学生の大手志向が高まる中で、中小企業はどう戦うべきか
TalkCampコミュニティオーナー、鈴ヶ嶺(すず)と申します。
今回のゆる読みHRは私が投稿させていただきます✋
先日のコミュニティの小さな懇親会の中で、最近マイナビ社が公開した資料でも大手志向の高まりが注目されており、「25卒は全体として大手志向が強く、中小や中堅企業は応募獲得の段階で苦戦している」という話題で盛り上がりました。早期化の波を上手く捉えて、インターンシップやオープンカンパニーを活用し、3月の時点で前年以上の進捗で採用が出来ているという大手の話は聞く一方で、中小で上手くいっている例を聞く事が少ないと私も感じています。
さらに、中小企業が苦戦するだけでなく、ベンチャー企業の人気も低下しているのではないかという話題にも及びました。あくまでも感覚的な話ですが、確かに、私が20代前半の頃は、サイバーエージェントさんやDeNAさん、今はメガベンチャーと呼ばれる企業が就活生の中でも人気があり、『大手対ベンチャー』といった構造の記事や対談動画等を今よりも多く見かけたように思います。
外部環境、主に経済的な市況が変わり、さらにベンチャーに属して自己成長を実現させなくても、副業やリモートワーク等の働き方の変化があった事等、様々な要因はありそうです。
という事で今回は、中小企業が新卒採用において苦戦する市場の中でどう戦うべきかを考えてみたいと思います。先ず、中小企業が採用に苦しむ背景を時期の要素で考えると2つの課題があります。
前倒しの波に乗ろうとしても乗り切れない
今は大手に限らず、中小企業も夏の時期からインターンを実施している例が増えてきました。
しかし、夏の時期に参加してくれた学生は、早期に内定を出したとしても、承諾に至る可能性は低く、選考の時期を空けてしまうと本選考にも参加してくれません。さらに、2025卒は夏の時期に大手や準大手のインターンシップの実施が昨年度以上に増え、秋から冬にかけて中小企業への関心が移るかと言えば、そうはなりにくい状況でした。大手も採用数を増やしている兼ね合いで、事前選考なく参加出来るインターンや説明会を増やしているため、秋から冬のインターンの集客も苦しかったです。
中盤戦・後半戦も苦しい
大手ナビサイトが公表する内定率は3月末時点で5割を超え、ナビサイトの3月以降のエントリー数は前倒しの影響で減少し、エージェントサービスも学生の早期活動終了により集客が難しくなり、スカウト型サービスの承諾率も低下している。そんな状況の中、大手が採用活動を終える時期も業界や企業によってまだら模様となり、中小では「説明会の告知をしても1名も予約すら入らない…」という例もあり、中盤戦や後半戦の戦いも4~5年前はもちろん、昨年と比較をしてもかなり苦しいものとなっています。
という事で、早くから活動をしても苦しい。中盤戦・後半戦には人がいないので、さらに苦しい。
そもそも、採用にかける事が出来るリソース(資本・人)が限られている中でどう戦うべきか、非常に判断が難しいという状態です。
では、どうするべきか。時期毎の観点では大きく2つの戦い方があると私は考えています。
インターンシップ・オープンカンパニーは選考直結型で実務に近いもの現場主導で秋から冬にかけて行う
中小企業においても、夏の時期から1dayのオープンカンパニー的に業界理解を中心とした座談会的なコンテンツやキャリア系・就活支援系のコンテンツを実施する例も多いと思いますが、ここで接点を持った母集団を選考にそのまま繋げていくことは非常に難易度が高いです。業界理解や座談会、キャリア系・就活支援系のコンテンツは、「自社が行う理由」が乏しく、夏の時期だけでも10社以上インターン等に参加する学生からすると、後から参加した企業のインターンで記憶が上書きされてしまい、印象に残らない企業となってしまう事が多いです。夏のインターンの後に直ぐに本選考が実施出来れば選考に繋がる可能性はあるでしょうが、現実的に選考が早すぎてもフォロー工数としても負荷が高くなってしまいます。
中小企業としては、学生の集まりが苦しくなる事を踏まえてでも、夏からではなく、秋から冬にかけての実施が良いと考えています。期間は2~3日のインターンへの参加意欲が高いとも言われますが、この時期に実施するのであれば、1日のものでも私は十分ではないかと思います。そして、コンテンツは、配属を予定している部門と協力をし、現場の仕事内容のリアル(やりがい・苦労)を伝えられるように意識し、「自社のらしさ」を活かしたオープンカンパニーに出来るのが理想です。
ここで1つ事例をご紹介します。
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企業規模:50~100名以下
業種:製造業
告知時期:2023年10月下旬から
実施時期:2024年1~2月にかけて3回
実施日数:1日
参加人数:7名
本選考参加:5名
内定者:2名
内定承諾者:1名
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これはある企業様での2025卒のインターンからのリアルな採用実績例です。
コンテンツは営業現場のリアルなケーススタディを中心としたものにしました。実は初めてのインターン(オープンカンパニー)の取り組みでしたが、少ない参加者からでも歩留まり高く、内定、そして内定承諾に繋げる事が出来ました。
尚、中小企業で夏からインターンを実施する場合は、期間を少し空けながら複数日程の運用にし、本選考の実施まで継続的に接点を取り続ける事が重要だと考えています。
中盤戦・後半戦は少ない母集団を面接力で惹きつける
応募してくれる数が限られているため、説明会の実施頻度を上げたり、個別で学生のスケジュールに合わせた対応を行いながら、ES等の面接前のハードルを出来る限り下げていく事が重要です。相互理解をしていくためにも先ずは面接に来ていただく事が重要です。そして、今特に中小企業で私が重要だと思うのは面接です。
もちろん説明会の時点で自社の魅力を整理し、正しく伝える事は重要です。しかし、説明会等、入口の部分にはこだわっていても、面接に対してこだわりを持っている中小企業は多くはないように思います。
・面接の中でどのような問いをするか?
・学生の事を知ろうとするためにどのような深掘りをしていくか?
・選考の中で感じた事をフィードバックしているか?
こうした事に対してこだわりを持ち、アンケート等でPDCAを回し、真摯に懸命に採用活動に臨む事が地道ながらも重要ではないかと思います。面接での一つのポイントは前回のNoteでも書いているので、良ければ合わせてご覧下さい。
応募者の数を増やすための施策ではありませんが、少ない母集団の中でどう戦うか?という立場から1つの選択肢として、考えてみました。
もちろん、個社による採用に対する考え方やリソースの違いがあり、それぞれの企業で取るべき戦略・戦術は異なるため、画一的な解ではありません。採用の基本の「キ」である自社の採用要件定義や魅力点の整理等は今回は一旦スコープアウトし、時期毎にどのような戦い方があるかを考察したものとなる事もご了承下さい。
さて、皆様の会社ではどのように今の新卒採用と向き合っているでしょうか。
他社の採用活動やマクロな市況の動きを注視しすぎる事で、本質的に向き合うべき問いを見失う事もあると思いますが、同じミッションに向かっている仲間との対話で救われる事や新たな洞察を得られる事もあると思います。
是非TalkCampコミュニティにて皆様と話が出来れば嬉しいです!
※インターンシップの定義は本来5日間以上のもののみですが、こちらのnoteでは就活生や採用担当者が一般的にインターンと認識する範囲のものをインターンとして表現しています。
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