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空想お散歩紀行 魔法で働き方改革

「いやあ、楽になりましたね」
「まったくだ」
二人の男が会話をしている。しかし二人は同じ空間にはいない。
それぞれの目の前にある水晶玉にお互いの顔が映っている。
二人はお互い離れた場所で魔法通信で話している。
「朝早く起きて準備して、宮廷に行かなくていいだけでここまで楽になるとはね」
この二人は宮廷魔術師。今までは仕事場である宮廷に通っていたが、魔法による通信技術が近年急速に発達。それにより、必ずしも家から出る必要性が低くなってきたのだ。
「働き方改革ってやつ最高ですね」
「まったくだ」
もう一つ、最近になって急速に発達した技術がある。
それが、人形技術。正しくは魔力回路を組み込み、遠方からコントロールが可能になった物体。
操縦者の術に反応し、思い通りに動かすことができる。
「これができたお陰で、家から出ずに仕事ができる時代が来るなんてね。もともと体力不足の魔術師があちこち飛び回るほうが非効率だったんですよ」
「そうだね」
「さて、じゃあ今日もお仕事行きますか。今日はどこでしったけ?」
「アウタール国の南方の森林地帯だな」
「この季節蒸し暑いでしょうね、あそこ。でもリモートで快適なお家から仕事ができる。
ほんと便利ですね。いいんですかね?戦争がこんな楽で」

この日アウタール国は、ザウス魔法帝国の遠隔魔導人形軍団によって、壊滅的な打撃を受けた。

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