窓枠の外。額縁の空。
雲ひとつない青い空が澄んでいて、何処までも高く遠く、広い。
窓枠が、空を飾る額縁に思えた。
私もあの額縁の中に収まる空の一部になれたなら、誰かを感動せしめる存在になれるのか。
手を伸ばして、足を蹴り上げて、飛び出したくなった。
けれど、現実は現実である。私は私である。私は空でもなければ、私は鳥でもなくて、私は綺麗でも、私は澄んでもいない。
だから、飛び出したところで、蹴りあげたところで、真っ逆さまに落ちるだけだ。
落下して、それこそ誰もが顔を歪め、悲鳴をあげる、忌まわしい死体となる。
それを知っているから、私は悲しくなって、叶わない白昼夢に涙した。
墜落する間際、その一瞬に飛ぶことができればいいなんてことも考えたけれど、それでは死んでしまうから。
死を伴ってしまうなら、無責任な宿望は行動とはならない。
知ってるから、誰かを悲しませるしかない私に、さらに涙した。
私は誰かに、大切な人に、大好きな人に、綺麗だと喜ばれるだけの、青い空になりたいだけなのに。
私は私以外になることで、喜ばれたいだけなのに。