【第14回】これ以外のタイトルがどこにあるだろうか
前回の記事はこちら▼
表紙を作るためにはタイトルを決めなければ
2019年12月6日。コワーキングスペースCo-Edoにて、デザイナー・イラストレーターの松永みなみさんを交えてセルフパブリッシング最大のネックのひとつ「表紙」の打ち合わせ。
みなみさんには前回だいたいの話は伝えてあるので、今日は表紙のデザインについての具体的な話をします。もちろん、費用やスケジュールといったリアルな話の詰めもします。
表紙を決めるということは、正式にタイトルを決めなければならないわけです(当たり前です)。この段階まで決まっていなかったのかと言われるかもしれませんが、決まっていなかったのです。
最初に本のイメージを考えたときに「仮タイトル」を決めました。
仮タイトルは、これから作る本をどんなものにしたいのか自分でイメージするためのものでしたが、今回は正真正銘、読者が目にするタイトルです。
仮タイトルがそのまま使えると思えばもちろんそうしても構わないわけですが、ちなみにここまで作業してきた仮タイトルは「アメリカン」に恋して ~食パン1斤サンドを食べる日々」です。うん、コレジャナイな。
表紙を外注するときの問題は、いったん発注してしまったらタイトルは変えられないということです。これもまた当たり前ですが、自分で表紙を作るなら途中で気が変わっても最悪作り直せばいいわけです。でも今回はそうではありません。
タイトルブレスト
ということで、やままさんが買ってきてくれたパン(残念ながら「喫茶アメリカン」のサンドイッチではない)を昼食代わりに頬張りながら、Co-Edoでタイトルのブレスト。まだ表紙の話に入っていないのですが、タイトル決めの段階からみなみさんも加わってくれます。ありがたい(みなみさんはCo-Edoのスタッフでもあるので、この日はそもそもCo-Edoにいるのです)。
こういうときに活躍するのはホワイトボードです。各人が思いつくキーワードをやままさんが書き出していきます。
この本はどんな本か:
グルメ本ではなくエッセイ
ブログのもともとの読者に向けた本
喫茶アメリカンに興味がある人に向けた本
客観的ではなく主観的
キーワード:
研究
通いつめること
距離が近づく
クロニクル
年代記
主なタイトル案:
凡人やままの「喫茶アメリカン」非凡研究日誌
「喫茶アメリカン」について言いたいことやまやまです
「喫茶アメリカン」5年間の研究記録
個人的には「研究日誌」「研究記録」を強調したタイトルにしたらいいのではないかと考えていました。「喫茶アメリカン」が、それ自体で圧倒的な個性を放っているので、他の要素で得難い何かといえば、まずは5年間の蓄積と継続だと思うからです。やままさんの前作『凡人の星になる』との関連を強調するために「凡人」というワードを入れたらという思いもありました。
議論の流れを一気にひっくり返したのは、やままさんが出した案「『喫茶アメリカンについて言いたいことやまやまです』なら今後シリーズ化できる」というみなみさんのひと言でした。
たしかに、「喫茶アメリカンについて」の部分を他の言葉に変えれば、今後いろんなテーマでやままさんが本を出すときのシリーズ感を出すことができます。「言いたいことやまやまです」というのはもちろん「喫茶アメリカン」の記事が5年間連載されていたやままさんのブログのタイトルでもあります。よく考えてみれば、これ以外のタイトルがどこにあるだろうかという案です。
「研究日誌感」の方はサブタイトルとして活かすことになりました。ということで決定したタイトルは『喫茶アメリカンについて言いたいことやまやまです──5年間の主観たっぷり研究記録』です。
「主観たっぷり」というのは、やままさんがブログの記事や本編の中で使っているキーワードで、この言葉もこの本の特徴をよく示していると思います。
表紙検討会
引き続き、表紙デザインの検討。というか、本来はこっちが本題なわけですね。
「喫茶アメリカン」のでっかいサンドイッチの上にやままさんが登っているという案を出したのはたぶんTak.だったと思います。
それでいろいろ話しているうちに、上に星条旗を立てようという話が出て、みなみさんがホワイトボードにさらさらさらとイメージを描いていきます。
「喫茶アメリカンについて」をアーチにすること、サブタイトルの入れ方、著者名を縦書きにすることなど、デザイン上の細かい要素はみなみさんがリードしてくれる形で決まっていきました。
写真を見ていただくとわかるように、この段階ですでに最終的なイメージができあがっています。
(つづく)
次回の記事はこたら▼
最終的にできあがった本はこちら▼