空想お散歩紀行 夢バトル
日本時間午前0時。とあるゲーム会社が自社のソフトの情報等を発表する動画が配信された。
真夜中にも関わらず、数万人をあっという間に超える数の人間がその動画にアクセスしていた。
画面の中ではカラフルな服を着たキャラクターが新作のゲームや、旧作のリメイクの宣伝を次々としていく。そして、
「さあ、次に紹介するのは今までにない、まったく新しい未来のゲームだ!」
そう言うと、画面が切り替わる。
「人生において娯楽は欠かせない。ゲームはもはや世界で一番の娯楽だ。だけど、あまりに熱中しすぎると失うものもある」
キャラクターが画面を縦横無尽に歩き回る。
「それは、そう!睡眠時間だ!だけど、もうその心配はいらない」
そう言うと、画面の中のキャラクターはとあるものを取り出す。
それは、アイマスクのように目を覆う物だが、所々機械のような部品が取り付けられている。
「これはドリームアイ。これを付けることで君は自由に夢の中で世界中の人と遊ぶことができる」
画面には、アクションゲームや格闘ゲーム、レースゲーム、ボードゲームなど様々なコンテンツが展開されている。
「これらのゲームに登場するのはどこかのキャラクターではなく、まさに君自身なのだ!なぜなら君の夢だから。君が主人公となって無限の世界へと飛び出そう!娯楽と睡眠を同時に取れるこのゲーム機は来年の夏発売予定!既に50種類以上のゲームが発売と同時にリリースされるよ!さあ!夢のバトルへいざ行かん!」
この日の配信で一番の注目を集めたのはやはり、このドリームアイだった。世界中で次の情報が待たれた。
その後、発売は半年ほど延期されたが無事ドリームアイは発売。
世界中で夢バトルが繰り広げられていった。中でも好評だったのが、自分のプレイを録画できる機能でこれによって、ゲーム実況などのコンテンツも一つのブームを迎えることになる。
しかし、良いことだけが起こるなどまず無い。
このゲームが流行ったことで、昼間に寝る子供が増え、その分夜眠れなくなる事案が続出。
また、ゲームクリアやゲームオーバーになる度に目が覚めるので、かえって睡眠の質が悪くなるという研究結果も出てきたりと、新たな社会問題も同時に発生したのであった。
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