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心優しきフランケン?

誰よりも大きな背中が誰よりも小さく見えた。
彼が傷ついてないといいなと思った。

今日は次女小5の運動会だった。
直前の予報は雨…延期かも?ビクビクしながら小学校からの最終決定の時刻7:30を待っていた。
一日予定が狂うだけで大人の事情でいろいろな手配や段取りに支障をきたす。延期日は平日のど真ん中。しかも上の子たちが2人が通う中学校の運動会日と重なるときた。
そして仕事がなんとか休めるのはわたしだけ。
本日の運動会が延期になった場合どちらの運動会に行くのが正解なのかわたしには判断しかねる…。
出場項目に合わせて運動会のはしご?考えただけで吐きそう。
多少の雨ならいとわないさ!もう何がなんでも本日の決行一択を神に願った。

そして願ったら叶った!運動会は本日無事に開催~♪しかも晴天!!!
でも実はビクビクのポーズの裏に確信があった。
最近、願ったら叶うフェーズに地味に移行してたりする。(エスパー力鍛錬の賜物?だったりして…ヘヘヘヘ)

天気って気合でコントロールできる気がしている。あくまでもどこまで主観なのであしからず…。

とにかく念力か、神の力か、雲のご機嫌か、のいずれかのおかけで晴れた。
よかった。よかった。

小学生も高学年にもなると随分大きい。大人とさほどかわらない…いや大人以上に大きな子がチラホラ混じっていたりする。
短パンに赤白帽の体操服姿がコスプレの様に見えたり見えなかったり…。

一番盛り上がるのは六年生のクラス対抗リレーだ。
白熱した戦いの中で事件は起こった。
バトンを渡すとき混戦状態の二組の走者が団子になり一人の女の子が吹っ飛ぶ形でグランドに倒れこんでしまった。

ぶつかってしまったのは学年一大きな男の子。170センチぐらいあるかも?ぐらい。
体操服の上に来た背番号つきのメッシュのランニングは張り裂けんばかりにパンパン。生地から悲鳴が聞こえてきそうなほど…。

悪気なくの接触。
女の子はしばらくグランドから起き上がることができず両膝を地面につけたままワナワナしている。
バトンはかろうじてつなぐことができたので、アクシデントに見舞われながらもバトンを繋ぐべく颯爽と駆けていく次の走者。

問題は…もう一人の走者。ぶつかってしまった大きな男の子はバトンを受け取る側の走者であったため本来なら一目散に駆け出さなくてはいけない…。

だけど倒してしまった女の子が友達や先生に囲まれながらなかなか地面から膝を離さないので、駆けるに駆けだせなくなってバトンをにぎりしめたままオロオロしている。

その様が人様のお子様に大変失礼な話だけど…大きな背中がまるでフランケンシュタインみたいに見えた。はちきれんばかりのゼッケンの黄緑もより一層フランケン色を濃くしていた。

しばらくその場から駆けだそうとしない大きな背中にむかって
みんなが
「行けー!」だの
「もう大丈夫だからとにかく走れー!」だの
「バトンを回せー!」だの
声援を送るもんだから、ハッとして一度女の子を振り返りながらフランケンは駆け出した。

一位でバトンを繋いでもらったものの結果はかなりの差をつけれてビリだった。

次にバトンをつなげてからもずっと倒してしまった女の子を目で追うフランケン。
ついには対角線上の女の子にかけよろうとうグランドを横断しようとしたところを先生に整列の中に引き戻される様が遠くからでも確認できた。

それを遠巻きでみながら勝手に心でアフレコ

「こかしてごめんなさい」
「ケガはないかい」
「僕、体が大きいから…強くあたったつもりはなかったけど…」
「膝するむいてるね」
「血が出てる…」
「ごめんね、ごめんね、ごめんね」
「僕を怖がらないで」

背中が泣いてるみたいに見えて切なくなった。

女の子は最初こそはしばらくダメージを受けたように見えたが涙を見せることもなく小走りで退場門へと消えていったので大丈夫だったのだろう。

そのあとその二人にどのようなやりとりがあったかは知らない。
アフレコはわたしの勝手な妄想でほんとは悪態ついてコノヤローしていたかもしれない。
ビリになったことをクラスのみんなから責められてかもしれない。
逆にみんなにフォローされたかもしれない。

ほんとのことはわからないけど
わたしの目には心優しきフランケンにしか見えなかった。

幼稚園時代から毎年参加し続けてきた運動会。ずっとずっとこうして10月には見に来ることが当たり前の数年。
気がつけば来年で小学生の運動会は終わり。
今年で長女の中学生の運動会は終わり。

子どもたちの成長と比例して終わりに向かう親の参加する行事。
当たり前の10月が当たり前でなくなるまで駆けてく姿をもう少し、もう少しだけ。

見ていたい。

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