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どんな道でも。

riraさんの記事に感動しまくりました。その記事にて七田さんの素敵企画を発見。すぐさま参加します。十六夜杯の俳句を用いて創作をするというもの。創作の楽しみを満喫できる素晴らしい企画です。(ごめんなさい、一句だけ僕も皆さんも大好きなアポロさんから引用させていただきました)


蟷螂やひどいと言われても困る

重機にも斧ふりあげる蟷螂ぞ

おい!カマキリ、なんなんだお前は。怖いんだよ。そこ車道だぞ。車が通れば即死だぞ。そんな道の真ん中で、なに自慢げに両腕振り上げてんだ。何が見えてるっつうんだよ。重機か?熊か?そんなものに敵う訳ないだろ。それに実際はお前の正面には何も居ないじゃないか。

なあ、カマキリ、お前には人間には見えない何かが見えているってのか。それは一体なんなんだ。俺にもお前が見ているその景色を見せてくれよ。無謀なことにも果敢に挑むお前が見ている映像を俺にも見せてくれよ。

はあ、カマキリ、勘違いすんなよ。お前のこと尊敬しているとかじゃあないぞ。鈴虫のように綺麗な音も出せない虫ヤロウ。難しい漢字表記もある意地悪ヤロウ。なんだよ蟷螂って。とうろう、とも読むのか?読めるかよ。馬鹿にしてんのか。鎌切だけでいいだろ、お前みたいなもんはよ。

ロウソク、蝋燭みたいな雰囲気出しやがってよ。あれか、誤字させる気か。カマキリが嫌いだって書きたい所をロウソクが嫌いだなんて誤字らせて、人から笑い者にさせる気か。そうなんだろ。だから嫌いなんだよ、蟷螂。

うん?カマキリ、ひどいって?ああ、ひどいかもな。でもな蟷螂。今日だけは許してくれ。俺もお前と一緒で見えない何かが見えてんだ。そいつが襲ってきそうで怖いんだ。そんで、お前みたいに斧を振り上げることもできないんだ。

どうすっかな。


一本を早めたバスの異世界よ

朝ってなんでこうも固定されているのかしら。明日こそは一本早いバスに乗って、息を切らさずに席に辿り着きたいって思っているのに。

思うだけで終わっちゃう。

今日も時間という悪魔みたいな何かと闘いながら、身支度してる。

時間は無いのに食欲は有る。

母の作ってくれる朝食は最高に美味しい。

あの絶妙な焼き加減の目玉焼きも、なんの出汁を入れたらあんなにも美味しくなるのか理解不能な味噌汁も。

全てが完璧。

ついつい、朝食堪能してたら、さらに時間が無くなって。

結局いつも小走り。

バス停までも小走りだし、席までも急足。

最近新調したワイヤレスのイヤホンから流れてくるバラードも1.5倍速になったかのように感じる始末。これじゃ、あいみょんもbacknumberも台無し。

それで、決心した。

今日こそは一本早いバスに乗るって。作戦は昨夜考えに考えた。何度も脳内会議を重ねた結果、起きる時間を早めるのは無理だと結論付いた。

じゃあどうするかって、究極の選択だけど、大好きな朝食を抜くことにした。

それで今日、母に謝って朝食を食べないで、家を出た。

ゆったり歩いても、普段乗っている一つ前のバスに、ちゃんと乗れた。

やったね、ミッション完了だ。

一つ前のバスってだけなのに、乗っている人、結構違うんだね。

あれ、あいつは。坂本君じゃん。

いっつも余裕のある態度で席に座っているから、もっと早くのバスに乗ってるかと思ったけど、なんだ一本早いだけだったんだ。

なーんだ。

じゃあ私もこのバスに乗るようにすれば、坂本君みたいな雰囲気で席に座っていられるのか。

良いね。明日からもこのバスに乗ろう。

うーん、でも明日も母の朝食、食べれないのは辛いから週1、いや月1でいっか。

そうしよう。

バスを降りて学校までの道を歩く。少し前には坂本君がいる。通学路とは違うとこに坂本君は曲がった。気になって覗いてみたら、坂本君の目の前には両腕振り上げた蟷螂がいた。

そして坂本君は、その蟷螂に話かけてた。ヤバいもん見ちゃったと思って、私は結局急足で学校に向かった。

坂本君は、その日から一度も登校していない。

秋はなにを奪ったの?

わかんない、わかんないよ。別に仲が良かったわけでも無いし。

でもね、こうあって欲しい。

坂本君は、ふらっと一人旅に出たい気分になって旅に出たんだ。そこでは学校では学べないことがいっぱいあって。それを全身で聴いてるんだ。

日本一の山の麓でさ。萩さえも、坂本君の一人旅を応援してくれててさ。そんな風景を見た坂本君も喜びに満ちちゃってさ。

道の先に満ちがあった。

なんてくだらないギャグを言って、ひとりほくそ笑んで、また何処かの道を歩いてる。

坂本君はそうしてるんじゃないかなって、私は思う。

だって秋だから。

芸術も、読書も、食欲も実らせてくれる秋だから


一人旅荻の招きもむがしやな


今回使用させていただい句はこちらにも、まとめて掲載されています。俳句を自分で作るのはハードル高いなって思っている方、素晴らしい俳句を堪能して想像を膨らます、という楽しみ方はどうでしょう?とてつもなく面白いですよ。

終わり

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宝積たまる
ここまで読んでいただきありがとうございます。