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空想お散歩紀行 シスター・シャルロッテのちょっと変わった授業

教会の鐘が鳴り響く朝。いつもの変わらない爽やかな空気が私は大好きです。
私の名前はシャルロッテ。この教会でシスターを勤めています。
神への奉仕と同時に私がたまわっている仕事がもう一つ。
「皆さんおはようございます」
教会に隣接している建物。その中の一つの部屋。そこは机が並び、黒板があり教壇がある。
そう、私のもう一つの仕事は学校の先生なのです。
しかし、教えているのは子供というわけではありません。
「おはようございますッ!!」
机についているそれぞれから大きく返事が返ってくる。
うん、昨日より確実にいい発音になってますね。
この教室にいるのは、体の大きい子から小さい子まで様々。でも共通点があります。
それは、今現在は生きてはいないということ。
そう、彼はアンデッドと呼ばれる人たちです。ゾンビとも呼ばれますね。
かつて、アンデッドは教会が退治する存在でした。
どのようにアンデッドが生まれるのか、それは未だに判明していません。
出現するアンデッド、それを浄化退治する教会。それが昔から続いてきました。しかし、アンデッドとの戦いは教会側の損害も大きく、いつしか聖魔法や結界で、いかに無傷で捕獲するかに考え方が変わりました。
しかしその後、一方的に捕らえ、一方的に殺すやり方に教会側から異論が出始めます。
そして長い月日を掛けて変わりました。
アンデッドを教育するという方向に。
「はい、では今日の授業を始めていきたいと思います」
人間とアンデッドは、見た目はまだ似ていますが中身はかなり違います。
一番大変だと思われている体臭は、教会が作る加護と祈りが込められた食材を食べることでかなり抑えられます。
血色の悪い見た目も、教会が作ったアンデッド用メイク術でほとんど人間と変わらないところまで持っていけます。
「あ、ナナさん。また片目が落ちてますよ。ちゃんと入れて下さいね」
私に注意された子が、慌てて自分の目を拾う。
メイクでごまかせても、やはりこういうところはアンデッドです。
そして、当初は無謀と思われていた教育。既に生きていない体と頭に何かを教えることはできないと思われていましたが、教会の努力によって、今では子供、だいたい10歳くらいのレベルまでは到達できることが分かっています。なぜ死んでいる体でそこまでできるのか詳しい理由は分かりませんが、大切なのは実際にできているということ。
私の目標は、アンデッドさんたちにもっと多くのことを教え、いつしか人と何も変わらない生き方をしてもらうことです。
既に死んでいるので、生き方という言い方はおかしいかもしれませんが。
「さあ、今日は算数の授業からです。教科書を開いてください」
いつか来ると信じている未来に向かって、私は今日も神とアンデッドに奉仕をしています。

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