キャリアを数字化して8秒で心をつかむ秘訣を伝授!【大神賀世子さん】
| 至極の一言 |
「相手に思いやりとやさしさをもって、一歩踏み込む勇気がないと差別化はできない」
人材育成コンサルタントとして多摩地域でも活躍
人材育成コンサルタントとして独立して15年。『8秒で心をつかむ接客術』の著者でもある大神賀世子さんは、元CA。独自の接客・販促術で、ANA機内販売MVPを2回受賞。大切なのは、「ピカッ」の笑顔、強烈なキャッチコピー、そして相手への思いやりをもった8秒の会話だといいます。自身のビジネスも、口コミだけで53000人の集客に成功。予想外の価値を生み出すノウハウ、集客できるキャッチコピーのつけ方などを伝え続けています。
営業・広告宣伝費ゼロ!口コミだけで集客『8秒で心をつかむ接客術』
崎谷:口コミだけで53000人もの人材育成をされてきたとか。ご著書『8秒で心をつかむ接客術』では、口コミで仕事を取るコツをわかりやすいエピソードを交えて書いていらっしゃいますね。
大神:独立して15年ですが営業・広告宣伝費はゼロです。物事の価値には、「基本の価値」「期待の価値」「願望の価値」「予想外の価値」の4段階がある。「まさかここまでやってくれるとは思わなかった」という予想外の感動レベルまでサービスできると、応援してくださったり、リピーターになってくださったり、口コミが生まれるんです。私はそこに集中してやってきました。
大切なのは「ピカッ」の笑顔と短い会話の第一印象
崎谷:この本では、どうやって口コミを生み出せるか、ステップを踏んで説明されています。みなさんに読んでいただきたいですが、とくに大切だと思われるのはどんなところですか?
大神:第一印象が悪い人と信頼関係を築こうとは思わないですよね。でも「なんて感じがいいんだろう!」「あの人、“本当に”感じがいいよね」と、ある意味尖ってキャラが立たないとダメなんです。
そのための笑顔は「ニコッ」じゃ弱い。「ピカッ」じゃないと(笑)。ニコッと笑ってお辞儀して、ピカッとした目力でちゃんとアイコンタクトをとることが大切。それが相手に届くスマイルです。
崎谷:大神さんもそうですが、元CA(キャビンアテンダンド)の方は、笑顔はもちろん、気配りもすばらしいですよね。
大神:相手に思いやりとやさしさをもって、一歩踏み込む勇気がないと差別化はできないんです。短い会話というと、みなさんお天気の話をすると思いますが、例えばそんな話を近所の方と5年10年続けても親しくなれませんよね。
「この前、親知らずが痛いっておっしゃってましたけど、大丈夫でしたか?」と一歩踏み込んで聞いてあげたら「そうなのよ、じつは…」と続くんです。
売りにくい商品にもキャッチコピーをつける
崎谷:普段の会話を軽く考えてきたこと、ものすごく反省させられます。お客様を獲得して、何かを売るってすごく難しいことですね。
大神:どんなに接客がよく、プロ意識の高いCAでも、機内販売で売れない人はいます。相手にとって高嶺の花になっちゃダメ。
素敵すぎるとダメなんです。手が届きそうな距離、話しやすい雰囲気のほうがいい。コーヒー1杯差し上げるときに、プラス8秒の短い会話を意識して、笑顔で目を合わせるだけで、気軽に話ができるんです。
ちょっと売りにくい商品も、良いところを見つけ出して、キャッチコピーをつけてお話しすると売りやすくなりました。
出版コンペで優秀賞し、出産後に出した本が、オンラインセミナーの布石に
崎谷:CAを退職後、コンサルタントの資格を取って会社を興されて13期。輝かしい経歴の大神さんですが、その裏では苦しい時期も過ごされたそうですね。
大神:CAとしてまだまだこれからというときに、重度のヘルニアで首を痛めてドクターストップ。
腰椎を頸椎に移植する手術は2カ月間ベッドの上で微動だにできないと聞いていたので、怖かったです。仕事もできない。医療費もかかる。
さらに親戚の負債を背負ってしまった両親が自己破産寸前の状況に追い込まれて。60歳近い両親が苦しんでいる姿を見ることが、自分のことよりも辛かったんです。
幸い手術には至りませんでしたが、だから、私を使っていただける仕事は、やったことがない仕事でもなんでもやろうと思いました。
崎谷:2児の母でもいらっしゃいます。子育てをしながら執筆されましたが、本の出版は出産前に決まっていたのですか?
大神:上の娘を産んでから、さすがに全国出張に行けないので、セミナーをオンラインに切り替えようと思ったんです。
それが5年前。まだZoomもなかった頃で、1000万円くらいのビジネスモデルをかんがえていました。
それだけ借り入れるには、まだ知名度が低いなと思って。知名度を上げるために出た出版コンペで優秀賞をいただき、いよいよ書き始めようと思ったときに、娘が2才反抗期に。
執筆もうまく進まず、悶々とする中、もう1人産もうと決めて41歳で妊活。下の子を産んで、1才になったところでもう一度、書き始めました。
ZOOMを利用した「オンライン講座」の実績も
崎谷:大神さんの文章は、理路整然としていてつじつまが合っています。ライターさんが書いたように読みやすい文章で、すごいなと思いました。どれくらいの時間をかけて書かれたのですか?
大神:7カ月ぐらいでした。まずは担当編集者が作ったベースをたたき台に、私が7割ほど加筆していく……という作業を繰り返していたんです。
最終的に出版社に提出する締め切りの日に、正直どうかな?と思ってしまって。担当編集者に聞くと「大神さんらしさはないかな」と言われて、1時間泣きました。そのまま中途半端なものが印刷されて出回るのが悔しくて。
泣いて無になって、開き直って、深夜の1時から朝6時までの間に内容を組み立てなおしました。そうして直したものがよかったので、もう少し自分でやってみたらと時間をいただけることになって。最後の最後に自分らしさを引き出せたものが書けたんです。
崎谷:行動力が結果になっていてすごいです。今はオンラインのほうもスムーズに回っていますか?
大神:本の読者を対象に行っている「8秒で心をつかむZOOM勉強会」の受講者は、昨年500人くらい。
ここでオンラインの実績ができたことは収穫でした。オンラインセミナーは集客が厳しいものですが、たくさんの方とつながることができたのは本のおかげです。
<インタビュー後記>
さわやかな笑顔の大神賀世子さん。元CAと聞けば納得するはずです。でも、その笑顔を支えているのは、とてつもない苦労と信念。その苦労話をさらりと「たまCH」で語っていただき、大神さんの本当のすごさや懐の深さを感じました。一カ所だけにスポットライトを当てれば、分かりやすいストーリーが見えてきますが、本当のストーリーはさらにその奥に潜んでいます。苦労を糧にしてさらに成長する大神さんの姿勢は本当に素敵です!
大神賀世子さんProfile /
人材育成・組織活性化コンサルタント。元全日空CA(キャビンアテンダント)・チーフパーサー。30歳のとき、ドクターストップで退職。リハビリをしながらキャリアコンサルタント資格を取得し、独立。その後、AICI国際イメージコンサルタント資格をシンガポールで取得。2008年、㈱ビーキャリアコンサルティング設立。口コミだけで53000人を教育。2時間指導で売り上げ8倍。学生の就活サポートとして、勉強会や面接練習会も行う。著書に『8秒で心をつかむ接客術』(ナツメ社)。2013年第一子、2016年第二子出産。東京都立川市在住。実家は立川市若葉町のカフェレストラン「てくたく」。