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読書力がつく指定の100冊!を読んだら本当に読書力は上がるのか?主婦と子ども3人による人体実験⑧
読書はスポーツだ!
これは齋藤孝さんのご著書「読書力」に出てくる言葉。
「読書力」を要約すると読書は、自分を鍛えることができるツール。
筋トレと同じく継続して鍛えることによって身となる。
読書好きと読書力は別のものであり、好きな本を読むのと読書力をつけるために読むのとでは読書をする行為は同じでも精神構造に大きな差が生じる。
その差が、読書力なのだ。
齋藤さんが提唱する読書力がつく目安は文庫100冊。そしてどの本でも良いわけではない。ある程度の読書力をつけるために必要な100冊がある。
ご著書で齋藤さんは読書力の筋トレに相応しい文学作品をご丁寧に100冊紹介してくれている。
読書力を高めるための読書!
やってやろうじゃないか!
読書は好きだが、読書力があるのかと問われると?が浮かぶ…。
?が飛ぶようではきっと無いのだろう…。
ブラックサンダーを餌に、3人の子どもたち(小5・中1・中3)も巻き込んで!
実験の記録をここに。
チャレンジの過程はこちらをどうぞ!
↓
今回の作品、「ハツカネズミと人間」
カリフォルニアの農場を転々とする男たちの友情を描いた小説。
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ページが少ないペラペラの本。
内容はまったくペラペラじゃなかった。
この本は一か月ほど前に中3の長女が完読済み。
読み終えるなり、
「ああああああ、この本について語りたい」
「ママ!! 早く読んで!」
催促されながらも、スタン・バイミーがかなり太本だったのと誘惑の多い娯楽読書とkindleとの数冊並行よみのキリがつかずやっとこの2日で読み終えた。
最後のページを閉じるなり
家のどこかにいる長女の名前を叫ぶ~
「ハツカネズミの読んだで~語ろや。これは語りたくなるわ」
お風呂上りの頭にグルグル巻きのタオルをのせた長女がぬっと登場。
二人で顔を突き合わせて、
「これは…あかん…。」
「こんな悲しいことってある?」
貧しさの中に生まれついたら永遠に貧しい人生を送らなくてはいけないのか?
黒人はその肌の色だけで孤独に息をしなくてはいけないのか?
知能が足りない人間はささやなかに暮ら夢すら叶わないのか?
ひとつひとつのピースが例え恵まれたものでなくても幸せになる道はどこにでもあるのに…。
なんでここまで最悪の展開が重なるのだ…ああああ。わざわざ事件のフラグを丁寧に立ててくな!!読んでいる途中で文字からはバットエンドの匂いしかしなかった。
長女も読後はおなじくやるせなかったようだが、
一つだけ救いがあったと言った。
「何も知らずに夢を信じて死ねたのは幸せだったんじゃないの?」
命を落としたのは、小説の主人公のうちの一人。
心優しき怪人(わたしがかってにネーミング)。彼は彼の人生の幕がどのようにおろされたのか、何者によって閉じられたのかを知らずに死んでいった。
「たしかに…。それな。」
「生きていかなあかんもう一人の主人公の方がつらいよな」
「やな」
二人でしんみりした。
長女がかなり前に読んだからもう一回背表紙のあらすじだけ読んでみるわ。
と本を手にとった。
過酷な現実に裏切られて起こる悲劇を、温かいヒューマニズムの眼差しで描く。
上記のこの一文を読んで「悲劇が温かいヒューマニズムなわけないやろ!」とツッコミをいれてる。
悲劇に温かさはない。
悲劇は悲劇や。
悲劇なんかいらん。
普段クールな長女がいつになく熱くなっている。
悲劇とは遠い豊な国で生きることを許されたわたしたちの生活が喜劇で満ちているのは当たり前ではないのかもしれないね。
熱くなる長女の横で喜劇を選べる生き方をしたいよねと。
あてがわれてピースが最高のものではないと知った上で。
最後にこの本のタイトルがなぜこんなタイトルなのか気になって2人で調べてみた。
スコットランドの詩人R・バーンズの詩『二十日鼠に寄せる』の第七節により、未来のことはだれも計画どおりにいかないものとの意味を含ませているらしい。
未来はわからんよ。そうだよ。
だが、その計画どおりにいかないの中に死が乱入しているのはさすがに思い通りにいかなさすぎではないか…。
わたしが小説や映画や漫画でむかしから望むものがある。
まぬけな展開になってもいいから、感動が半減してもいいから最後はどうかハッピーエンドでお願いしたい。
中1長男、小5次女がこの本を読んだら悲劇をどう見るだろう…?
2人は今夜、筋トレ読書をお休みして寄りみち中~
長男は星新一のきまぐれロボットを、
次女は変な家を読んでいる。
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そんな夜があっていい。
どんな夜でも我が家に流れる時間は喜劇がいい。