空想お散歩紀行 魔法使いたちの耐久レース
技術が発達するということは、それまで使われていたものが廃れていくということでもある。それがどれだけ長い伝統を持っているものであろうとも。
狭い部屋に似つかわしくない、豪奢な長机や絵画が、衰退の中の悪あがきのように見えなくもない。
彼らは魔導士協会に所属する魔法使いたち。
今はまだ、社会の中に魔法使いは多数存在する。しかし、年々その数が減っているのは間違いない。
そこでその問題をどうするのかが今回の議題だ。
しかし、なかなかこれといった解決策が上がらない。もっとも簡単に上がるようならとっくの昔に解決しているだろう。
そこで、ふとしたことで出てきたのが魔法使いたちによるレースイベントを開催するというものだ。
魔法使いというと、暗い部屋で何かやってるというイメージを、明るい太陽の光で打ち消してみてはどうかという考えだ。
そしてそこから議論は発展していき、どうせなら魔法を駆使した派手なものにしようという流れになり、おおまかな概要ができた。
テーマは世界を翔ける魔法使いたち。
魔法使いたちが地上、海、空を魔法で疾走するという大レース。
まずは海。水中ステージ。魔法で魚に変身するもよし、空気の膜を作って進むもよし。距離は大体5キロくらいだろうか。
海のステージが終わったら次は空のステージ。
魔法使いの必須科目と言ってもいい、箒でのスピードバトル。空中で繰り広げられるデッドヒートは観客の度肝を抜くだろう。
これは乗り物を使うということで、150キロくらいでいいのではと話し合いで決まった。
そして最後、陸の戦い。
ここで、少し議論が停滞する。陸上を走るのはいいとしてどうするのか?
肉体強化の魔法を使って普通に走るのもいいが、それだと前の二つに比べて少し地味ではないか。魔法による妨害もありとしたらどうかというアイデアも出たが、純粋にスピードを競うレースイベントとしては不適切ではないか。
結局この日はそれ以上のアイデアは出ず、後日改めて会議が開かれることとなった。
最後に、この魔法使いのレースの名前をどうしようかと考えた末、
トライアスロンと決まり、この日の会議は終わった。
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