日本語受け身の多様性
こんにちは。
ランケミストtamacoです。
英語の時間に「受動態」って習いますよね?
中学の時、能動文から受動文への書き換えを
ひたすらやらされた記憶のある方も多いと思います。
受動態にした文の訳が、すごく不自然だと思ったことは
一度や二度ではないと思います。
「リンゴはそのネコによって食べられた」とか
「この服は父親によって洗われた」とか。
なにこの変な日本語!
こんな日本語だけど日本語じゃない訳にモヤモヤして
耐えられなかったという方もおられるのではないでしょうか?
なぜ英語に「受動態」という表現の仕方があるのかについては
下記のサイトに説明してもらうことにして、、
以下では、荒川洋平『日本語という外国語』を参照しながら、日本語の受け身表現を見ていこうと思います。
日本語の受け身表現
1.非情の受け身
なんか、これだけ聞くと、冷酷・残酷な表現みたいな感じがしますが、
もちろんそうではありません。
非情の受け身とは、出来事を中心にすえた文のことです。
英語の受動態と同じ表現です。
感情を持つ(有情である)人間が出てこないので「非情」と呼ばれるわけです。
例文を挙げると
「画家○○の個展が故郷長崎で開かれた」
という感じになります。
なんだか、新聞に出てきそうな表現ですね。
これは、近世までの日本語には見られなかった表現らしく、
現代の私たちでは気づきにくいですが、明らかに翻訳調の文型だそうです。
迷惑の受け身
さて、これは英語にはない受け身表現です。
読んで字のごとく、
話し手が迷惑だと感じたそのニュアンスを伝える受け身表現です。
日常会話では、先程紹介した「非情の受け身」より頻繁に出てきます。
例えば
「連絡もなく義母に来られて大変だった」
「笑かそうと思って変顔したら子どもに泣かれて困った」
「孫に勝手に自分の動画をtiktokにあげられた」
「思い出の映画のチケットを母にごみと間違えられて捨てられた」
といった表現です。
どの文も、「~される」とういう表現から、
話し手がなんらかの迷惑をこうむった、というニュアンスを読み取れますよね。
さて、上の4つの文をみて、何か気づきませんか?
英語にしてみると・・・
わかりましたか?
ヒント:動詞に注目してみて!
そう、その通り、
上2つは自動詞、下2つは他動詞の文になっていますね。
??となった方、英語のセンス、ありますね。
英語では、他動詞の文しか受動態にできないはず。
そうです。そうなんです!
なんと、日本語では、自動詞も受け身にできるんです!!!
迷惑の受け身は、自動詞・他動詞に関係なく、受け身にできるのです。
いや~ おもしろいですね~
もしかしたら、この日本語独自の受け身表現に気づかず、
直訳して英語では非文の受動態文を作ってしまう学習者もいるかもですね。
ということで、今回は、日本語の受け身表現の多様性をみてきました。
普段何気なく使っている日本語の表現も、英語と比較しながら改めて考えてみると、案外知らなかったことがたくさん見つかります。
これが外国語を学ぶ醍醐味だと、私は思うのですが。
みなさんはどうでしょう?
ことばを学ぶって楽しい!
そう感じていただけるととても嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。