7月6日公演分立川文庫「大阪城冬之陣」ここまでのあらすじと今回の見どころ


ここまでのあらすじ

 1614年。いよいよ開戦間近の豊臣VS徳川の戦国最後の大合戦。圧倒的に人材に乏しい豊臣家は数多の浪人を城内に抱え込む。その中に真田幸村後藤又兵衛という二人の男がいた。二人とも天下に名を知られた戦上手。
彼らの入城は城内に元気と喜びを与えて、さっそくどのように戦をするか会議をすることとなる。
この時、後藤又兵衛を主軸に真田幸村、荒川熊蔵、木村長門守などそこそこ戦がわかっている連中は、城の外へ打って出て、徳川を撃破するという迎撃作戦を主張する。
一方の大阪城内諸将のうちの筆頭・大野治長をはじめ大野道犬斎、渡辺内蔵助ら、あまり戦の分かっていない連中は城にこもって籠城をする籠城作戦を主張する。

 籠城側の言い分は後藤又兵衛の歯にきぬ着せぬ物言いと、荒川熊蔵の大声によって論破され、会議は近畿一円を戦場とした大規模迎撃作戦に決しかけたが、その時に会議の末座から発言を求める一人の男が後藤又兵衛に待ったをかける

今回の見どころ

 今回は小幡勘兵衛という男が登場する。
戦国の名門、武田家に所縁の人で、後に江戸時代の軍学のスタンダード、甲州流軍学を起こす。なぜ大阪方に入城している男の軍学が江戸時代、つまり徳川時代のスタンダードになるのか。これには当然理由がある。そのあたりを後藤又兵衛は見抜いているのだけれど、この小幡勘兵衛VS後藤又兵衛の論戦から今回は話が始まる。
 さらに、今回は若干恋愛要素も絡んできている。大野治長と淀君だ。豊臣家で一番偉い豊臣秀頼の母、淀君。まだ秀頼が幼いのでかなり意思決定に左右をする女だ。
この淀君が大野治長とできている、とするのが「大阪城冬之陣」だ。
故に今回も大野治長がいよいよ論破されそうになると、淀君が助け舟を出す。
この助け舟、かなり的外れなのだけれど、的外れだからこそ皆が黙る、というタイプの奴。
時々会議が的外れな結論に落ち着く時のあれ。
結構偉い人がそういうことをいうので、会議がそれで終わってしまったりする。
この淀君の大野治長への愛ゆえの、的外れ感も楽しんでいただきたい。

 そして師匠のパートではついに大阪の陣の開戦。どの武将のどの部隊がどのあたりに配置されていくか、というのを語っていく。講談のリズム感が楽しい場面になる。
そして開戦直後、徳川の渡辺勘兵衛という豪傑が登場する。大きい声の豪傑。
しかし講談に出てくる豪傑で本当に強いやつは、声とかは小さいのである。さて、渡辺勘兵衛の運命やいかに。

今回のめあてと雑感

 小幡勘兵衛と後藤又兵衛の議論。小幡勘兵衛の小物感、でも才能全くなくはない感じを出していきたい。多分理論的には小幡勘兵衛が勝っているんだけど、経験と人間の魅力で後藤又兵衛が論戦に勝つ、という感じを上手く出せればいい。
個人的には淀君を演じている時が楽しい。
淀君はかわいそうな人だと思う。追い詰められやすい人だ。家族を戦で無くし続ける人生だから、自分の子供の命にこだわるのもよくわかる。
でも、周りからは過保護で高慢だと誤解されてしまう、みたいな。
過保護の理由を考えれば同情の余地しかないよな、と思う。
俺だけはあんたのことわかってるよ、というような気持になってしまうなあ。これが淀君の魅力なのか。
淀君主人公の新作講談書きたいなあ、と思っている。今回の講談とは関係ないけど。
でもその新作講談を自分で演じるとなると、淀君の感じをこの『大阪城冬之陣』で掴んでおかないといけない。

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