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色彩事典 5月 黄みの緑 : 萌黄色(もえぎいろ) / シャルトルーズグリーン
緑眩しい季節。実は最も紫外線の強い時で、木々の葉も光合成が盛んで新緑の美しい時期です。思わぬ暑さに慌てて夏物を引っ張り出すこともありますね。とはいえ気候は比較的安定しておりゴールデンウィークも到来するため、外へ繰り出す機会が増え緑いっぱいの木々や草花に囲まれることも多くなります。この時期の緑は深く繁った緑、というよりもまだ若い黄みの緑です。
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もえぎ色は、萌葱、萌木などとも書かれ、緑みの色でも微妙なニュアンスが生じるのが漢字の妙です。
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英名のシャルトルーズは、フランスの修道院で作られたリキュールの色が由来の色名です。黄みと緑みの二種類があり、黄みのほうは、シャルトルーズイエローとよばれます。
5月といえば季節の変わり目とともに、体のだるさを覚えたり、5月病などにたとえられるように新しい環境に慣れて緊張がとれたりと、実は気持ちが沈みやすいすい季節でもあります。緑の中に身を置きたくなるのは、そんな身体のなせる業かもしれません。
緑は、陽気な黄色と鎮静の青を足してできる色でもあり、バランスのとれた調整の色、休息の色です。「目の疲れに緑がよい」とよくいわれますが、実際試してみるとその効果が分かります。ただしこの緑は植物に限ることであって、人工的な緑の色はトーンや素材を厳選しないと安っぽく刺激的になるため、却って神経を逆撫でることになります。
緑は暖色でも寒色でもない中性色。インテリアのファブリックには、ベージュがかった黄緑色の品質のよいものを選ぶと、どの季節にも馴染みやすくくつろげる空間ができあがります。