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四谷怪談とドン・ジョバンニ
あまり歌舞伎には明るくないけど、玉三郎の「四谷怪談」なら観てみようかと妹に誘われるがまま出かけた。
改めて、なんと後味の悪い話かと思う。
伊右衛門を筆頭に利己的で血も涙もない登場人物ばかりだ。
また演出も、暗〜く煤けたような地味〜な感じで気が滅入るったらありゃしない。
埃臭いようなカビ臭いような空気が鼻孔をくすぐる錯覚すら覚える。
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プライベートでヘコむこともあったため、地中に体半分くらい埋まった感じで帰路に着いた。
ある意味、作品としては高レベルでその術にハマってしまったということかもしれない。
が、もう観たくない。
と思いつつ四谷怪談について幾つか読んでいくと、
「ドン・ジョバンニ」
と多々エピソードが重なると気づく。
愛人の父を殺したり人に罪を着せようとしたり、ドン・ジョバンニもクズ オブ クズである。
しかし身勝手さにムカつくことはあっても「四谷怪談」のような重苦しい気持ちになることはない。ドン・ジョバンニが殺した騎士長が登場する「晩餐に招かれたので参った」のシーンを観たいがためワクワク気分で大人しく座っているのだ。
壁を壊して大魔神(と私は思う)が現れるあのシーン。
モーツァルトを扱った映画はいくつかあって、
その「晩餐に〜」のシーンを集めた映画を観たことがあったけど、そこで刷り込まれたのかもしれない。
あ〜、あの映画のタイトルはなんだったかなぁ。
あの映画があれば長時間観劇する必要もないのだが。