手でしょう。同じくエースの太田選手・鶴川選手が1区・3区・4区のどこかを走り、往路の残りと復路7〜10区を残りの選手が走る、と。
その上で、MARCHの結果を見て、過去の傾向から見れば、9区に白石選手が入るでしょう。去年2区区間賞の黒田朝日選手は1区9位から追い上げて区間賞で追い上げを苦にしないタイプなので、鶴川・太田両選手が3区・4区を占め、1区を荒巻選手か安島選手、小河原選手あたり、他の復路3区間を残りの選手(前出の選手+田中選手、佐藤愛斗選手、塩出選手あたり)で争う形でしょうか。非常に豪華なメンバーが揃いそうですが、復路は決め手に欠ける気もします。
國學院大学
國學院は、優勝した出雲・全日本のメンバーは全員登録されています。一方、前回の復路で好走した鎌田選手(8区6位)、田中選手(7区7位)が外れたのが目立つ所でしょうか。逆に嬉しいサプライズは、長い間レースに出ていなかった佐藤快成選手(前々回10区4位)の登録でしょうか。佐藤快成選手は登りが得意で5区向きの選手と言われていたので、國學の懸案の5区の救世主になってくれるかもしれません。
國學の出走選手予想
國學は、優勝した出雲駅伝のメンバー6人+高山選手は恐らく出走するでしょう。全日本メンバーのあと1人・嘉数選手か前回6区(10位)後村選手のどちらかが6区と予想されます。残り2人は、6区を外れた方と、前回9区7位の吉田選手、上尾ハーフ2分台の中川・鶴の両4年生、前述の佐藤快成選手、山登り要員と噂の飯國選手辺りが争う形でしょうか。9人目・10人目の出走争いが最も高レベルの大学だと思います。
駒澤大学
駒澤大学で真っ先に目立つのは、出雲・全日本に出場した島子選手のメンバー漏れ。合宿で怪我したそうで、割と痛い欠員情報だと思います。また出雲記録会で好走した金谷選手、2年前の激坂王3位の宮城選手も外れました。特に山登り要員の宮城選手が外れたのも痛いと思われます。さらに、今年ほとんどレースには出ていませんでしたが、去年10区区間4位の庭瀬選手も外れています。逆にこちらも良いニュースは、佐藤圭汰選手が無事にエントリーされた事。順調に練習もできているそうで、非常に楽しみです。
駒澤の出走選手予想
佐藤圭汰選手がちゃんと出走するとして、篠原選手、佐藤圭汰選手、山川選手、伊藤選手の4人は間違いなく走るでしょう。出雲・全日本で好走し上尾ハーフ上位の帰山選手、村上選手、ルーキーの桑田選手、谷中選手も恐らく走ると思われます。ここまでで8人。あと2人は、全日本好走で上尾ハーフを62分台でまとめた安原選手と、上尾ハーフで62分半ほどで走った吉本選手・小山選手の3人が有力で、上尾ハーフ2分台の森重選手も可能性あり、といった所でしょうか。國學や青学と比べると10人目争いの層の薄さは否めない部分はあり、島子選手や金谷選手が外れた影響はあると思われます。
中央大学
とりあえず今年は3強が中心なのですが、それ以外の注目校として筆頭なのが中央大学だと思っています。というのは、戦力的には3強に匹敵するだけのものがあるのに今年の結果が芳しくなく、そのため、予想が難しいという面でも注目に値すると思います。中央大学がどうなのかで、シードの枠も変わってきますし。
それで、エントリーをチェックすると、前回5区の山﨑選手と前回10区の柴田選手が外れています。柴田選手は今年大きく成長して、主力の1人と目されていただけに、このエントリー漏れは痛手です。また山要員の山﨑選手が外れたのも痛い。山の経験者である阿部選手の調子が今年あまり良くないので、山登りをどうするかは今回の中央の大きな課題になります。
中央の出走選手予想
