育児短時間勤務の部下に寄り添いながら考えたこと
既に役職定年を迎え、7月には本当の定年を迎えるカウントダウンだというのに、4月下旬のある日、突然管理職に呼ばれて
「5月1日に育休より復職する社員を任せたい。」
と言われた。
通例ではあり得ない事なのだが、すぐに管理職の意図は理解した。
役職定年になりこの部署に異動してくる直前まで、私は人事部門の責任者をしていた。
今回復職してくる社員をその在任時に中途採用し、入社時研修も担当していたのだ。
今の部署はかなり特殊で、最近まで新卒の配属は稀。異動で他部署から来る社員も多くなかった。だから部内の人材育成プログラムが確立されておらず、新しく配属された者があると、行き当たりばったりなOJTがあるだけだった。
私が役職定年になってこの部署に異動して問題を感じ、初めて体系的な人材育成プログラムを構築したのだった。
そんな経緯で役職もない定年寸前の私に、肩書は「主任」、しかしこの部署の業務は全く未経験の「部下」が付くことになった。そして彼女は1歳7ヶ月男の子の赤ちゃんのママで、短時間勤務である。
人材育成経験がない管理職たち、中堅社員たちにはどうしていいのかわからないから、私に預けたのだ。
同じ企業内でありながら、別業種の勤務なので、彼女にとって覚えなければならないことはほぼゼロベース。しかも約2年ぶりの会社勤めである。相当なプレッシャーとストレスだったと思う。
最初の2週間ほどは、4年前に私と入社時研修したことを懐かしく思い出しながら座学をみっちりやって、業務に必要な資格試験に備えた勉強、受験。
見事合格後は私の担当顧客への営業同行へ。同時に見積作成などの営業事務も教えて今に至る。
毎日の業務で何か一つでも楽しい経験をしてもらう。そして新たに出来たことをフィードバックしてあげることで達成感を持ってもらう。
それが私の基本スタイルである。
彼女もどんな業務にも一生懸命取組み、質問もたくさんしながら着実にスキルアップしている。真面目で努力家で意欲的。優秀な人材である。
しかし時にはミスもする。それは誰でもあることだ。ミスをして仕事を覚えていくこともある。
でも彼女はミスをすごく気にして必要以上に謝り自分を責めるのだ。セルフイメージの低さを所々に感じさせる。
それが顕著に現れるのが、お子さんが発熱した時。
度々子供が発熱し、自分も移って発熱するというのを何度か繰り返していて、自分のせいで仕事に迷惑をかけていると自分を責め、落ち込むのだ。
乳児から幼児、特に男の子はすぐに熱を出す。私もずっと共働きで自分の子供たちが小さい時に経験したし、また現在娘と子供2人(私にとって孫)と同居し第二の子育て中なので、こちらは想定内なのだ。それに仕事はちゃんとしてくれていて助かっている。それを事あるごとに伝えているが、今までの人生で習慣化した自責の癖は簡単に治らない。
とにかく粘り強く、よくやってくれていること、助かっていることを具体的事例を挙げながら伝え続けようと思う。それと同時に決意したことがある。
それは時に適った聖書な御言葉を添えることだ。
ある日の営業同行中、彼女の携帯に息子さんの保育園から呼び出しがあった。お子さんの急な発熱だ。
私はすぐに保育園へ迎えに行くように指示した。
翌朝、息子の熱が下がらず、自分自身も発熱してしまったというメールが届く。その文面から自分を責めていることが伝わってきた。
私はメッセージを送った。
御言葉には力がある。
愛を持って寄り添い続ける。
そしてその原動力はキリストの愛であることを受け取ってくれたらと祈り願う。
この力を受け取って、子育てと仕事に自信を持って取組んでもらえたらと願う。