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【税金Q&A】相続時精算課税

<質問>子どもや孫への贈与は「相続時精算課税」を選択すれば節税になりますか?


<答え>

 相続時精算課税では、贈与財産は将来の相続時において贈与時の時価で相続財産に含めて“精算課税”されます。節税にはなりません。
 ただし、遺産の合計額が相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)以下であることが明らかで、相続税の基礎控除を先取りする形で財産移転をしたい場合には、相続時精算課税の選択は意味があります。
 その一方で、一度選択したら撤回できないなどの注意点もあります。
 

◆ 相続時精算課税のしくみ

 贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの制度があります。
 「相続時精算課税」の特例を選択すれば、60歳以上の親または祖父母から成人している子または孫に対する贈与について、2,500万円まで非課税で財産を移転できます。
 ただし、前年までに特別控除額を使用した場合には、2500万円からすでに使用した額を控除した残額が特別控除額となります。
 なお、住宅取得資金に対する贈与税の非課税特例を受ける場合には、贈与者が60歳未満の場合にも相続時精算課税を選択できます。

 贈与回数に制限はないため、複数年にわたり贈与しても構いません。
 両親のうち、父親からの贈与は相続時精算課税を選択し、母親からの贈与は暦年課税とすることも可能です。
 特別控除額を超える財産を贈与した場合には、その超える金額に対して、税率20%にて贈与税が課税されます。

 ただ、相続時「精算」課税と呼ばれているとおり、納付した贈与税額は相続税の計算時に精算されます。贈与された財産は「贈与時の価額(時価)」で相続税の課税価格に含めて、相続税額を計算します。
 そのうえで、納付すべき相続税額から納付済みの贈与税額の全額が控除されます。相続税額から控除しきれない金額は還付されます。
 贈与時の価額で相続税の課税価格に含めるため、将来の相続時において、贈与時よりも値上がりが確実な資産ならば、相続時精算課税での財産移転は得策だといえます。

◆ 相続時精算課税の注意点

 反対に、贈与時の価額よりも相続時における財産の価額が下がってしまうと、高い価額で課税価格に含められることで相続時精算課税は不利になってしまいます。
 また、孫(子の死亡で代襲相続人となった孫を除く)に対する相続税は、2割相当額が加算されるため、特に、注意が必要です。
 なお相続時精算課税を選択したら、その選択に係る贈与者からの贈与は、その選択をした年分以後、すべて相続時精算課税が適用されます。
 その後の撤回はできず、暦年課税への変更はできないことに注意してください。翌年に、同じ贈与者から財産の贈与を受けた場合においても、贈与税の暦年課税での基礎控除額110万円は適用されません。

◆ 相続時精算課税を選ぶメリット

 遺産総額が相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)以下であることが明らかであれば、相続税の基礎控除を先取りする形により、早めに、無税で、親から子供へ財産を移転できるメリットがあります。





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