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#小説
【短編小説】クリのキヲク(3)
仙台から奥羽街道こと国道4号を北上して盛岡市へ入った。盛岡駅への途中、一関市に立ち寄ることにした。予備知識がないので、県道から西に少し入ったところにある一関博物館をざっと見て回った。
やはり金色堂はみておくべきだなと思い、博物館からも近い中尊寺へむかう。
中尊寺の駐車場を囲むように、お土産を販売している店が軒を並べていた。そのなかで、今年のヒット曲『だんご三兄弟』を景気よくかけながら、数
【短編小説】クリのキヲク(2)
東京駅から新幹線を利用して仙台駅で降りた。
改札出口のすみで輪行バッグから、タイヤとフレームを外してあるマウンテンバイクを取り出し、組み立てる。作業時間は約20分。
70リットルのバックパックには雨具、テント、シュラフ、飯盒等の野宿一式。食料は現地で調達する予定だ。
マウンテンバイクの重量は12キロ、バックパックは約20キロ近くになる。これが、いつもの旅スタイルだ。
【短編小説】クリのキヲク (1)
体中の節々が痛い。熱は40度ぐらいありそうだと思ったけど、確かめるための体温計は、いまここにない。
ここは青森。いま俺一人が、テント内のシュラフの中でうずくまっている。朦朧としながら、やばいな・・・と呟く。
とにかく、真っ暗闇だった。目をあけているのか閉じているのか、わからなかった。
遠くにボウっと灯りがみえる。蝋燭の灯なのか、焚き火なのかわからない。あそこに行きゃなきゃと、ただ思った。