見合って、見合って
「ママ、眉毛ピンクやん」
夕飯を食べている時、次女がわたしの眉毛を見て言った。
そう、わたしの眉毛は今日ピンクなのだ。
といっても、こんなピンクじゃないよ。
わたしのはきもちピンク眉毛
せいぜいこんな感じ。
わたしはわりとしっかり眉毛がある。
なので、存在感が幅をきかせすぎないように少しアッシュカラーぎみの施しをしている。
なので、ほんのりピンクだろうがなんだろうがはっきりいって普段とさほど変わらんな…
今朝メイクの仕上がりをみてそう思った。
メイクの仕上げにピンクのチークを小さなブラシにとり、完成した眉毛にササッとのせた程度だからそりゃ微細な変化に過ぎない。
そもそも、なぜピンクにしようかと思ったのかというと…
木村れい子さんの『開運福顔の作り方』
という本を読んだから。
ピンクの眉毛はとんでもなく運気がいいらしいのだ。
手軽に運を上げるとっておきの秘策として紹介されていた。ちなみに男性がしてもいいとのこと。
なんでもいいと聞いたらスルーできないたち。
挑めそうなものは実際やっみたくなるのだ。
秘策だし。
だから今日はピンクの眉毛。
ガッツリピンクでなくてもよくて、ほんのりとか、わずかでもその効果は充分発揮されるらしい。
運がいいことをしてると思うだけで運がいい気がする単純さを備えているおかげですでに運がいい気がした今日。
気分だけでもよかったならすでにその効果はわたしにはあったと思っている。
最近はなんでも主観次第説を採用しているので、いいもんはいい。うまいもんはうまい。それでいいのだ。
非常にお気楽。
気分だけよいをキープしつつもなぜ気分がいいんだっけの大元であるピンクの眉毛である意識すら忘れていた夕飯時に
次女がその微細な変化に気がついたことにとても驚いた。
「えっわかる?」
次女が得意気に
「すごいやろ!わかんねんから」
「ほんまにすごい!すごい」
お風呂に入る前のメイクを落とすときにもう一度、眉毛を確認した。
はっきりいって全然普段とかわんない。鏡に顔がつきそうなぐらい近づけて自分と見合って確認してもピンクとバレないんだけどな…。
次女なんでわかったのだろう…。
昨日と今日のわたしのメイク間違い探しを全人類に出しても全員が不正解だろーなぐらい難問クイズになる自信がある。
メイクをホワホワの泡で落としてながら考えていた。
次女って、めっちゃわたしのこと好きなんちゃうかな?…と。
普段ガン見されている気配なんて感じたことはなかったけど。
わたしが思っている以上にわたしの顔を見てるんや。
全人類不正解の難問に出題される前から答えることができた次女にわたしへの関心とただならぬ愛を感じた。
母の顔って子どもにとって、とても大切な情報手掛かりになるようだ。
よく考えたらそりゃそうだよな…。
まだ自分の力で生きれない扶養を必要とする身からしたら親の存在は命綱だ。
その綱を切るつもりなんてこちらは毛頭ないのだけど、機嫌の良し悪し、笑顔、泣き顔、眉毛の角度、口角の向き…それらを敏感に嗅ぎ分けることが生きる術なのだろう。
ピンクの眉毛に気がついた次女の種明かしを発見した瞬間、鏡の前で3ミリ背筋がピンと伸びた。
大人が思ってるよるずっと子どもの小さい心は些細なことで傷ついているかもしれないな。
大人は泣かないと思ってた子ども時代のわたしとは違って大人は泣くことを知っているうちの子どもたち。
人間丸出しでごめんね。今度は少し背中が丸まった。
背中が伸びたり縮んだりしながら母の責任のは重さをヒシヒシと感じた。
メイクが完全に落ちたすっぴんの眉毛を見ながらその重さ嫌いじゃないと思った。
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