1秒先の彼女
あらすじ
郵便局で働くシャオチーは、仕事も恋もパッとしないアラサー女子。何をするにもワンテンポ早い彼女は、写真撮影では必ず目をつむってしまい、映画を観て笑うタイミングも人より早い。
ある日、ハンサムなダンス講師とバレンタインにデートの約束をするも、目覚めるとなぜか翌日に。バレンタインが消えてしまった...!? 消えた1日の行方を探しはじめるシャオチー。見覚えのない自分の写真、「038」と書かれた私書箱の鍵、失踪した父親の思い出…謎は一層深まるばかり。どうやら、毎日郵便局にやってくる、人よりワンテンポ遅いバスの運転手・グアタイも手がかりを握っているらしい。そして、そんな彼にはある大きな「秘密」があったー。
失くした「1日」を探す旅でシャオチーが受け取った、思いがけない「大切なもの」とは…!?
感想
公開の頃から評判がよく、気になっていた映画。
そもそも、あらすじの時点で面白そう。何をするにもワンテンポ早いと言うキャラクター性もいいし、消えた1日を探す旅に出るという設定もとてもワクワクする。『ハングオーバー!』みたいだけど、あの馬鹿馬鹿しさに馴染めなかったので、そういう要素もこの作品にはなさそう。——と、とても期待度が高い状態で見始めた。
映画の前半はこの突飛な設定に頼る事なくシャオチーのキャラクター性や生活を時間を掛けて丁寧に描くので、退屈なシーンになりかねないところだけれど、コミカルな要素とキャラクターの面白さでとても楽しめた。
もうその時点でこの映画の面白さを確信しきってしまい信頼度が高まっていたので、1日が消えるという突飛な展開からの様々な謎が出てくるシーンも、どうせ綺麗に回収してくれるんだろうなとワクワクしてみる事ができた。
そして、予想外の視点から予想外の方法で全ての伏線を綺麗に回収し、さらにそれが情緒を感じるほんのり切ないシーンにつながっていくという、文句のつけようのない素晴らしい展開。もうとにかく面白かった。
先日、本作を日本でリメイクするとのニュースが出たが、宮藤官九郎が脚本でかつ男女逆転し描くとのことで、正直とても不安を感じている。
伏線の張り方やその回収のうまさというのは宮藤官九郎作品に通ずるものはあるかも知れないけれど、台詞回しの面白さに定評のある宮藤官九郎が、ちゃんと後半の台詞がほとんどないようなシーンをうまく描いてくれるのかなという点と、男女逆転だといつも通りの女性が男性に尽くすみたいな古くさい安いラブコメになりそうで、日本のジェンダー感の遅れみたいなのが露呈しないかなという点が気になっている。