目頭が熱くなる、3歳のむすこの飾らないことば
「子育てをしてるなかで感じる幸せは、きっとこういう瞬間のことをいうんだろうな。」
そんなお話です。
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すでに子育てされているかたは、ご存知のことでしょう。
1歳から3歳の子どもは、ものすごく可愛い反面、接するときには想像を超える忍耐力が必要です。
自分で上手にできないときや、自分のやってみたいことをさせてもらえないときには、もう大変。
悔しさやもどかしさから、絶望したかのように泣きわめいたり、暴れながら怒ったりします。
また、「なぜ?」「なに?」という質問を、息を吐くようにくりかえします。
そして極めつけは、「いや!!」と全身全霊の拒否。
これらは、自立した人間になるための健全な通り道だといわれています。
この月齢には必要なことだという知識がなければ、頭ごなしに怒ってしまいそうなことばかりです。
ここで、育てる親は大きな壁にぶつかります。
「自立した人間」というゴールはあっても、そこまでの過程に、はっきりとした正解がないのです。
そして、途中経過が良いのかどうかも、子どもが小さいときほどわかりにくい。
「自分のふれあいかた、育てかたは間違っていないだろうか。」
「どんな影響を子どもに与えているだろうか。」
不安ばかりが大きくなります。
目の前の子どもの姿が、そのまま自分の子育ての結果だと突きつけられているようで、責任に押しつぶされそうにもなります。
しかし、そんな不安をいとも簡単に吹き飛ばしてくれる存在がいます。
それは、他でもないわが子です。
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日差しがあたたかくなってきた、4月のある昼下がり。
賃貸マンションの一室で、ベランダの扉を半分開け、ちょうどいい涼しさの風を感じながら、3歳のむすこと昼食をとっていました。
「いい天気だな。」なんて話しながら、ちゃぶ台に並んで座るふたり。
そして、お皿にのっているおにぎりを手に取り、もぐもぐと食べていたときです。
こぶし1つ分ほどの距離に座るむすこが、思いついたようにくりくりの瞳でこちらを見つめながら質問をしてきました。
「みんな、どうして家に帰るの?」と。
「ホッとするから家に帰るよ。」と、5秒も考えずに答えました。
そして、この時期の「どうして?」にはたくさんの情報をつけて応えようと決めていたこともあり、さらに一言二言説明を続けたのです。
しかし、このあとのむすこの言葉に、親としての鎧を見事に剥ぎ取られたのでした。
「ぼくはね、お母さんが大好きだから帰るよ。」
ビー玉のような丸い瞳。
答えはすでに持っている、そんな自信と強さすら感じられる佇まい。
あたたかいその場の空気が、ただ幸せでした。
「お母さんも、大好きだから帰るよ〜!」なんて言い、ぎゅっと抱きしめずにはいられませんでした。
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子どもって、いつもほんとうにまっすぐ親に向かってきますよね。
無防備に眠る姿を見て、反省して涙する日もたくさんあります。
だからこそ、起きているそのときに「大好きだよ」って、なにもなくてもそう伝えて抱きしめられたとき、これほど幸せな子育ての時間はないだろうと思っています。
まっすぐにぶつかってくる子どもの姿に、愛しさとありがたさが感じられたら、親子関係はあたたかくなっていくのでしょう。
あなたはいま、どんな気持ちで、子どもとの時間を生きていますか?
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