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正直に、正直に

「買おう」

思い立った数秒後に足は本屋を目指したて歩き出していた。
お供は小5の次女。

漫画なんて買ったのは100年ぶり。
レジに持っていくとお高くてちょっとだけ驚いた。
漫画なのに2000円!ひぇー

今の漫画が高いのか?この漫画が高いのか?
漫画からしばらく離れていたので相場は知らんよ…。

きっと少し前の、わたしなら絶対に漫画は買わな買った。
もう、大人だし、今さらね…。それに漫画を買うぐらいなら新刊の小説でも買うわってなもん。

でも、今日は違う。
思い立ったら直ぐに買った。
理由は単純。欲しいと思ったから。

自分に正直に。自分を許す。自分の本音を認める。が、最近の大テーマ。

それに元ずいて行動するようにキャラ変の最中。
だから自分に湧き上がる要求に忠実に従うを許可している。

そんな簡単なことかよー?と思うけど、わたしにとってはこれはとんでもなく難しいことだった。

我慢は美徳
節約は主婦の鏡
子どもに贅沢は敵

いつの間にか根ずいていた心のスローガン。
いつできた?だれによって作られた価値観?

??に上手く回答もできないのにその価値観を抱きしめていていいのか?
それで楽しかったわけ?
いんや…いつも苦しかった。心地悪かった。

すっごく窮屈であることを認めて観念した。わたしはついぞ自分を許すことにした。

そんな風にして、欲しいと思ったものや自分を満足させることを許すと楽しいのだ。

あれもこれも欲しい。全部買うわ! ってな具合に財源溢れかえるお嬢様という訳にはいかないけど…。
そうはいかないと決めたのは誰だっての?
自分にかけてる制限こそが自分を囲う額縁。

わたしがわたしを許さなかったら、どんどん欲しいものは叶わない。

偽善者のわたしはそれを悪として絶対に認めなかった。
人の喜びに喜びを見出したい。世のため人のためでありたい。

ケーーーーッ

そんなの大嘘だ。
自分を満たしてないカサカサの人に満たされたいか?

わたしの答えはNOだ。
己が満たされてこそ、はじめて人に還元できるのでないか。

自分に厳しい人は、他人にも超絶厳しい。
自分に優しい人は、他人も許せる。
そんなもんじゃない?

だから一旦、全部よしとする。
これがわたしの新しい価値観。

人を傷つける傍若無人な振る舞いは論外だけど。自分のささやかな願いぐらい叶えてやろう。

夜にチョコ食べてもいいの。
太る罪悪感を手放すと不思議と太らない。

この化粧品でないと年齢に抗えないを手放すとどんどん肌が無敵になる。

何でもオッケーどんな自分も受け入れる。
わがままやん? と思えるけどよくよく考えるとそんなにわがままなことか?

自分がわがままだと思っていたことは全部他人を介さないささやかな望みなだけだった。

わがままと喜びの線引きを大きく勘違いしていた。

欲しいと思ったら買う。それを手にしていい自分を許す。
先程は湯船に浸かりながらコーヒーが飲みたいと思ったから風呂場で飲んだ。
風呂釜の端にお気に入りのマグカップ。最高かよ。
先週末は温泉に入りたいと思ったらその日に温泉にいってみた。最高かよ。

いつか、今度じゃない。いま叶えたいならいま叶える。

お供の次女にも好きな漫画も買った。普段、本なら買うけど漫画はアカンでモードでいたから次女はそれはそれは大喜び。

お気に入りの1冊を楽しそうに選んで帰宅の道中もずっと飛び跳ねるように漫画を抱きしめていた。
バレーのスポーツ漫画のそれにでてくるミドルブロッカーの選手の身長が162cmなのにジャンプの高さが333cmなんだと鼻息荒く教えてくれた。
そして自分は今、334cm飛び上がってる気分だと言った。相当な浮遊感にゲラゲラ笑いあった。
帰宅してからも、かれこれ1時間以上喜びに浸っている。

いいぞ。いいぞ。喜びなはれ。と思った。

毎日漫画買えばいいー!とかそんな短絡的なことではなくて、欲しいを楽しむは悪ではない価値観がここに誕生した。

正直に、正直に。
生き始めた。

買った2冊!

心では、泣いているのかもしれない

さくらんの帯

その言葉が妙に刺さる。
長らく心では、泣いていたのかもしれない。

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