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空想お散歩紀行 全世界鬼ごっこ

ある日突然世界がゲームに強制参加させられた。
老若男女全ての人間が当たり前にネットに接続し、生活のあらゆる面でネットが欠かせなくなった時代。当然それぞれが持っている財産もネットで管理されていた。
そしてある時、世界中のほとんどの人間の財産が「半分」持っていかれた。
金持ちも貧乏人も例外なく、半分。
そしてすぐにそれを行った犯人の声明が発表された。
世界中から金を盗んだのは、「フリーエン」と名乗る者たち。
そいつらは驚くことを提案してきた。
それは世界中を巻き込んだ鬼ごっこだった。
フリーエンは全部で10人。席次1位から10位までが存在する。
世界中に逃げるそいつらを最初に捕まえた者に賞金が渡される。もちろんやつらが盗んだ金だ。
捕まえるのに特別な条件はない。ただ対象の体に触れて、「捕まえた」と言うだけだ。
さらなるルールとして、逃げるフリーエンの情報は週に一度更新される。
1位の情報ほど難しく、10位に行くほど分かりやすくなる。当然その分1位に近い方が賞金が桁違いに高くなる。
こうして、全世界の人間が財産の半分を強制的にベットさせられたゲームが始まった。
世界中の人間が鬼となった。
しかしほとんどの人間にとっては、例え10位のフリーエンを捕まえただけでも、賭けさせられた金なんて目じゃないほどの大金が入ってくることになる。
さらにフリーエンは約束していた。もし自分たちを捕まえて賞金を得ることになったら、自分が捕まえたことを公表しない限りは、その金は決して国や公的機関等に没収されることは無いと。
なので鬼たちは、決して自分が鬼であることを明かさず逃げるフリーエンを追い詰め、そして捕まえたあとも、自分がやったと言わなければそのまま金が手に入ることになる。
世界中の多くの人間はそんな上手い話があるわけないと思いつつも、心のどこかで一握りの夢を見始める。
そして行動に移す者も当然いた。単独で動く者、協力関係を作って動く者。
たった10人の人間、それも男か女か子供か老人かも分からない謎の集団。
それだけの人間に今世界はかき回されている。
鬼ごっこのフィールドと化した世界。千差万別の鬼たちがそれぞれの欲望を胸に獲物を狩る。鬼たちも決して利害関係が一致するわけではない。おそらく鬼同士の争いも発生するだろう。
鬼ごっこを超えた鬼ごっこが世界という遊び場で展開していた。

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