ただし、何度も書いている通り、今回の中央は戦力は十分にあります。往路要員としては、吉居、本間、白川、岡田で十分に通用すると思います。登りは阿部選手が走るか、他の選手がいるかは分かりませんが、下りは浦田選手がいて、予選会好走のルーキーの原田選手・佐藤大介選手は箱根でも楽しみです。エース格の溜池選手が復帰すれば大きいですし、4年生の山平選手も予選会・MARCHとしっかり走れています。それ以外にも予選会やMARCHで走れている選手を登録していて、層は十分にあると思います。
大東文化大学
もう1校、上位を狙えるのは早稲田大学かなと思っていますが、早稲田のエントリーは本当に無風で、エントリーされるべき選手が順当にエントリーをされていたので、エントリー段階で波乱のあった代表的な大学である大東文化大学を取り上げます。
大東文化は、留学生エース:ワンジル選手がエントリーから外れていました。実力的には大東の中でも1、2位を争う選手だとは思うので、普通に痛いですね。
しかし、ワンジル選手は非常に扱いの難しい選手でもありました。元々、メンタル的に強くなく、エース区間で他校のエースたちと争うのには向いていない選手でした。しかし、繋ぎ区間で格下の選手相手に無双する事はできていた選手だったのですが、最近は駅伝でブレーキ続きでした。前回の箱根駅伝、順調にシード圏内7位で走っていた大東大は、8区ワンジル選手の区間最下位のブレーキで一転、シード圏外の11位に落ちてしまいました。その後、9区10区選手の奮闘でなんとかシード権内に滑り込みますが、薄氷のシード獲得でした。また、今年の全日本大学駅伝でも5区終了時で7位とシード圏内だったのですが、6区ワンジル選手のブレーキで12位まで落ちてしまい、その後の挽回も11位がやっとでした。なので、調子が上がらず不安定なワンジル選手を外す決断をしたのだと思います。真名子監督にとってワンジル選手は普通の留学生ではなく、高校時代からの教え子だったので、断腸の思いだったのではと推測されます。
大東の出走予想選手
と言っても、今年の大東は楽しみな選手が揃っています。全日本大学駅伝を走ったワンジル選手以外の選手は、エース区間に抜擢されたルーキー中沢選手が大学駅伝の洗礼を受けて区間14位でしたが、それ以外は順当に走れていました。(中沢選手も出雲駅伝では堅実に走っていて、さすがにエース区間が荷が重かっただけでした。)代わりのエース候補として、上尾ハーフでU20記録を出して優勝した棟方選手が名乗りを上げています。西川選手か棟方選手が2区を走り、もう1人と入濱選手・大浜選手とで往路は十分戦えそうです。山登りは前述の中沢選手が名乗りを上げています。全日本の長距離区間を堅実に走った西代選手・大谷選手がいて、去年復路で好走した小田選手・佐々木選手と、計算のたつ選手が10人近く揃っています。山さえ乗り切ればシード権を獲得できる戦力は揃っていそうです。
その他の大学について
それ以外の大学では、密かに注目しているのが山梨学院大学と日本体育大学です。
特に山学は前評判は良くなく注目度も低いですが、留学生キピエゴ選手は強力で、しかも山登りに弓削選手がいるので、実は侮れないと思います。今年、大崎監督が就任して以来、チームは好調で、予選会も3位通過、自己ベストも続々更新しています。展開次第ではひょっとするとシード権もあると思います。
日体大も近年にないほどチーム状態が良く、全日本大学駅伝の予選会も箱根の予選会も危なげなく通過し、全日本大学駅伝では最後までシードを争いました。全日本のシードは8校と箱根より狭き門なので、日体大のシードは十分に可能性ありです。
両校とも、堅実なエントリーで、エントリーされるべき選手がちゃんと入っていました。本戦でどのような走りを見せるか、非常に楽しみです。