【お散歩日記】世田谷代田〜下北沢① silentのロケ地
この春休み、旅先や途中駅でお散歩することが多くなった。
今日は小田急線沿いで用事があったため、社会現象にもなったドラマ、silentのロケ地である、世田谷代田で降りた。ちょうど、ここ最近またsilentブームが私の中で再燃していたのもあって。
世田谷代田駅
私はドラマが放送される前から、ほとんど毎日小田急を使うヘビーユーザーなのだが、いつも急行か快速急行にしか乗っていない。そのため、各駅停車でしか降りられない「世田谷代田駅」をsilentをみるまで知らなかった。
しかも、今日この駅に降りるまで、『せたがやだいた』を『せたがやよだ』と読んでいた。『髭男(ひげだん)』を『ひげおとこ』と読み違えていたことと同じくらい恥ずかしく、申し訳ないです、!
さて!基本散歩の目的地は決めない主義、というよりも、計画に沿って物事をこなすというのが苦手だし好きではないというだけ。だけど、計画的に物事を処理する能力は社会に出る上で求められる能力の一つなので、意識的にそうしようとする習慣も少しだけ、ある。
旅でその能力を磨く必要性は特にないが、その地の重要なところは見逃したらもったいない。行きの電車でさらっと目的地の概要を調べる。すると、今回、ロケ地巡りにぴったりな地図を見つけた。
地図を見ていても地図に逆らった道に進んでしまい、しばしば友達を困らせてきたが、この地図はすごくわかりやすい。再開発が進んだ下北沢から世田谷代田までを結ぶ一本の道なりにロケ地が並んでいる。
そして親切なことに、何話のどの場面で使われたかまでひとこと書かれているのですぐにそのシーンを回想できるではないか。silent好きにはたまらん!!
この地図の他にも、ロケに使われたカフェや居酒屋も紹介されているサイトがあったが、今回は短時間の隙間時間のお散歩なのでこの地図で十分そう!
ホームに降りた瞬間からドラマに使われていたシーンを思い出せるし、改札はもう、ここぞsilent!という感じで胸が高鳴る。(興奮すると語彙力は低下するもの)
自分の頭の中がsilentのことでいっぱいになって、途中からこの場所はどの場面だとか細かいところが気にならなくなって写真を撮ることにも執着がなくなってしまっていた。
ロケ地を巡るということ自体よりも、ロケ地の雰囲気を漫然と感じられる場所でその世界観に入り浸ることだけで満足。1年以上前のドラマであるにも関わらず、世田谷代田駅周辺には20代くらいの女性が主に写真を回している姿をちらほら見かけて、それだけ多くの人の心に響いた作品なのだなと思った。私がこのドラマをはじめてみたのは、全話放送し終わって去年の年末に一挙放送されたタイミングだった。オンエア真っ只中の時、周りの人がみんな泣けるっていうけど、恋愛ものを楽しむ感受性がほとんどなく斜に構えた態度で見てしまう私はこのドラマも好みではないだろうなと思っていたのに、偶然見始めたら、どっぷりハマった。
恋愛ものではあるけどこのドラマで私が泣けるのはただ恋愛の話っていうところではなくて、想いを伝えることの難しさ、自分とは違った人生を歩み自分には完全には理解することのできない世界に生きている人との向き合い方とかに、たくさん心を揺さぶられ、考えさせられるからだ。
聞こえる人、生まれた時から聞こえないひとと、途中から聞こえなくなった人。誰かがかわいそうとかじゃなくて、みんなそれぞれの人生につらいこともあるけど楽しいこともあるんだよってこと、そういう意味では『同じ』存在だと思えるけど、やっぱり自分の感じたことのないつらさはわからない。みんな『違う』存在であること…。
私は特に春尾先生の言葉に胸をえぐられる想いだった。ボランティアとか奉仕とか、やってるだけで偉いねって言われるような偏見がある。私も何かと外から見ればそういう方向の活動に取り組んでいることもあるので、自分はただ楽しいからやっているつもりでも、そういう話をすると褒められる傾向がある。褒められるようなことではないと思いつつも、自分もどこか、偉いからとか、社会貢献的なことをやってる自分が好きみたいなところがあるんじゃないかと思って、まだ偏見と傲慢さをを持ったままの自分に気づき、何も言えない気持ちになる。
共感と他者性、わかりあえないという前提から想いを伝えること、言葉が通じても想いは伝わるとは限らないこと、当事者じゃない立場の正しいあり方…いろんなことを考えさせられる。
他者とともに生きることは難しい。それでも、言葉が通じなくても伝えようとすることわかりあおうとし続けることの可能性を信じて決心すること。
それらを、美しい映像と、想いや意味のつまったセリフと、技巧の凝らされた展開力、演出と、感情いっぱいの演技で、観る人に投げかけてくれる。
この脚本を書いた生方さんの今年度の秋の作品である『いちばん好きな花』もいつしか私にとっては、他者との生き方を考えられる、大切な作品になっている。
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