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冬の海(ショートショート)

これでやっと終わる。眼前には冬の海。波が岩壁に幾度も砕かれている。人をひとり殺すたびに俺も、ああやって砕かれていたんだろう。殺していたときは大切な人を守ることだけを考えていたから気づかなかった。だけどもう疲れた。こんな俺をも想ってくれる彼女も母さんも妹もいるのに贅沢な奴だなんて言われるんだろうな。

でもどうしようもないんだ。

後戻りできないと気づいた頃、俺の心は執念、怨念、増悪まみれの青の炎で包まれてしまっていたんだ。

この青の炎を消すことができるのは一つだけ。光だけ。あっ、きた、その光。おおきな、おおきなトラックから放たれるその光。その光を身体全部で受け止めた時、やっとこの炎は消える。ああ、これでやっと、あの荒れた海の下、穏やかな世界に向かうことができるのだ。

青年はトラックに砕かれた。波に何度打たれても砕かれることのない岩壁であれば、あんなトラック跳ね返せただろうに。

愚かな人間を嘲笑うかの如く、岩壁は押し寄せる波波を砕き殺し続けている。


昨日は『冬の海』を想像しながら俳句を詠んだけど、今日は小説の形で書いてみました。


ちょうど青の炎というミステリー小説を読み終えた所だったので、主人公の気持ちになって書き添えて見ました。


イメージした冬の海は昨日と同じくこちら。

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一つのテーマ(今回で言えば冬の海)に対して、俳句的観点、小説的観点に立って創作するって、とっても面白い。

今後も定期的にこの手法で創作してみようっと。

終わり

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宝積たまる
ここまで読んでいただきありがとうございます。