再会
今朝、ゴミを捨てに外に行ったら、ハクセキレイに会った。
前に調べたところ、彼らは漂鳥というものらしい。決して一つの所に長居するタイプではなく、気分次第であちらこちらへ住処を変えるそうだ。まあ、どこの世界にもいろいろなヤツがいるという事か。
とはいえ、なんとなくパターンはある気がする。私が見る限りでは、毎年、北風が吹き、空気が冷たくなるころ現れて、夏の太陽がじりじりとコンクリートやアスファルトの地面を焼き付ける頃になるとどこかへ去っている様子だった。
それが、この冬はちょっと違った。春先からあまり見なかったシジュウカラがあちこちでツピツピ鳴き始め、近所じゅうの公園に居ついてしまった。そのせいかは知らないが、姿は美しいけれどギャアギャうるさいオナガはだいぶ遠くまで行かないと見かけない。ハクセキレイも今年は寒くなってもなかなか見かけないのでどうしたものかと心配していたのだ。
それが、今朝、1羽だったけれど、唐突に表れたのだった。
うれしさのあまり、つい声を掛けてしまう。
「お、来たね。久しぶりだね。元気だったんだね。よかったよ。」
ハクセキレイは、もちろんチョコチョコ歩いて私から離れていく。適当な距離が取れたら、「チチッ」と鳴いて今日も飛び立つのだろう。ハクセキレイは、ハトとちがって普通に警戒心があるので、そういう風に動くことが多い。
(…鳥なんかに声を掛けて不審者だよなぁ…仕方ない。)と思いながら眺めていると、立ち止まったハクセキレイが不意にこちらを振り返り、何度かお辞儀をした。ヤツは、そのまま飛び立たず、向きを変え、歩いて去ろうとしていた。
私の方もその姿をいつまでも眺めているわけにもいかず、立ち去った。なんとなく少し幸せだった。