石子と羽男-そんなコトで訴えます?-
あらすじ
東大卒のパラリーガル「石子」こと石田硝子と、高卒の弁護士「羽男」こと羽根岡佳男が凸凹コンビを組み、ふたりの元にやってくる人々が抱える身近なトラブルに挑みながら、お互いのコンプレックスに向き合い成長していく姿をコミカルに描くリーガルエンタテインメント。
感想
今クールで一番毎週楽しみにしていたドラマ。
未成年のスマホゲームへの多額の課金や、電動キックボードによる事故など、現代ならではの事件を題材に、社会問題に深く踏み込んだ内容でありながらもコミカルで、ふらっと見れてかつ考えさせられる作品だった。
登場人物達のキャラクター性に関しても絶妙で、「石子」こと石田硝子は真面目で頭の固いパラリーガルだが、それはキャラクターとして誇張された頭の固さではなく自分の信念に背かない限りは柔軟な判断ができたりするところが、よく日本ドラマにあるようなデフォルメされたキャラクター性と異なっており、好きだった。
「羽男」こと羽根岡佳男も、見たものを写真の様に記憶する「フォトグラフィックメモリー」の持ち主ではあるが、この能力を多用することはなく(たまに『そっかそういう能力あったんだっけ』と思ってしまうほど)、想定外な事が起きると思考が停止してしまう弱点と戦いながら困難な依頼に対処していく姿に、回を追うごとに応援したくなる気持ちが強くなっていった。
各話面白かったのだけど、個人的にはファスト映画裁判の回が特に好きで、簡単に説明するとファスト映画で収益を得ようとしているわけではなく好きな映画の魅力を伝えようとしただけという大学生を弁護するという話。
こういった内容だと、主人公はファスト映画を作る人を訴える側につきそうなものなのに、ファスト映画を作ることを悪だと思っていない被告人にどう罪の意識を持たせるかという過程を描くことで、『ファスト映画はなぜダメなのか』という点をより考えさせられる作りになっていたのがとても素晴らしかったし、最後の展開は特に大好きだった。
あとほんのちょっとネタバレだけど、石子と羽男の2人が恋愛関係になりそうという兆しさえなかったのが良かった。男女のバディーモノが結果恋愛関係になるという流れに食傷気味だったので、もっとこういう作品が増えてほしい。