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空想お散歩紀行 秩序を守るお仕事

秩序を守る。それは穏やかな川の流れが急に増えたり減ったりしないよう、常に一定を保つようにすること。
「はい。午後2時37分逮捕」
警察官、アレン・ウォルフは犯人に手錠を掛けそう告げた。
しかしその時、彼の横を一人の通行人が通り過ぎた。
その通行人にはアレンが一人でそこに立ち、何かを言っているようにしか見えていない。
通行人は不思議に思いながらもその場を歩き去った。
だがアレンには見えている。自分の目の前にいる犯人の男と、その手に掛けた手錠が。
アレンは普通の警察官ではなかった。
警察という組織の中にはいろいろな部署があるが、彼が所属しているのは対霊課。
霊が起こす犯罪を専門に取り扱う部署だ。
他にも対魔課、対竜課等もある。
だが、どれにも共通するのはあくまで警察だということだ。
映画の物語のようにそういう人外の存在と戦うとか、退治するとか、そういうことはしない。
今回アレンが逮捕したのも、幽体不法所持の法に触れた犯罪者だ。
幽霊というのは何も人間や動物だけではない。
物体も時を経て幽霊になることもある。
今回逮捕された男は、過去の名車、歴史的にも価値のある車の幽霊を不法に所持していたため逮捕されたのだ。
この幽霊は後に、コレクション目的で違法な手口で車を手に入れたことを取り調べで供述している。
このように幽霊による犯罪を取り締まるのがアレンの仕事だった。
その時、アレンの腰に付けていた無線機が音を立てる。
「はい、え?酔っ払いが暴れてる?こんな昼間から?」
当然その酔っ払いというのも霊だ。このまま暴れさせたら、物理の人間たちに影響を及ぼしかねない。
しかたないと、彼は今しがた掛けた手錠にあるスイッチを押す。
すると逮捕した霊の男が、その手錠に吸い込まれた。
対霊ということで普通の人間相手ではできない芸当が使えるのが対霊課の強みだった。
まあ、こういうのも最近、霊の人権がどうのこうのとうるさくなってきているのだが。
アレンはその手錠をしまうと、パトカーに乗り込み次の現場へと発進させた。

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