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多摩平あおぞら社労士事務所の名に込めた想い

雲外蒼天

僕のこれまでの人生は難病のせいで「あきらめること」が多かったような気がします。
 
勉強も。仕事も。恋愛も。遊びも。
 
だから。
若い頃は、いつも心が曇っているというか、晴々とした気持ちにはなれなくて。受け入れられないことばかりでした。
 
それでも。
年を重ねていくうちに、あきらめることが多過ぎて、自分の中で「あきらめることが当たり前」になっていきました。慣れてくるんだと思います。
 
そうなると、いつの頃だったか、いつまでも失ったものを数えていたってしょうがない、「足りているものを数える」ほうが幸せになれるんじゃないか。悲しいときこそ楽しいことを見つけて、意地でも笑ってやろうと考えられるようになってきました。
 

僕は前向きな気持ちになれるまで相当な時間がかかりました。


社会保険労務士になって、事務所の登録をしようとした時、思い起こされたことは自身のこれまでの気持ちでした。
 
 

自分のような苦い経験をする人を増やしたくない。

病気で苦しんでいる人たちの「あきらめる」を減らしたい。

たとえ、相談者の心に雨が降っていても、晴れて青空が見えるようになってほしい。
 

「多摩平あおぞら社労士事務所」の名は、どんなに黒くて厚い雲が広がっていても、その雲を突き抜けた上には、青い空が広がっている。困難な状況にあっても、努力の先には明るい未来が待っている。僕が相談者の努力を報われるような仕事をして、相談者に鳥籠から青空に向かって飛び立ってほしいという願いから付けた名前です。
 
みんなに羽ばたいてほしい。

世の中は「不思議の国のアリス」だ

社会保険労務士になってから不思議に思うコトがあります。
 
世間が優しくなった。
会う人、会う人、とても親切にしてくれるのです。
 
同じ国、同じ場所に住んでいるのに、違う世界に来たかのように感じます。
 
まるで、童話の少女アリスがウサギを追いかけて異世界に迷い込んだように。
 
 
僕は社労士として仕事をしていく上で、この落差を理解することがとても大切なことではないかと考えています。
 

難病患者や障害者の置かれている現状を端的に表しているものではないでしょうか。
 
たとえば、書類の1つにしても、職業欄に「無職」や「契約社員」と書くより、「社会保険労務士」と書けば、信用が簡単に得られる。職業だけでは相手の背景や生い立ち、人間性なんてわからないのに。
 
社会保険労務士にだって、いい人もいれば、悪い人もいる。
 
今まで、僕は「障害者にみえない」と言われることが多かったのですが、今では「社会保険労務士に見えない」と言われることが多いです。
 
僕に対する世間のラベリングが「難病患者」や「障害者」から「社会保険労務士」に変わっただけなのかもしれません。
でも、その1つの要素だけで優しくなったり厳しくなったりする世の中には、少し違和感を覚えます。
 
 
社会は難病患者や障害者に世知辛い。
 
 
そこで、事務所の運営方針を次のように決めました。

それぞれの声をダイレクトに届けたい

僕は今まで誰にも相手にされてこなかったのに、社会保険労務士になってから急に意見を伺われることが多くなりました。
 
社会保障の専門的知識だけでなく、難病の苦労話、障害者雇用のつらかった体験談、ただの難病患者だったら届かなかった声が、社会保険労務士になることによって皆さんに届くようになりました。
 
前回の自己紹介の記事もたくさんの人に読んでもらい、大変驚いています。
同時に、読んでくださった皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとう。
 
では。
届かなかった声が届くようになったのは、どうしてか。
 
 
僕がクローン病患者であって、社会保険労務士でもある稀有な存在であるからか。
 
 
違うと思います。
 
 
役者には表現する場があって、はじめて役者となります。
表現する場がなければ、ただの人です。
 
舞台と書き割りがあって、人は役者になることができるのです。
 
僕の場合は、たまたま、社会保険労務士の資格が舞台となり、東京都中小企業振興公社の運営しているTOKYO創業ステーションで教えていただいた経営の知識が書き割りとなったような気がします。
 
 
大事なのは、資格や経営の知識でなく、役者に見える舞台と書き割り。
 
 
言い換えれば。
 
 
メッセージが伝わる土台と背景が大切なのではないかと考えています。
 
 
ひとりひとりが主人公。
 
僕は社会保険労務士として誰かの声を代弁するのではなく、本人のメッセージが直接届くような環境作りが必要だと思っています。
 
社会保険労務士は脇役。
 
「その人の人生は、その人のもの」
 
僕が常に肝に銘じている言葉です。
 
代弁者が自分の正義感や思い込みで相談者の声を勝手にねじ曲げてはいけない。
相談者の気持ちを汲んで、その声をそのまま届ける。
それが、社会保険労務士の仕事だと思います。
 
世の中、悪人ばかりではないですから、メッセージが伝われば、おのずと理解してくれる人も現れる。
 
声が伝わりやすい環境を創ること。
それが、就業規則だったり、労働条件だったり、生活するための年金だったり。
社会保障のプロフェッショナルである社会保険労務士ならそれができると思います。
 
 
誰にだってチャンスがあって、希望を潰えない状況にすることが多摩平あおぞら社労士事務所の役目ではないかと考えています。
 
 
また、僕自身もこの仕事が人生の最後の仕事であって、ラストチャンスではないかと思っています。
自分の健康状態を考えると、あまり長生きはできないような気がしていて。
 
だからこそ。なんとしても。
 
まだ日本には確立していない難病の支援事業を成功させたい。
 
公的支援があまりないことは課題ですが、たとえ公的支援がなくても難病患者が生きていけるようにしたい。
 
社会保険労務士の仕事は、自分の命を賭するにふさわしい仕事だと思っています。
 
 
難病患者の治療と仕事の両立支援、就労支援、創業支援でビジネスモデルを確立し、収益性の確保もできれば、真似をする人たちがきっと現れてきます。
 
支援を行う人が増えれば、より多くの難病患者が救われる。
 
 
次につながるように。

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