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空想お散歩紀行 海に浮かぶ島、出会いの島

その惑星は、外から見るとそれは美しく青色に輝いていた。だが、外側がきれいだとしてもその内側はどうなのか、それは別問題だ。
その惑星は地表の9割以上が海で占められている。
少ない陸地をめぐって太古から争いが続いており、今現在、陸で暮らしている人々はその戦いで勝ち残った選ばれし者たちである。
そしてその他の負けた多くの人々はどうしたかというと、海に出ざるをえなかった。
その人々は海で取れる特別な植物や生き物たちを利用して浮島を造り、それぞれの住処を作った。
それら無数の浮島は、時に合併してより大きなコミュニティになったり、小さなコミュニティに分裂したりを繰り返した。
一か所に固定された浮島もあれば、海流に従って流れる浮島もあったりと千差万別である。そんな歴史がすでに千年以上続いていた。
「じいちゃん!野良島だ!」
とある浮島の一つで生まれ、育った少年。コルナ。
彼が住むのは200人程度の人が住む小さな浮島。
海の流れを読みながら、魚たちが豊富な海域を求めて常に旅する島だった。
コルナの大声を聞きつけて、近づいてくる老人。彼がコルナの祖父、オンザ。この浮島一番の海の読み手である。
「ふむ、どうやらこの前の嵐で飛ばされてきたんだろう」
数日前、彼らの浮島のはるか遠くで嵐があった。かなり離れているのにも関わらず黒い雲と稲妻が暴れくるっていたのが見えていた。
浮島は無数にある。移動型の浮島は嵐の前兆をかぎつけると、そこから逃げるように移動させるのがセオリーだ。
しかし中には風と海流を読み間違えて運悪く嵐に巻き込まれ、そこからさらに運が悪いと空高く飛ばされることが稀にある。
そのような理由で無人になった浮島を野良と呼んでいる。
野良になった浮島は大抵の場合、回収され自分たちの島の素材にされる。
そうやって土地を拡大してきた島もたくさんあった。
「あまり大きくないけど、あれば助かるよな・・・ん?」
野良島を眺めるコルナだったが、その時何かに気付いた。
それは明らかな異質な何か。
「・・・人だ」
「何ッ」
オンザも目をこらすが良く見えない。コルナの視力が異様にいいのだ。
「まだ生きてるかも!行ってくる!」
そう言うと、コルナは海に飛び込んだ。

十数分後、野良島に辿り着いたコルナ。
そこにいたのは一人の少女だった。
年のころはコルナと同じくらい。気を失っているようだが、大きな怪我はないようだ。
そのことにひとまず安心するコルナだが、違和感も感じていた。
「見たことない服だな」
その少女が着ている服は、自分の島や、今まで見てきた他の浮島の住人が着ている物とはあきらかに違っていた。
彼女が着ている服が、選ばれた人々だけが住むことができる陸地での物だとはその時のコルナは知る由もなかった。
そしてまた、この少女との出会いが彼の運命も大きく変えていくことに。

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