図書館とわたし〜幼少:母とよく行った町の図書館〜
最近すっかり図書館という場所にはまっているので、気持ちが熱い今、図書館と自分のことを振り返ってみようと思う。
そもそも初めて図書館に行ったのがいつだったか、はっきりとは覚えていない。それぐらい小さい時だったと思う。
家から歩いて行けるところに小さな町の図書館があって、よく母親が連れて行ってくれていた。
母はよく本を読む人だったので、きっと初めて行ったのも、母が本を借りるついでとかだったんじゃないかと思う。
なににせよ、気がついたら図書館に行くという習慣ができあがっていた。
そんなに大きな図書館ではなかったけれど、小さいながらにキッズコーナーみたいなところがあって、絵本がたくさん並んでいた。
そこがお気に入りの場所だった。
「14ひきのシリーズ」を読むのが(読んでもらうのが)好きだったのをよく覚えている。
14匹のねずみの一家のお話で、たしか7番目の子が「なっちゃん」。小さい頃わたしもそう呼ばれていたから、勝手に親近感を覚えてお話に入り込んでいた。
もう少し大きくなると、ファーブル昆虫記とかシートン動物記のシリーズをよく借りていたように思う。
それから、なぜか毎回1冊は伝記を借りるということになっていた。
わたしは母に言われてそうしていたつもりだったのだけど、後から母に聞いても「そんなことあったっけ?」と記憶にないようで、経緯は分からずじまいだ。
当時、伝記を読むのはちょっと苦手で苦労していたので、深い意味がなかったようなのは拍子抜けした。
そんなよく分からない思い出もありつつ、もう一つその図書館のことでよく覚えているのは、図書館員のおじさんのこと。
めがねをかけた、小柄でちょっとぽっちゃりしたおじさんだった。
今どうされているのか、ご存命なのかも分からないが、街で見かけたらたぶん分かるぐらいには覚えている。
別に何を話すわけでもなく、ただいつも、にこにこというのか、やわらかい表情でカウンターのところに座っていらっしゃった。
本を持っていくと、一冊ずつ、ゆっくりと丁寧に、ピッ、ピッとバーコードを読み込んで、一つずつ登録されたか確認しながら貸出手続きをしてくれた。
おじさんのとても穏やかでやさしい雰囲気が、そのゆっくりした丁寧な動作にまさに現れているようで、不思議ととても印象に残っている。
わたしが中学生になって、バーコードの「ピッピッ」がやりたくて図書委員になったのは、今思うとこのおじさんの影響だったのかもしれない。
今、その図書館はもうなくなっていて、かろうじて建物の外壁にうっすら「〇〇図書館」の文字が残っているぐらいだ。
それもそのうち消えてしまうのだろうと思うと、なんだかちょっと寂しくなる。
でも、わたしがその図書館でいろいろな本と出会ったという思い出は変わらない。
それに、わたしが今、それなりに本を読んだり文章に触れたりするのが好きなのも、そして何より図書館が好きなのも、はじまりはきっとその図書館だ。
そう思うと、なくなったって大切な場所であることに変わりはないし、これからも大切な場所として、わたしの心に存在し続けるのだと思う。