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初デートの映画は『容疑者室井慎次』

新しいお題を発見した。

#映画館の思い出

これは…。思い出に浸ってみようとおもう。

【登場人物】

私:恋愛経験ゼロ。男兄弟もおらず、同世代の男子と話す事もほぼゼロ。基本的に無口で大人しい(脳内ではたくさん喋る)。少女漫画と少年漫画をこよなく愛するオタク気質。

Kくん:私と同じ歳。クラスに1人はいるにぎやかタイプ。大学の同期や先輩後輩だけでなく、教授や近所のおじ様おば様とも仲良く話せるスーパーコミュ力おばけ。

あれは大学2年生の夏じゃった。

私は友達に誘われ、スーパーでレジ打ちのバイトをしていた。小さいスーパーだったので、品出しや野菜の袋詰めを手伝う事もあって面白かった。

バイト先には、同じ大学の同期・Kくんという人がいた。同じバイト先だが、働いている場所が違うのでほぼ接点なし。

しかしある時期から、お昼休憩の時間が一緒になった。
Kくんは私にも気さくに話しかけてくる。前から顔見知りではあるものの、一対一でちゃんと話すのは初めてだった。コミュ力が半端ない彼はお喋りが上手で感心してしまう。私はあっという間に休憩時間中にKくんとお喋りする仲となった。

ある日、休憩所のテレビで映画の宣伝が流れていた。大ヒットドラマ『踊る大捜査線』のスピンオフ作品『容疑者室井慎次』という映画だ。

私は踊る大捜査線が大好きで、リアルタイムでも見ていたし、スペシャルドラマも再放送も欠かさず見ていた。あのノリ、たまらんよね。あと音楽にシビレる。

Kくんがおもむろに言った。

「俺、踊る大捜査線好きなんだよね~」

「あ、私も!めちゃくちゃ見てた!」(私)

「室井さんが主役の映画とか面白そう」(K)

「ねー!見たい!」(私)

「じゃあさ、一緒に見に行く?」(K)

「え?!」

その直後、私の頭はフル回転した。

なになに?どゆこと?2人で?映画に?
ナニソレ。デート?デートなのか?これは。
え?え?行っていいの?一緒に?
うん?これ?ドッキリ???
(※全て脳内で思った事です。)

なにせ私は生まれてこの方、男性に免疫が無かったのでかなり焦った。

男女2人っきりで出かけるなんて…当時の私にはハードルが高過ぎた。ていうかアナタ、きっと私以外にも一緒に見に行ってくれる人いるだろーに。まさか友達が少ない私への同情か?断るべきか??とも思ったが、映画を見たいのは事実だし、何より、

今、この機会を逃したら、一生男の子と2人で映画なんか行けないかもしんない。


という思いが勝った。

そうだよ、相手は『喋ったヤツはだいたい友達』タイプの人間だ。別に告白をされた訳じゃない。友人として誘ってくれているのに断るのも失礼だ。

冷静になれ、自分…!

「行きます!!」

私は勇気をふり絞って、彼と映画に行くことにした。

映画当日。緊張してほぼ覚えていない。たぶんKくんが車(卒業した先輩から購入したボロボロ中古)で迎えに来てくれて、連れて行ってもらった。

何を喋ったのか、ジュースやポップコーンを買ったのか、映画の後食事に行ったのか否か、何も覚えていない。

ただ印象に残っているのは、

柳葉敏郎さん演じる室井慎次が、語り始めるシーン。

普段口数の少ない室井さんが、自分の事を話す。それだけでもレアなのに…確か、過去に室井さんが愛した女性の話だった。悲しい出来事があって、今も後悔していることを語っていくのだ。

そのシーンで、私はついつい泣いてしまった。まさか室井さんにそんな過去が…。あの室井さんが、たくさん喋っている。

室井さぁああん!!😭
涙腺崩壊。

いつもの踊る大捜査線とは違う。超重い。感想に困るどシリアスっぷり。青島を…青島を出してください!!(織田裕二ファン)

そしてたぶん、これは

初デートに見る内容の映画じゃ無ぇ…!

と心底思った。

そんな事があったので『おそらくKくんは私の事を女の子として見てくれてる訳じゃなくて(実はうっすら期待していた)、本当にたたのバイト仲間のうちの1人なんだな~』と、何だかいい感じに気が抜けたのだった。

後で確認したら、まじで本当に何も意識してなかったらしい。私の緊張を返せ。

それ以降もKくんとの友人関係は続き、バイトの休憩時間以外でも話すことが増え、授業のノートを貸したり、テストの過去問をゲットしたりとギブアンドテイクな感じだった。

そんなやりとりをしていると、男の子に免疫の無い私は、まあまあお察しの通り『惚れてまうやろ!!』状態なのだが。

しかし相手は『人類みな友達』タイプの人間だ。一方私は冴えない根暗女子(オタク寄り)である。これが少女漫画なら恋が始まるど定番のシチュエーションなんだけどな。あ~あ。とにかく『脈なし。』この一言に尽きるだろう。

色々会話をしているうちに彼がなかなかのアニメおたくだという事が判明し、その年に流行っていたアニメ映画を見に行くことになった。

2回目の映画館。緊張せずに楽しめた。しかしKくんが映画クライマックスでまさかの号泣。

私の感想:そこで泣くんだ───?!


しかも、その映画の帰りに愛の告白をされた。完全に予想外である。私の思考停止によりしばしの沈黙。
これ何て答えるのが正解だったのかな?未だにわからない。教えてぐーぐる先生。

そんな私の様子を見た彼は

「じゃあさ、お試しで付き合っちゃう?」

「え?!?!」

え?お試し?お試しなの?え?
どゆこと───────
ちょっと何言ってるかわかんない。
それ、ドラマとか漫画に出てくる遊び人タイプのひとのセリフだと思ってたけど、現実でも言うひといるんだね!!?(謎の感心)

私はカルチャーショックを受けつつ、Kくんと決死の覚悟でお付き合いする事にしたのでした。(だってこの機会を逃したら一生男の子とお付き合いなんて以下略)

ちなみにその時の彼氏が今の夫です。
お付き合い当初Kくんは、私の事を『大人しくて家庭的な子』と思っていたらしいのだが、私全然そんなんじゃ無いんだ。ただ口数が少ないだけで、家事もできないし変な事ばっかり考えてるズボラなヤツなんだ。すまんかったな。

めちゃくちゃ醜態さらしたし、離婚寸前のケンカもしました。彼とは考え方や性格は真逆ですが、何だかんだ一緒に過ごすのが楽しくて、ここまでやってこれました。

そんな事もあり、私にとって映画館は思い出深い場所だったりします。

今は映画館もしばらく行けなくなってしまったけれど、家族みんなで映画を見るのはとても楽しいし嬉しいです。

とりあえずディズニー&ピクサーの新作たのしみ!!!

【見出し画像について】
映画『容疑者室井慎次』で室井さんが雨のなか倒れているシーンの再現に挑戦し、挫折しました。(なんのこっちゃ。)


おそまつさまでした。
みなさん良い映画ライフを。

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