ぼくらは “そら”の こどもたち
“生きて生かされている”
商店街の大好きなパン屋さんに
文字が優しく並んでいた
ぼくは“ふう”
自然と人がめぐり逢う
“そら”が広いこのまちで
生まれて3度目の紅葉の季節を
のんびりゆるりと楽しんでいるよ
鮮やかな鐘の音が胸に響く
ステンドグラスから降り注ぐ彩り豊かな光
100年続く教会に50年通ったおじいちゃん
朗らかなこの地で活動を始めたおとうちゃん
小中高生のおにいちゃんおねえちゃんが
夕陽を連れてやってくる場の名は“ココ”
“こ”どもたちが主役の“コ”ミュニティで
心・個々・現在地って意味も込められている
“そら”のように移ろいゆく
こどもたちの“いま”を見つめてきた
みんなでつくる みんなのいばしょ
ランチをほっぺに絵本を開いた
ぴりぴり降り始めの雨が濡らす窓
おとうちゃんの隣 すうっと寝落ち
“いっしょに生きる”
おとうちゃんたちの活動のテーマ
10代の頃からもうすぐ20年になる
豊かな旅路をじっくり歩んできた
こども会でもらった呼び名は“たる”
自然・まち・児童館・教会・避難所・商店街
色々な“とき・ところ”で 色々な人に出会った
バウムクーヘンみたいに太い虹が架かる
大きなお寺の石畳をおとうちゃんと歩く
さらりと葉を揺らす風がとっても心地いい
体の周りの空気と あの高い空の境目は無い
空間があるから ぼくらは動くことができる
余白やゆとりという“あそび”があるから
時空や仲間という“あいだ”があるから
すべては永遠で無限の“そら”から生まれる
お母さんのおなか 小さな宇宙に芽生え
ひとつの空に包まれ 生命は環(めぐ)りあい
一生を終えて 空(くう)に還(かえ)ってゆく
“そら”から生まれ “そら”を環り “そら”へ還る
ぼくらは“そら”を生きてゆく
紫野や西陣で活動してきたおとうちゃんが
生まれ育った衣笠のまちに帰ってきたのは
ぼくが生まれるちょうど半年前の春だった
公園隣の緑に囲まれたオープンスペース
新たに始めた取り組み“そらな”の由来は
スペイン語の“ひだまり”に“そら”を重ね
晴れの日も雨の日もあるがまま過ごす縁側
こどもたちの歓声がこだまする茜色の放課後
雑貨屋さん おにぎり屋さん 本屋さん
みんなでかなえる みんなのねがい
みんなでつくる みんなのまち
お気に入りのあんパンをかじる
ほんのりとした甘さに思わず微笑む
あなたの外から“そら”は包み
あなたの内から“そら”は照らす
“そら”からエネルギーやアイデアを受けとり
“そら”に“いのち”の声を聴く
地球を出ても“そら”は広がり
土の中でも“そら”に暮らす
一人ひとりの世界がかさなり
たったひとつの“そら”を描く
すべての“いのち”の源泉は“そら”
あなたは自分の人生の主人公で
誰かの人生をいっしょに歩む人
ぼくらはいっしょに生きる仲間
孤独を感じていても一人じゃない
みんなの“そら”はそこにある
一度しかない人生で “そら”に何を語ろうか
あなたの天職は きっと“そら”が知っている
あなたの天命は そっと“そら”からやって来る
今日は誰かの命日で
今日は誰かの誕生日
“そら”から“いのち”を授かった
“そら”は“いのち”を育みあった
“そら”へと“いのち”は旅立った
光が消えても明るい月夜
大好きなひとに囲まれて
“いのち”の灯を目の前に
ぼくは“そら”に感謝して
ふうっと息を吹きかけた
ぼくらは“そら”を生きている
ぼくらは“そら”のこどもたち
空創詩「ふう」
はれのひ あって あめのひ あって
かぜも ゆうやけも にじも つきも
てんきに いいも わるいも なくて
あぁ きょうは こんな そらかぁって
こころも きっと そんな ふう
あしたは どんな そらかなぁ