「ありがとう」を1000回。
昨日、noteを開いたらポンっと通知が飛び出した。
ドキッと心臓が鳴って、じんわり喜びが込み上げた。「絵を描いていて良かった」と思えた。
小さい頃から絵が好きだった。
私には10歳上の姉がいて、よくあみだくじを作ってくれた。あみだくじの先には、私がリクエストした絵が描かれていて、すごくワクワクした。今でも覚えている。お姉ちゃんが描いてくれたアイスクリーム、ショートケーキ、チョコレート、ホットケーキの、かわいい絵。
私も姉のように絵が描きたくて、よく真似をして描いた。漫画も好きだったので、当時読んでいた『りぼん』や『なかよし』のキャラクターの絵を真似して描いた。
自他共に認める内気な性格の私。でも絵を描く時は、強気でいられた。絵の中の世界はどこまでも自由だった。そんな世界が好きだった。
小学校では「絵が上手いね」と言ってもらえる事が多かった。他の人より色々観察して、たくさん描いてきたからかもしれない。認められたような気がして嬉しかった。
小学校高学年の時参加した写生大会で消防車を描いたとき、先生に「ここはもっと汚れてる感じにした方がいいよ。キレイすぎる。」と言われた。言われるままに、キレイな赤色で塗った部分を雑巾でまだらに拭いて、茶色い絵の具で汚れをつくった。心がモヤモヤした。
でも、その絵は何かの賞に選ばれて、どこかに展示された。みんなに「すごいね」と言われて嬉しかったけど、心のどこかで「あれは、私の絵では無い」と思った。
中学生になると、「漫画の絵を描いてる子はオタクだ」と言われて陰でコソコソ笑われるようになった。馬鹿にされているようで、ひどく恥ずかしかった。
だから私は家の中だけで、隠れるようにして絵を描いた。こっそり、自分だけの秘密のノートに。
笑われても気にしないで、教室で絵を描くあの子が眩しかった。直接言葉に出したことはないけれど、いいなと思った。
父は、「絵を描いて生活できる人間は一握りだ。仕事にできるわけない。」と言った。「その通りだ」と思った。
それでもこっそり、絵は描き続けた。家族にも友人にも見せない絵を。自分のためだけの絵を。
自分のためだけと言いつつ、承認欲求が大爆発してハガキに絵を描いて雑誌に投稿を始めた。色鉛筆や絵の具で絵を描くのが好きだった。
高校では美術の授業を選択した。わりと良い成績だったからか、先生から「美術部に入らないか?」と何度かお誘いを受けた。嬉しかった…が、「他の部活に入っているので」と断った。
絵から離れたくないくせに、本格的に絵の世界に踏み込むのは怖かった。
楽しいだけじゃダメだろうか。
他の人に、アレコレ言われるのが怖かった。でも言い返す勇気が無いから、直接闘うことも無かった。自分の世界が壊れる事が怖かったんだと思う。
もしあの時、周りの人に認められるために行動を起こしたなら、何かが変わっただろうか?
そういう後悔が、頭の中でぐるぐるぐるぐる回って、はじけた。
就職を機に、私は一切絵を描くのをやめた。
「やっぱり、必要ないんだ。」
絵を描かなくても、私の人生は進んだ。
「絵は、人生に必要ない。無くても困らない。」
実際、困らなかった。自分の生活を維持する事に忙しかった。
結婚して、子どもが生まれて、子育てをして、ますます忙しくなった。
「自分の事は、後回し、後回し。」
そんな生活を10年以上続けて、気付いたら、空っぽの私だけが残った。
「好きな事は何?」と聞かれて、1つも思い浮かばなかった。
自由時間にやりたい事も、何1つ思い浮かばなかった。
びっくりした。
見て見ぬフリをして過ごすと、本当に『無かった事』になってしまうらしい。習慣って怖い。
好きなもの。大切なもの。
私には忘れたくないものがあった。確かにあった。たくさんあった。でも忘れてしまった。
「忘れたくなかったなぁ。」
そう思ったら、何だか涙が止まらなかった。
私は、大切なものを思い出そうと決めた。
そんな理由から2021年1月にnoteを始めた。
子どもの事や自分の事を、下手くそな文章で書き留めた。いつかまた忘れても、思い出せるように。忘れたくない思い出を順番に書いた。
不思議だけど、書いていくうちに少しずつ思い出した。
大切なものは、忘れたわけではなかった。
ちゃんと箱にしまってあった。
暗くて見えにくい場所に隠れた箱を、大事に大事に開けて、中身を確認して、心の中に戻す。私の最初の頃のnoteは、そんな作業の繰り返しだった。
そして、他の人の文章も読んだ。みんなそれぞれ大切なものがあって、素敵だと思った。
ちょうど1年ほど前、私はnoteで絵を描き始めた。全然思い通りに描けなくて、下手くそで恥ずかしかったけど、笑われても良いと思った。描きたいから描いた。
好きな時に、好きな絵を描く。勇気を出してみんなに見てもらう。そんな些細な事がこんなに嬉しいのか。
少しずつ自分の絵が増えていく。
好きなものを思い出していく。
絵はたくさんのワクワクをくれた。心に彩りをくれた。
私の人生に、絵は必要だった。
みんなのフォトギャラリーから、あなたがどんな理由で私のイラストを使ってくれたのか。真相は私には分かりません。
もしかしたら「みんなのフォトギャラリーを見たら、上の方に表示されていたから。」という単純な理由だったかもしれません。
あなたは想像した事があるでしょうか?
みんなのフォトギャラリーでイラストを使ってもらえたり、このイラストが好きと言ってもらえるたびに、私が少しずつ自信や勇気をもらっている事を。
私は、みなさんに1000回も嬉しい気持ちを頂きました。感謝してもしきれません。
だから私は「ありがとう」を1000回、伝えたい。
また絵の楽しさを教えてくれたnoteに。私の絵を見てくれたあなたに。1000回分のありがとうを込めて。